今回は、
「完全段落の場所を把握する」
という楽曲分析方法を取り上げます。
完全段落というのは
あまり使われない言葉ですが、
分析本では目にすることがあります。
意味としては
文字通り、完全に段落感をつける部分のこと。
例えば、以下の譜例を見てください。
モーツァルト「ピアノソナタ第11番 K.331(トルコ行進曲付き) 第3楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、22-26小節)
26小節目に見られる完全終止は、完全段落。
いったんきちんと終わらせて
完全に段落感をつけているのが分かると思います。
譜例の部分に限らず、
この楽曲は完全段落が多い作品となっています。
完全終止というのは
通常、楽曲の中に何度か出てきますが、
それらすべてが完全段落というわけではありません。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、19-24小節)
この譜例の点線で区切った部分では
完全終止をしていますが、
メロディが主音にいる長さがたいへん短く
サラリと次へ続くので
完全段落とはみなしません。
実際に、段落感は強く感じないはずです。
もう一例を見てみましょう。
譜例(PD作品、Finaleで作成、27-29小節)
28小節目のように、
特に古典的な作品の場合、
ソナタ形式における提示部の最後は
きちんと終わらせる楽曲が多いですね。
このような部分はとうぜん、完全段落に分類します。
一方、無窮動のような
ノンストップで常に一定したリズムがある楽曲では
和声上、完全終止は出てきても
完全段落はつくらずに一気に進んでいくものが多い。
その場合は、
楽曲のいちばん最後の終止のみが完全段落となります。
「完全段落の場所を把握する」というのは
ささいながらも
楽曲分析としておこなうべきもののひとつ。
楽曲のエネルギーがどこへ向かっているのかなどを
把握することができます。
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