【ピアノ】「モーツァルト 楽曲構成と演奏解釈」(山縣茂太郎 著) レビュー

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【ピアノ】「モーツァルト 楽曲構成と演奏解釈」(山縣茂太郎 著) レビュー

► はじめに

 

本記事では、音楽理論書の著者としても知られる山縣茂太郎氏による「モーツァルト 楽曲構成と演奏解釈」を紹介していきます。この大作は全4巻からなり、モーツァルトのピアノ作品を細かく分析した貴重な研究書です。

 

・出版社:音楽之友社
・対象レベル:中級~上級者

 

 

・ピアノソナタ 上巻

 

 

 

 

 

 

・ピアノソナタ 中巻

 

 

 

 

 

 

・ピアノソナタ 下巻

 

 

 

 

 

 

・ピアノ独奏曲

 

 

 

 

 

 

► 内容について

‣ 各巻の構成と特徴

 

本書は以下の4巻から構成されています:

・ピアノソナタ 上巻(K.279-284):379ページ
・ピアノソナタ 中巻(K.309-333):351ページ
・ピアノソナタ 下巻(含むK.457など):376ページ
・ピアノ独奏曲:190ページ

合計約1,300ページに及ぶ大作であり、モーツァルトのピアノ作品を細部にわたって分析しています。

 

ピアノソナタ 上巻(K.279-284)

K.279からK.284までの6曲を収録。特に序説の「モーツァルトの動機」は、100ページオーバーによる本書全体の理論的基礎となる重要な章と言えるでしょう。

ピアノソナタ 中巻(K.309-333)

K.309からK.333までの7曲を収録。この中には人気の高いK.310やK.331(トルコ行進曲付き)も含まれています。

ピアノソナタ 下巻

K.457からK.576までの5曲と、幻想曲 K.475を収録。特にK.457とK.475の組み合わせは、モーツァルトの重要作品であり、マストで学習すべきでしょう。

ピアノ独奏曲

幻想曲(K.396、K.397)、ロンド(K.485、K.511)などの10曲の小品が分析されています。

 

‣ 本書の特徴

 

1. 徹底した楽曲分析

この書籍の最大の特徴は、演奏解釈書ではなく、徹底した「楽曲分析書」であるという点です。モーツァルトの楽曲構造を細部まで解剖しています。特に上巻の序説「モーツァルトの動機」では、共通動機やその特性、構造、機能について詳細に解説されており、モーツァルト作品の理解を深める基礎知識となっています。

2. 豊富な譜例

本書には非常に多くの譜例が掲載されており、文章による説明と合わせて視覚的に楽曲構造を理解することができます。これにより、モーツァルトの音楽語法や作曲技法への理解が深まります。

 

‣ 本書の考慮点

 

考慮点:

・運指やペダリングなどの実践的なアドバイスは範囲外
・分析記号が独特
・情緒的・感覚的な演奏解釈よりも分析に重点がある

 

► おすすめの読者層

 

この書籍は主に中級から上級のピアノ学習者、特にモーツァルトの作品に深く取り組みたい方や、音楽理論に興味のある方に適しています。初心者には内容が専門的過ぎる可能性がありますが、将来的な学習の参考資料として所持しておく価値はあるでしょう。

 

► 活用のヒント

 

本書に記載されている分析記号は独特で、最初は戸惑うかもしれません。完璧主義で全てを理解しようとするとつまずく可能性があるため、以下のようなアプローチをおすすめします:

・まずは興味のある作品や楽章から読み始める
・重要と思われる部分を選択的に拾い読みする
・徐々に著者の分析手法や用語に慣れていく

特に、現在取り組んでいる作品があれば、その楽章の分析から読み始めるのが効果的です。練習しながら本書の分析を参照することで、曲の構造や動機の発展、和声進行の意味などが明確になるでしょう。

 

► 終わりに

 

独学でピアノを学ぶ方にとって、この書籍はすぐに演奏に役立つ実用書というよりも、モーツァルト作品の理解を深める研究書として位置づけられます。日々のレッスンで直接参照するというより、モーツァルトの音楽語法や構造を学びたい時に頼りになる「辞書」的な存在と言えるでしょう。

特に以下のような方におすすめします:

・モーツァルトのソナタを演奏レパートリーに加えたい中上級者
・楽曲分析に興味があり、演奏に分析的視点を取り入れたい方
・モーツァルトをピアノで練習しているわけでなくても、古典派の基礎から分析学習したい方
・モーツァルトの作曲技法を深く理解したい方

 

 

・ピアノソナタ 上巻

 

 

 

 

 

 

・ピアノソナタ 中巻

 

 

 

 

 

 

・ピアノソナタ 下巻

 

 

 

 

 

 

・ピアノ独奏曲

 

 

 

 

 

 


 

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