【初中級者必読】楽曲分析の続け方 〜挫折しないための継続ガイド〜
► 本記事の対象者
こんな方におすすめ
・楽曲分析の学習を始め、これから中級レベルを目指したい方
・分析学習で挫折しかけている方
・独学で楽曲分析に取り組んでいる方
► はじめに
楽曲分析は、音楽理解を深める上で欠かせないスキルですが、継続的な学習には工夫が必要です。
本記事では、以下の3つの柱を中心に、効果的な学習方法をご紹介します:
学習の3つの柱
1. 実践的アプローチ:無理なく続けるための具体的な方法
2. 知的好奇心の活用:学習を楽しむためのコツ
3. 効果的な学習方法:より深い理解を得るための戦略
この記事を読むことで得られるもの:
・継続的な学習のための具体的な行動指針
・モチベーション維持のための実践的なテクニック
・効果的な学習環境の作り方
► 実践的アプローチ
‣ 少しでも、毎日続ける
「習慣の途切れ」を避けることが、分析学習において最も重要です。
完璧を目指すのではなく、継続することを優先しましょう。
具体的な目安:
・1日10分以上の学習時間確保
・朝の時間帯での実施推奨(夜は疲れて集中力が落ちやすい)
・1週間のうち最低5日は実施
「ちょっとでも、多少手抜きでも、気をラクにして毎日続ける」
これが、習慣から外さないためには最も重要な点です。
‣ なぜ、毎日続かないのか
「楽曲分析(アナリーゼ)」というのは楽曲理解のためには欠かせませんが、
正直、やらなくてもピアノを弾くことはできますし、どれくらい深く分析するのかも、学習者の自由です。
こんな経験はありませんか?
・「今日は疲れているから…」と後回しにする
・「もっと時間があるときにやろう」と思って結局やらない
・準備が面倒で着手できない
これらは、誰もが経験する一般的な課題。次のセクションで、その解決策をご紹介します。
‣ 分析学習の習慣を維持するコツ
学習開始までのハードルを限りなく下げることが鍵となります。
具体的な工夫例:
1. 物理的な環境整備
・分析用の楽譜を開いたままにしておく
・ピアノ周りに必要な教材を常備
・デジタルデバイスの場合は、楽譜アプリをホーム画面に配置
2. 時間的な工夫
・「10分だけ」と決めて始める
・通勤・通学時の隙間時間を活用
・朝の準備時間に組み込む
► 知的好奇心の活用
‣ 分析におけるちょっとした発見を、いちいち喜ぶ
音楽作品には、作曲家の創意工夫が満ちています。
例えば、以下のような発見が学習意欲を高めます:
具体例:モーツァルトの手法比較
モーツァルトの2つのソナタを比較してみましょう:
譜例A
モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.279 第3楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、135-140小節)
譜例B
モーツァルト「ピアノソナタ イ短調 K.310 第3楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、233-238小節)
これらの作品では、同じ音型が異なる文脈で使用されています。
このような発見は、作曲家の思考プロセスを理解する手がかりとなります。
作曲された時期こそずれていますが、
モーツァルトの中から湧き出てくる音楽的な共通点が見えていることに興味を持ちましょう。
‣ 目から鱗が落ちたときに、それを忘れないでおく
筆者の経験談で解説します。
昔、楽曲分析の力が上がるよりも前にピアノのレッスンを受けていたときには、
「ここで遅くしないで」
「ここで弱めないで」
などと注意されてそれを直していましたが、
そうすることで何となく音楽的な演奏に近付くだけで、楽曲が変わると対応できなくて困っていました。
しかし、楽曲分析をすることで
「音楽はここへ向かっているから、ここまでは遅くしないほうがいいだろうな」
「音楽はここへ向かっているから、ここまでは弱めないほうがいいだろうな」
などとエネルギーの動向から考えるようになりました。
ひとつひとつ暗記で対処していたことがまとめて直ってしまうことに気が付いて、目から鱗が落ちたんです。
その経験を忘れないようにして意識していたというか、その経験が忘れられなかったからこそ、
楽曲分析の魅力から離れられなくなりました。
‣ 必ずピアノで音を出してみる
その作品について詳しくなる最良の方法は、
机上で楽曲分析をすることとピアノで弾いてみることの、“両方” を行うことにあります。
実践方法
・まず譜面で分析
・音源で全体像を把握
・ピアノで部分的に音出し
・気になる箇所を重点的に音出し
► 効果的な学習方法
‣ 共同学習の活用
楽曲分析が楽しくなるコツは、「みんなで分担して分析する」というやり方。
とにかく、周りの音楽仲間を巻き込んでください。
実施内容
・一つの楽曲をみんなで分担して分析する
・分析関連の書籍などを、数人で回し読みする
友人と分担して、一人あたりの分析範囲を狭くし、数十分後にみんなで顔を突き合わせてシェア学習します。
全体を踏まえないと見えてこない部分もあるので、
シェア後にみんなで、全体の構成や全体を踏まえた細部のことについて意見を出し合います。
この分析方法は、筆者が大学院の作曲ゼミでも経験したやり方。
必ずしも難しいことをやる必要はなく、短いシンプルな作品を2-3人で楽しみながら分析するのでも構いません。
みんなで大机を囲んで騒ぐタイプのものは、力がわき出るような経験になります。
‣ オンライン時代の共同学習
従来の対面での学習に加え、オンラインでの共同学習も効果的です:
実践的な学習コミュニティの作り方
1. オンラインでの分析会
・Zoomなどのビデオ会議ツールを活用
・画面共有機能で楽譜を共有
・録音機能で議論を記録
2. 効果的なグループ学習のコツ
・2〜5人の少人数グループが理想的
・定期的な開催日時を設定
・各回のテーマを明確に設定
‣ 学習記録の活用
進捗を可視化することで、モチベーション維持につながります:
記録方法の例
・学習日誌をつける
・発見したことをノートに整理
・定期的に過去の記録を振り返る
【おすすめ参考文献】
楽曲分析をより深く学びたい方へ:
・大人のための独学用Kindleピアノ教室 【シューマン ユーゲントアルバム より メロディー】徹底分析
※「楽式論」「作曲の基礎技法」は、専門的な内容を含む中〜上級者向けの書籍です。
【関連記事】
▶︎ 体系的に学びたい方はこちら
初級 楽曲分析学習パス
▼ 関連コンテンツ
著者の電子書籍シリーズ
・徹底分析シリーズ(楽曲構造・音楽理論)
Amazon著者ページはこちら
・SNS/問い合わせ
X(Twitter)はこちら
コメント