「斎藤秀雄 講義録」レビュー:学習者必読の特徴と印象的な教え
► はじめに
世界的な指揮者・小澤征爾氏の育ての親として知られる斎藤秀雄氏。その厳格な指導と深い音楽的洞察は、多くの音楽家たちの心に強く刻まれています。
本書は、その貴重な講義の記録を凝縮した珠玉の一冊です。
・斎藤秀雄 講義録(白水社)
► なぜ今、この講義録なのか
近年のオンライン学習の普及により、音楽教育はより手軽になりました。しかし、その一方で、音楽の本質的な理解が置き去りにされる傾向が見られます。
本書の特徴は、単なる楽曲解説集ではないことです。斎藤氏独特のユーモアに富んだ例え話を交えながら、音楽への真摯な向き合い方、心構え、そして人生における音楽の意味を深く掘り下げていきます。デジタル時代だからこそ、この「アナログな知恵」が新鮮な気づきを与えてくれるのです。
► 概要
‣ この講義録の特徴
・臨場感溢れる講義形式
実際の講義を再現した本書では、斎藤氏の語り口がそのまま活字になっています。まるでその教室にいるような臨場感を味わうことができます。
・普遍的な音楽の本質に迫る
ピアノ曲に限らず、様々な楽曲を題材に、音楽表現の本質的な要素を探求していきます。これは、あらゆる楽器の演奏家にとって貴重な学びとなるでしょう。
・総合的な成長を促す
技術的な指導にとどまらず、心構えや音楽への向き合い方など、人間的な成長をも促す指導が豊富です。
‣ 印象的な内容から
項目「クレッシェンドの型」より
斎藤氏は、クレッシェンドを以下の4つの型に分類して解説しています:
・直線型
・富士山型
・若草山型
・複式火山型
項目「バッハを弾くためには」より
僕からどんな講義を聴いても、あなたが直接自分で研究して分かるんじゃなかったら、これは何の役にも立たない。考えるヒントはどこにあるかということだけ僕から教わったら後は自分で考える。
(抜粋終わり)
この言葉は、単に教わるだけでなく、自ら考え、発見することの大切さを説いています。
► こんな方におすすめ
・表面的な弾き方を知るだけでなく、音楽の根本的な理解を深めたい方
・練習の行き詰まりを感じている方
・音楽教育に携わる指導者の方
・音楽を通じて人間的な成長を目指す方
► 終わりに
多くの音楽家が証言するように、この講義録は学習の際の確かな指針となるでしょう。筆者自身、自分の音楽がふらついた時、必ずこの書籍へ戻ってくるようにしています。その度に新たな気づきが得られ、励まされます。
デジタル化が進む現代だからこそ、斎藤氏の伝える普遍的な音楽の真理は、より一層輝きを増しているように思えます。
・斎藤秀雄 講義録(白水社)
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