【ピアノ】モーツァルト作品の演奏ポイント解説集:譜例付き実践ガイド

スポンサーリンク
スポンサーリンク

【ピアノ】モーツァルト作品の演奏ポイント解説集:譜例付き実践ガイド

► はじめに

 

本記事では、モーツァルトのピアノ作品における実践的な演奏アドバイスをまとめています。各曲の重要なポイントを、譜例とともに具体的に解説していきます。

この記事は随時更新され、新しい作品や演奏のヒントが追加されていく予定です。

 

► ピアノソナタ

‣ ピアノソナタ ハ長調 K.279

· 第1楽章

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、37-38小節)

モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.279 第1楽章」の譜例。37-38小節。スタッカートのついた16分音符と8分音符の音価の違いが丸印で示されている。

 

「連桁(れんこう)」が分断された、丸印で示した音を見てください。これらの音のうち、最後のG音のみが8分音符になっていることに気づいていましたか。これは、必ず弾き分けるべきです。

「16分音符+スタッカート」と「8分音符+スタッカート」とでは、その音価は明らかに異なります。ピッタリ2倍にするというよりは、「8分音符+スタッカート」のほうは余韻を残すようなイメージを持って表現するといいでしょう。

 

· 第2楽章

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)

モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.279 第2楽章」の譜例。曲頭。矢印で示されたメロディの軸を捉えるポイントが示されている。

矢印で示した部分を見てください。メロディの軸を把握すると矢印で示したようにメロディラインがつながっています。これらの音同士のバランスを考えて演奏すべきです。一旦跳躍しますが、1小節3拍目のメロディC音の響きをしっかりと記憶しておいて、その響きとかけ離れないような音色で2小節2拍目のB音を演奏しましょう。

このように、メロディを簡略化してその大枠を理解したうえで演奏方法を考えていくのは、重要な視点となります。

 

· 第3楽章

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、54-56小節)

モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.279 第3楽章」の譜例。54-56小節。左手でメロディのG音を取る運指と、隠されたフレーズがカギマークで示されている。

譜例へ補足したように、55小節目の頭のメロディG音は左手で取ってしまうといいでしょう。

本来、やたらにもう片方の手で取ってしまうことは望ましくありません。しかしここでは、メロディの「隠されたフレーズ」がカギマークで示したようになっているので、G音を左手で取ってしまうことで拍節を乱すわけではなく問題は生じません。

譜例のところは提示部ですが、再現部における対応する部分でも左手で取ることができます。

 

‣ ピアノソナタ 変ロ長調 K.281

· 第1楽章

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、12-14小節)

モーツァルト「ピアノソナタ 変ロ長調 K.281 第1楽章」の譜例。12-14小節。32分音符に付いたスタッカートをノンレガートで弾くポイントが示されている。

メロディにスタッカートが付けられているところがありますが、32分音符ですし、Allegroのテンポで切って弾くのは困難です。

これらは「切って弾く」というよりも、「ノンレガートで弾く」と捉えればいいでしょう。

では、どうやったら速いパッセージをノンレガートにできるのかについてですが、以下の練習をしてみてください:

① ノンレガートで弾きたい部分を、中ぐらいの速度でノンレガート練習する
② その時の指先の感覚を覚えておいてから、その感覚だけを意識したうえで、テンポを上げて ”普通に” 弾く

 

このようにすることでノンレガートのサウンドに近づくことができます。慣れてしまうと、どのような指先の感覚でパラパラすればノンレガートになるのかが身につくので、上記のステップを踏む必要はなくなります。

 

‣ ピアノソナタ 変ホ長調 K.282

 

モーツァルト「ピアノソナタ 変ホ長調 K.282」の全楽章の演奏法を詳しく解説。緩徐楽章で始まる珍しい構成、ダイナミクスの解釈、フレージング、装飾音の奏法など、実践的なヒントを譜例付きで詳しく紹介。ツェルニー40番中盤から挑戦できる古典派ソナタの演奏完全ガイドです。

 

詳細な解説記事はこちら → 【ピアノ】モーツァルト「ピアノソナタ 変ホ長調 K.282 全楽章」演奏完全ガイド

 

‣ ピアノソナタ ト長調 K.283

 

モーツァルト「ピアノソナタ ト長調 K.283」の全楽章の演奏法を詳しく解説。ツェルニー30番中盤から挑戦できる本作品について、各楽章の演奏テクニック、フレーズ解釈、ダイナミクス処理、運指まで譜例付きで徹底ガイド。ヘミオラ、対話構造、装飾音の弾き方など実践的なポイントを数多く掲載しています。

 

詳細な解説記事はこちら → 【ピアノ】モーツァルト「ピアノソナタ ト長調 K.283 全楽章」演奏完全ガイド

 

‣ ピアノソナタ イ短調 K.310

 

モーツァルト「ピアノソナタ イ短調 K.310」の全楽章の演奏法を詳しく解説。装飾音の処理、運指の工夫、フレージング、ダイナミクスの解釈まで、譜例付きで詳しく説明します。ツェルニー40番中盤程度から挑戦できる古典派の名曲を深く理解しましょう。

 

詳細な解説記事はこちら → 【ピアノ】モーツァルト「ピアノソナタ イ短調 K.310 全楽章」演奏完全ガイド

 

‣ ピアノソナタ ニ長調 K.311 (284c)

 

モーツァルト「ピアノソナタ ニ長調 K.311(284c)」の全楽章の演奏法を詳しく解説。フレージング、アーティキュレーション、運指、ペダリングまで、実践的な演奏ガイドを楽譜付きで詳しく紹介します。ツェルニー40番入門程度から挑戦できる古典派の名曲を、より深く理解して演奏しましょう。

 

詳細な解説記事はこちら → 【ピアノ】モーツァルト「ピアノソナタ ニ長調 K.311 全楽章」演奏完全ガイド

 

‣ ピアノソナタ ハ長調 K.330

· 第1楽章

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、69-74小節)

モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.330 第1楽章」の譜例。69-74小節。シンコペーションを横の流れで弾くポイントと、左手パートの柔らかい演奏法がカギマークで示されている。

カギマークで示した2箇所を見てください。

メロディがシンコペーションになっています。このような箇所は、タテ、タテ、タテになりがちなので、横の流れを意識して演奏しましょう。

特に69-70小節のほうは、メロディと交代交互で発音するように左手パートが書かれているので、このような左手をはっきり弾き過ぎてしまうと音楽が縦割りに聴こえてしまいます。バスのGis音は深めに弾いてもいいですが、それ以外の音はメロディのリズムの合間を添えていくだけようなイメージで柔らかく演奏しましょう。

 

· 第2楽章

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、21-23小節)

モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.330 第2楽章」の譜例。21-23小節。左手パートの音型を指先で丁寧に弾くことと、ハーフペダルを使用するポイントが示すための譜例。

ここでの左手パートのような音型はモーツァルトの作品でもよく見られるもので、流れを作っていく大切な役割が与えられています。

音自体をつかむのは容易なのですが、ニュアンスが難しい印象です。気を抜いて弾いていると、音が抜けたり、反対に大きく飛び出たりしてしまいます。指先で音を作っていく感覚を常に持って、丁寧に打鍵しましょう。

ペダリングは、ハーフペダルで十分です。

 

· 第3楽章

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、39-43小節)

モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.330 第3楽章」の譜例。39-43小節。メロディのエネルギーに沿って、矢印で示されたヤマへ向けてクレッシェンドをかけることが提案されている。

ここでは、メロディの小さな素材が3回繰り返されて、カギマークで示した「まとめのメロディ素材」へ向かっていきます。

作曲者によるダイナミクスの指示は書かれていません。しかし、矢印で示したようにメロディとバスが開いていくことを考えると、42小節目という一つのヤマへ向けて、39小節2拍目から多少のクレッシェンドをかけながら弾き進めるといいでしょう。

 

このように音楽のエネルギーに沿って多少のダイナミクス変化をつけることは、決して楽譜を無視していることにはなりません。大げさにやり過ぎて下品にさえならなければ、むしろ推奨されるべきことです。

 

‣ ピアノソナタ イ長調 K.331(トルコ行進曲付き)

· 第1楽章

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、1-4小節)

モーツァルト「ピアノソナタ イ長調 K.331 第1楽章」の譜例。1-4小節。丸印の大きさで示された音の粒のバランスと、徐々に上げるペダリングの使い方などが示されている。

1小節目の丸印を見てください。これは、音の粒の大きさを視覚化したものです。

1拍目に一番重みが入ります。あくまで目安ではありますが、3つの大きさの丸印を使い分けています。8分音符が飛び出たりと、このエネルギーが逆になってしまうと不自然です。

ここに書き込んだペダリングも、丸印のサイズとリンクしている点に着目してください。曲線矢印のように、徐々に上げていきます。そうすることで、音響がスーッと薄くなっていく効果を出すことができます。

 

· 第2楽章

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、3-4小節、9-10小節)

モーツァルト「ピアノソナタ イ長調 K.331 第2楽章」の譜例。3-4小節 9-10小節。構造を示すカギマーク付き。

3-4小節(譜例上)は、演奏していてリズムが何だかしっくりこないと思いませんか。

構造的には、カギマークで示したように「2拍×3」で「2小節分の6拍」、9-10小節目(譜例下)は、3-4小節目と同じく、構造的にはカギマークで示したように「2拍×3」で「2小節分の6拍」になっています。

この骨格を踏まえたうえで演奏しましょう。

 

· 第3楽章

 

モーツァルト「トルコ行進曲」の演奏法を詳しく解説。装飾音の入れ方、テンポ設定、簡易分析など、音楽的な演奏のための具体的なポイントを楽譜付きで詳しく紹介します。ツェルニー30番入門程度から挑戦できる名曲を、より深く理解して演奏しましょう。

 

詳細な解説記事はこちら → 【ピアノ】モーツァルト「トルコ行進曲」演奏完全ガイド

 

‣ ピアノソナタ ヘ長調 K. 332 (300k)

· 第1楽章

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、7-11小節)

モーツァルト「ピアノソナタ ヘ長調 K.332 第1楽章」の譜例。軸になる音がカラーで示されている。

レッド音符で示した音を見てください。「Fa-So-La」という順次進行で上がっていくラインができています。まずはこれらのバランスをとっていくことが大切です。

8小節目では内声が動くので、それらがメロディのように聴こえてしまわないように大きさに注意しましょう。

「9小節3拍目」と「10小節目の頭」で、2回D音が鳴りますが、小節頭である後ろのD音のほうに重心が入ります

 

‣ ピアノソナタ 変ロ長調 K.333

 

モーツァルト「ピアノソナタ 変ロ長調 K.333」全楽章の演奏ガイド。第1楽章から第3楽章まで、フレージング、ペダリング、運指、装飾音など具体的な演奏のコツを楽譜付きで詳しく解説。ツェルニー40番中盤程度から挑戦できる作品のレッスンです。

 

詳細な解説記事はこちら → 【ピアノ】モーツァルト「ピアノソナタ 変ロ長調 K.333 全楽章」演奏完全ガイド

 

‣ ピアノソナタ ハ短調 K.457

 

モーツァルト「ピアノソナタ ハ短調 K.457」の全楽章の演奏法を詳しく解説。運指、ペダリング、フレージング、ダイナミクスなど具体的な演奏ポイントを楽譜付きで詳しく紹介。ツェルニー40番中盤から挑戦できる傑作ソナタを音楽的に深く理解できます。

 

詳細な解説記事はこちら → 【ピアノ】モーツァルト「ピアノソナタ ハ短調 K.457 全楽章」演奏完全ガイド

 

‣ ピアノソナタ ハ長調 K.545

 

モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.545」の全楽章の演奏法を詳しく解説。初心者〜初中級者向けながら油断できない名曲を、楽曲構成・和声分析・奏法のポイントなど多視点から徹底解説します。

 

詳細な解説記事はこちら → 【ピアノ】モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.545 全楽章」演奏完全ガイド

 

‣ ピアノソナタ 変ロ長調 K.570

 

モーツァルト「ピアノソナタ 変ロ長調 K.570」の全楽章の演奏法を詳しく解説。運指の工夫、フレージング、声部バランスなど実践的なアドバイスを譜例付きで紹介。ツェルニー40番入門程度から挑戦できる名曲の演奏ガイドです。

 

詳細な解説記事はこちら → 【ピアノ】モーツァルト「ピアノソナタ 変ロ長調 K.570 全楽章」演奏完全ガイド

 

‣ ピアノソナタ ニ長調 K.576

· 第1楽章

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、16-19小節)

モーツァルト「ピアノソナタ ニ長調 K.576 第1楽章」の譜例。16-19小節。左手のバス音を「4分音符+8分休符」で弾くという、フィンガーペダルに代わる提案が示すための楽譜。

ここでの左手パートは、フィンガーペダルでバス音を保って演奏するやり方も広く行われています。しかし、特に16小節目や18小節目はバス音のD音が同音連打になるので、どのタイミングで鍵盤を上げるのかがコントロールしにくく、ギクシャクしてしまうことでしょう。

おすすめのやり方は、16-19小節までのすべてのバスを、付点4分音符でいっぱいに伸ばすのではなく「4分音符+8分休符」にしてしまうというものです。

 

· 第2楽章

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、5-8小節)

モーツァルト「ピアノソナタ ニ長調 K.576 第2楽章」の譜例。5-8小節。丸印で示された解決音Eisの減衰を聴き、Fis音を顔を出すように弾くポイントが示されている。

丸印で示したメロディのEis音を見てください。

この音は、直後に出てくるメロディのFis音へ解決する音です。つまり、Fis音が目立って大きく出てきてしまうと音楽的に不自然です。Eis音の減衰をよく聴いていて、その響きの中から顔を出すようにFis音を弾いてください。

 

曲頭からの大楽節の8小節間において一番のヤマになるのは、もちろん7小節目です。先ほど話題にしたFis音からの3つのメロディ音を使って少しふくらませて7小節目へ繋げましょう。

 

· 第3楽章

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、35小節目)

モーツァルト「ピアノソナタ ニ長調 K.576 第3楽章」の譜例。35小節目。手の大きさに合わせた運指と、ダンパーペダルによるサポートが示されている。

左の譜例へ書き込んだ運指は割と多くの版でとられている運指ですが、手の大きさが必要な弾き方です。左の譜例の運指だと難しい場合は、右の譜例のように弾くといいでしょう。

5の指の連続だとメロディのレガートを表現できないので、ダンパーペダルでサポートしています。また、下段のFis音を右手で弾いてしまうのがポイントです。

 

譜例の35小節目と対応する126小節目でも、調性は変化しているものの同様のやり方が可能となっています。

 

► 変奏曲

‣ きらきら星変奏曲  [ああ、お母さん、あなたに申しましょう] による12の変奏曲

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、9-16小節)

モーツァルト「きらきら星変奏曲」の譜例。9-16小節。15小節目の3音の装飾音を素早く軽やかに演奏するポイントが示されている。

15小節目は注意が必要です。

装飾音が3音もありますが、素早く演奏し、2拍目はきちんと「時間通り」にくるようにする必要があります。装飾音符以外の音は楽曲の骨格なので、装飾音を取り除いて練習してみるのもいいでしょう。

装飾音を入れる際には、極めて軽く演奏して、骨格の音より強くならないように注意しましょう。

 

► 終わりに

 

モーツァルトの作品には、独特の音楽語法と表現技法が詰まっています。

本記事では、実践的な演奏アプローチを紹介していますが、これらはあくまでも一つの解釈として捉えていただければと思います。

今後も新しい作品や演奏のヒントを追加していく予定ですので、定期的にご確認いただければ幸いです。

 


 

► 関連コンテンツ

著者の電子書籍シリーズ
・徹底分析シリーズ(楽曲構造・音楽理論)
Amazon著者ページはこちら

YouTubeチャンネル
・Piano Poetry(オリジナルピアノ曲配信)
チャンネルはこちら

SNS/問い合わせ
X(Twitter)はこちら

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました