■ 巨匠を育てた巨匠による書籍「ピアノ演奏芸術―ある教育者の手記」レビュー
♬「ピアノ演奏芸術―ある教育者の手記」とは
著者のゲンリッヒ・ネイガウス は
ソ連のピアニスト・音楽教師。
ギレリスやリヒテルを指導したことでも知られています。
日本では今回紹介している
「ピアノ演奏芸術―ある教育者の手記」
の著作者として特に知られており、
専門家はもちろん、ピアノ愛好家からも信頼を得ている一冊となっています。
特定の要素の指導に特化した書籍ではなく、
◉ 演奏テクニック
◉ 精神的なサポート
などをはじめ
あらゆる角度から筆者が語りかけてくる内容。
著者が音楽をどう捉えているのかをのぞける
充実した一冊になっています。
♬ 読者の対象レベル
専門的な視点で書かれているので
一部に高度な内容も含みますが、
第6章 コンサート活動について
などを扱っている章もあり
読み物としても充実しています。
幅広いレベルの学習者にとって参考にできるでしょう。
♬ この書籍のオススメポイント
目次は次のようになっています。
第1章 音楽作品の〈芸術的イメージ〉
第2章 いくつか、リズムについて
第3章 音について
第4章 技術についての探求
1.全般的に考えてみる
2.自由の基盤としての自信について
3.運動(を司る)器官について
4.自由について
5.ピアノ演奏テクニックの基本
第4章への補足
1.運指法について
2.ペダルについて
第5章 先生と学生
第6章 コンサート活動について
終わりに(音楽之友社 公式より)
著者ネイガウスが
音楽をどう捉えているのか、音楽をどう聴いているのか
というのを丸ごと知ることができるというのが
本書の大きな特徴です。
もちろん、
具体的な奏法などに関するアドバイスも書かれていますが
何かひとつの問題解決へ向かっていくタイプの書籍ではありません。
むしろ、ネイガウスが演奏活動や教育活動を通して感じたことや
学習者へ伝えるべきだと思ったことを幅広く扱っている
まさに手記のようなスタイルで進んでいきます。
特定の問題の解決を希望しているのではなく
自身の音楽レベルや考え方を総合的に育てたい学習者に向いています。
♬ この書籍のウィークポイント
大変有益な書籍であり、ウィークポイントはありません。
一方、比較的ページ数が多く
多少観念的な内容を含むところもありますので
読破するためには
ある程度の根気が必要でしょう。
サッと読んでサッと読了できるタイプの書籍ではありません。
それだけ、ネイガウスの長年の考えや想いが詰まっているということですね。
♬ 終わりに
一度読了してみてもいいでしょうし、
一部だけ学習して
日が経ってからさらに深く読み解いてみるのでも構いません。
多くのピアノ関係者が絶賛している一冊ですから
心配せずに手に取ってみてください。
◉ ピアノ演奏芸術―ある教育者の手記
(ゲンリッヒ・ネイガウス 著/森松皓子 訳 音楽之友社)
Amazon著者ページ
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