【ピアノ】ワン・マンズ・ドリームII – ザ・マジック・リブズ・オン / ヤマハ出版・自編曲(上級):楽譜・音源・演奏ポイント
► はじめに:本記事の趣旨
本記事では、筆者がヤマハ出版向けに編曲したピアノソロ楽譜「ワン・マンズ・ドリームII – ザ・マジック・リブズ・オン(One Man’s Dream II – The Magic Lives On)」について、楽譜の紹介・参考音源の案内・演奏上のポイントをまとめています。
楽譜を手にされた方が練習をスムーズに進められるよう、各セクションごとに具体的な演奏上の注意点を解説します。
想定演奏レベル:ツェルニー40番修了程度
演奏時間:約4分20秒
►「ワン・マンズ・ドリームII – ザ・マジック・リブズ・オン」について
「ワン・マンズ・ドリームII – ザ・マジック・リブズ・オン(One Man’s Dream II – The Magic Lives On)」は、東京ディズニーランドのトゥモローランド・ショーベースにて2004年から2019年まで上演されたステージショーで使用されている楽曲です。
ウォルト・ディズニーその人の夢と情熱、そしてその遺産が今も生き続けることへの敬意をテーマとしており、壮大さと感動的なメロディが特徴と言えるでしょう。
約15年にわたり多くの来園者に愛され続け、ショーベースを代表する長期公演のひとつとなりました。なお、一部音源は東京ディズニーリゾート35周年の記念アルバムにも収録されています。
► 楽譜と参考音源
‣ 楽譜
本編曲は以下の楽譜集に収録されています。
発表会で演奏効果を狙いたい方や、ショーの感動をピアノ1台で再現したい上級者の方に最適な一冊です。
東京ディズニーリゾート(R) 35周年 ”ハピエストセレブレーション!” ミュージック・アルバム
以下のリンクより、ぷりんと楽譜でも入手できます。
» ワンマンズ・ドリームII – ザ・マジック・リブズ・オン
‣ 音源
上記楽譜に基づいた演奏音源です。強弱・テンポ・ペダリングなど表情付けの参考にしてください。
► この編曲の活用例
本編曲は以下のような場面での活用を想定しています。
中上級者以上のレパートリーとして:
・発表会での演奏レパートリーとして
・難易度は高めで「ツェルニー40番修了程度」だが、仕上がれば場面転換も多く聴き応えがある
編曲学習の教材として:
・アンサンブルで演奏する作品をピアノソロとしてどのように成立させるか
・場面転換など、編曲上のアイデアを学ぶ参考資料としても活用可能
BGMとして
・ディズニーの世界観をピアノソロで楽しむ鑑賞用音楽としても適している
► 演奏ポイント
楽譜と音源の主な相違点
「57-60小節」および「120-123小節」は音源では楽譜と異なる演奏をしています。楽譜では演奏のしやすさを優先し、別所の似た箇所をそのまま移調する形にしていますが、より音楽的な演奏にするための判断です。権利の関係で楽譜は掲載できませんが、音源を参考に少し変えて弾いていただいても構いません。
また、音源では66小節4拍目に「H Cis」という楽譜には書かれていない8分音符を入れています。これも入れて弾いてみてください。
‣ 1-9小節(序奏)
・1-2小節はノンペダルで弾く
・フィンガーペダルで残されるように書かれているE音は、左手の和音と一緒に一つの響きを作るイメージを持つ
・2小節目の16分音符の受け渡しは滑らかに
・3小節目からは右手をつなげるためにペダルを用いる
・ただし、16分音符で濁るのでハーフペダルで十分
・耳をよく使って踏み替える
・5小節2拍目の右手Gis音はメロディの始まりの音なので明確に弾く
・9小節目の f の部分はたっぷり目に弾き、10小節1拍目をキメる
・1-9小節は一音一音刻んでしまうと音楽が停滞するので、横の流れを意識し、テンポも遅すぎないように
‣ 10-18小節(練習番号A)
・10小節4拍目のA音は、同時発音するメロディFis音を際立たせることが難しければ省略可
・13小節目には、f のまま入る
・その後にデクレッシェンドする
・15小節目に入るときはペダルでつなげず、一瞬音響の切れ目を入れて場面転換を明瞭に
・軽さを意識し、テンポが遅くならないように
・ここからは2/2拍子になることを意識する
・18小節目に出てくる高い音は大きくなりすぎずに
・別の場所で別の楽器で鳴っているイメージで
‣ 19-32小節(練習番号B)
・23-24小節は左手が難しいので、譜読みの段階から「左手のみを先に暗譜してしまう」と難易度が下がる
・楽譜には書かれていないが、27小節目の左手A音からタイを伸ばし、次の小節のA音と結合するのを推奨
・そうすることで、同音連打が避けられるので演奏しやすくなる
・楽譜には書かれていないが、28小節目の右手Fis音を弾くときは、1拍目頭で鳴らしたD音とA音も指で残しておく
・このフィンガーペダルを活用することで、ペダルを踏み替えても音響が途切れず、和声の響きが充実する
・31小節目に rit. が書かれているが、原曲ではもう1小節前から rit. しているので、解釈によって変更可
‣ 33-44小節(練習番号C)
・33小節目からのアルペッジョはハープのイメージで
・34小節目のアルペッジョは省略して構わない
・直前に3連符が出てくるため、かなり速くアルペッジョしないと間延びしてしまうため
・また、1拍目に鳴らされる右手のこの和音は、F音を省略しても構わない
・直前にF音が鳴っていて弾きにくいため
・同様に、35小節目のアルペッジョも右手のみ省略可
・左手のアルペッジョは残して柔らかい音色を作る
・この小節の1拍目に鳴らされる右手の和音は、C音とF音を省略しても構わない
・35小節3拍目に出てくる低いほうのF音は左手でとると弾きやすくなる
・36小節目のトリルは「45232323 – 」の運指を推奨
・内声の響きはペダルで伸ばす
・37-38小節の低音部分は、スケルツァンド風に
・装飾音を軽く弾き、「Fa La Do Fa」という軸の音が埋もれないように
・38-39小節の最高音に書かれた注釈は、グランドピアノでしかできない特殊奏法
・アップライトピアノや電子ピアノの場合は、鍵盤の裏(膝の上)の部分の木部を拳で叩いて代用する
・会場によっては特殊奏法が禁止されている可能性がある
・したがって、どんなピアノでも「最高音のC音で弾く」方法で代用しても構わない(音源参照)
・40小節目に入ったときに、今一度テンポを作る
・この小節の入りはマイナーコード(短和音)の影のある響きを感じて弾く
・41小節目のアルペッジョも省略可
・42小節目のアルペッジョも右手のみ省略可
・また、42小節1拍目に鳴らされる右手のこの和音は、F音を省略しても構わない
・44小節目の最後の f で一気に空気を変える
・この場面転換を活かすために、練習番号Cの全体はテンポが速くなりすぎないように注意する
‣ 45-56小節(練習番号D)
・46小節3拍目からは音が薄くなるが、エネルギーは持続させる
・その前の1小節半というエネルギーを作るきっかけを無駄にしない
・46小節4拍目の左手Es音は省略して構わない
・47小節目からは、アクセントのついている音をファンファーレのようにしっかりと響かせる
47-52小節のペダリング(すべてハーフペダルで):
・47小節目:4拍目のみ
・48小節目:2拍目と4拍目のみ(1拍目と3拍目は踏まない)
・49小節目:3-4拍目
・50小節目:2拍目と4拍目のみ
・51小節目:2拍目のみ
・52小節目:3-4拍目
・このペダリングは、8分音符の濁りを最小限に抑えつつ、アクセント音の音が途切れないようにする工夫です。
・52小節目の最後のC音とD音を「1 4」の指で弾くと、次の小節の和音にスムーズに入れる
・54小節目と55小節目の間には時間を作らずノンストップで
・56小節2拍目まで一気に弾き切る
‣ 57-71小節(練習番号E)
・段違いなので見落としがちだが、62小節目の最後のC音は、63小節目の最初のH音につながっている
・音量バランスに気をつけて連結する
・また、このH音は、直後のGisへ解決するのではなく、ペダルで音をつないで3拍目のCis音に接続される
‣ 72-86小節(練習番号F)
・74小節目では、メロディの濁りを考慮して、2拍目もペダルを踏み変える
・このときに、バスのE音をフィンガーペダルで残しておき、音響が希薄になるのを避けるように
・「84小節4拍目裏〜85小節1-3拍目」のメロディは、原曲ではメインメロディではない
・したがって、楽譜には書かれていないが、演奏上少し音量を落とすことで差をつける
・そして、85小節4拍目からは f で弾いてキメる
‣ 87-94小節(練習番号G)
・87小節のアウフタクトからはガラリとダイナミクスを変えて雰囲気を作る
・ここからのメロディでは、Fis音が連打されるが、全部が同じ音量で並んでしまうと音楽的ではない
・87小節目からの左手はうるさくならないように、背景で鳴っている感じで
・90小節目はピールオフと呼ばれる書法(参考:【ピアノ】ピールオフとは:基礎分析と演奏のポイント)
・メロディのE音を響かせ、その響きの中から内声が「剥がれてくるように」静かに弾く
・91小節目からは、メロディは同音連打されるが、内声が動く
・この内声をよく聴きながら弾く
‣ 95-102小節(練習番号H)
・95小節目からは、直前よりもダイナミクスは少し上がるが、音が少ないので落ち着いた雰囲気で
・ここを落ち着いて弾くことで、103小節目からの動き出しが活きてくる
・98小節目は広がりを感じて弾く
・99小節目はメロディの同音連打をつなげるために、2拍目と4拍目のみ薄くペダルを踏む
・ここの右手2-4拍目の運指は「343454」
・101-102小節はテンポを緩めず、ノンストップで103小節目へ入る
‣ 103-110小節(練習番号 I )
・103小節目からの左手パートはうるさくないように
・ここからはテンポを守ることで、この伴奏形が活きる
・ドラムの「4つ打ちキック」をイメージした伴奏形
・108小節3-4拍目の左手は休符なので、しっかりとペダルを踏み替える
・109小節目は広がりを感じて弾く
・110小節目は揺らさず、正確なリズムで
‣ 111-126小節(練習番号J)
・125小節4拍目「表」のG音は、長2度上のA音で弾いても構わない
・4拍目「裏」のG音はそのままで
‣ 127-137小節(練習番号K)
・126小節3拍目からは、メロディが「問い」と「応え」のように繰り返される
・後から出てくる低い応答のほうがやや控えめに
・低い応答を弾いているときも、上で伸びているメロディのD音を聴き続ける
・131小節3拍目の左手和音にはアクセントが書かれているが、右手を隠蔽しないようにやや加減する
・その後のトレモロも右手のスケールを隠蔽しないバランスで弾く
・132小節目のトレモロ直後の左手オクターヴは、オクターヴの上の音を省略して下のみで弾いて構わない
・そうすると弾きやすくなる
・134小節目の右手トレモロは、入りだけ強く響かせ、あとはやや加減して弾く
・全部をマックスで鳴らすとただうるさいだけになってしまう
・134小節目からは、リズムを正確に、最終音までノンストップで一気に弾く
► 終わりに
本記事の解説が、演奏をするうえでの参考になれば幸いです。また、ピアノ編曲を学ぶ方は、楽譜を分析学習する教材としてもぜひご活用いただけたらと思います。
関連内容として、以下の記事も参考にしてください。
【ピアノ】作曲・編曲テクニック 関係記事まとめ:入門から応用まで体系的に学ぶ
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