【ピアノ】身体に返ってくる喜びを感じて音楽をする
► はじめに
ピアノを演奏する際、我々は指先から生まれる音色や響きに魅了されます。しかし、その体験はただ音を出すだけのものではありません。演奏を通じて感じる「身体に返ってくる喜び」こそが、ピアノとの関わりの醍醐味の一つと言えるでしょう。
この喜びは演奏だけでなく、作曲や編曲の過程においても重要な要素となります。音符を紙面に記す行為だけでなく、その音符が実際の音として空間に響き、身体に返ってくる瞬間こそが、音楽創作の本質的な喜びとも言えます。
本記事では、この身体的感覚とピアノ演奏・創作の関係性について考察し、より豊かな音楽体験へとつながるヒントをお伝えします。音楽との関わり方がより深まるようなアプローチを探っていきましょう。
► 身体に帰ってくる喜びとは
‣ 演奏と身体感覚の密接な関係
ピアノを弾く時には、それが身体に返ってくる喜びを感じましょう。これは単なる抽象的な概念ではなく、実際に体験できる感覚です。例えば:
1. 聴く楽しみは身体的なものがある
音楽を聴くという行為は、単に耳で音を捉えるだけではなく、身体全体で振動を感じ、時には鳥肌が立ったり、胸が高鳴ったりする身体的な反応を伴います。
2. 世界を整えている喜び
音楽を通じて自分の内側と外側の世界が調和するとき、深い満足感を得ることができます。一つ一つの音が適切な場所に収まり、全体として美しい秩序が生まれる瞬間です。
これらの感覚は、演奏技術の向上とともに深まっていくものです。初心者の方は、まずは自分の出す音に注意を向け、その音が自分の身体にどのように返ってくるかを意識してみましょう。
‣ 創作と演奏の循環
作曲や編曲の過程においても、この「身体に返ってくる喜び」は重要な要素となります。譜面に音符を書くだけでなく、それを自分自身もしくは他者が演奏して、それを聴く喜びがあります。これは音楽における大きな特徴です。
筆者は、このWebメディアで文章をたくさん書いていますが、同じ「書く」行為であっても、音楽のような身体的な聴く楽しみはありません。
‣ 歴史的な視点からの考察
「ピアノの演奏様式」 著:ピーター・クーパー 訳:竹内ふみ子 / シンフォニア
という書籍には、以下のような興味深い一節があります。
ショパンはリストがショパンのエチュードをひくのを聴いて嬉しく感じたが、それは自分では実現することができなかった力をそのエチュードが持っていたからである。
(抜粋終わり)
これは、作曲家であるショパンが、自分の作品を卓越したピアニストであるリストが演奏するのを聴いて、新たな発見や喜びを得た瞬間を描写しています。自分が書いた音符が、別の演奏家の手によって予想以上の表現力を獲得する—この体験は、作曲家にとって大きな喜びとなります。
聴く行為は演奏家にとっても作曲家にとっても、自己啓発的な意味があると言えるでしょう。もっと「聴く」ことで、自分の音楽的視野が広がります。
► 終わりに
音楽は多層的な喜びをもたらしてくれます。これこそが音楽という芸術形態の他にはない魅力だと踏まえたうえで、再度、演奏や創作へ向かってみてください。
・ピアノの演奏様式 著:ピーター・クーパー 訳:竹内ふみ子 / シンフォニア
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