【ピアノ】ブルグミュラー25の練習曲程度で弾けるロマン派変奏曲3曲

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【ピアノ】ブルグミュラー25の練習曲程度で弾けるロマン派変奏曲3曲

► はじめに

 

変奏曲は技術的な向上と音楽的な表現力の両方を育むのに適した楽曲形式です。本記事では、ブルグミュラー25の練習曲を修了した程度の演奏者が取り組める、厳選されたロマン派の変奏曲3曲を紹介します。

各作品は演奏時間が3〜5分程度で、技術的な負担が適切であり、かつ音楽的価値の高い作品を選定しました。

 

► 厳選した3つの変奏曲

 

選曲基準:

以下の3つの観点から慎重に選曲を行いました:

1. 演奏しやすさ:技術的負担が適切で、楽曲が長過ぎないこと
2. 楽譜の入手性:信頼できる楽譜が容易に入手できること
3. 音楽的価値:レパートリーとして価値のある作品であること

 

なお、本記事では明確に「主題と変奏」の形式を取っている作品のみを対象とし、「変奏形式」(明確な主題と変奏の形式はとっていないが、変奏展開していく作品)は除外しています。

 

‣ シューベルト「7つの変奏曲」

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

作曲年:1812年
演奏時間:約5分
難易度:ブルグミュラー25の練習曲修了程度

 

作品概要

主題と7つの変奏からなる小品です。各変奏にはD.C.(ダ・カーポ)が書かれており、小さなカデンツァ的部分も含んでいます。今回紹介する3曲の中では最も大きな規模を持つ作品です。

 

表現や技術的なポイント:

・カデンツァ的部分に小節線は無いが、自由にし過ぎず、小音符の音価を把握しておく
・最終変奏のにぎやかさを活かすためにも、第6変奏は柔らかく語る
・多用されるスケールとアルペジオが機械的にならないよう、音楽的な流れを意識

 

‣ シューマン「子供のための3つのピアノソナタ 第1番 第2楽章 Op.118a-2」

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

作曲年:1853年
演奏時間:約3分
難易度:ブルグミュラー25の練習曲修了程度

 

作品概要

主題と5つの変奏からなる小品です。シューマンが娘たちのために書いた3つのソナタから抜粋された楽章で、親しみやすい美しさを持ちながらも、シューマンらしい繊細な表現が要求されます。

 

表現や技術的なポイント:

・テーマに出てくる「付点+休符」では音価に注意し、短過ぎたり次の音へつなげたりしないように注意する
・各変奏が短いため、それぞれのキャラクターの違いを明確に表現する
・片手で2声を扱う箇所が頻出するため、大事な音と隠したい音を区別する

 

‣ マイカパル「ロシアの主題による変奏曲 Op.8-14」

 

サムイル・マイカパル(1867-1938):ロマン派後期に属しつつ、近現代の初期まで活動したピアニスト兼作曲家

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

作曲年:不明(およそ1890〜1920年代と推定)
演奏時間:約3分
難易度:ブルグミュラー25の練習曲修了程度

 

作品概要

主題と3つの変奏からなる小品です。第2変奏はカノンで構成されており、対位法的な音楽面での工夫が見られます。無伴奏で始まる、ロシアの民謡風な親しみやすい主題が魅力的です。

 

表現や技術的なポイント:

・第2変奏のカノンでは、両方の声部を主役として扱い、対話的な演奏を心がける
・第3変奏のPrestoはできる限りテンポを上げて、他の変奏との差を明確に表現する
・第3変奏と最後の8小節(エンディング)の場面転換を明瞭に演奏する

 

► 作品比較表

 

 曲名 テン
主な学習効果 重点練習ポイント
シューベルト「7つの変奏曲 中程度 カデンツァ付き変奏曲の経験 カデンツァ部分と最終変奏
シューマン Op.118a-2 中程度 ソナタ楽章としての変奏曲の経験 最終変奏のアーティキュレーション表現
マイカパル Op.8-14 中程度 対位法的アプローチの経験
マイナーな作曲家への理解
カノンの表現と左手でメロディを弾く部分

 

► 推奨楽譜

 

推奨楽譜

実用性を考慮すると、以下の楽譜をおすすめします。本記事で紹介した作品がすべて収録されています。

 

・ヤマハピアノライブラリー ピアノ変奏曲アルバム 2

この楽譜集には適切な運指が記載されており、レイアウトも見やすく、学習者にとって使いやすい編集となっています。

 

 

 

 

 

 

► 変奏曲学習の基本アプローチ

 

主題の理解
まず主題を「暗譜するくらい」しっかりと理解し、その音楽的特徴を把握する

変奏との関係性
各変奏が主題とどのような関係にあるかを分析する

全体の構成:
・変奏曲全体の起承転結を理解し、演奏プランを立てる
・特に、急速な変奏とゆるやかな変奏が続くときには、プランがないと差が不明瞭になる

 

さらに詳しい変奏曲の学習ヒントについては、以下の記事で解説しています。

【ピアノ】変奏曲を音楽的に仕上げるための3つのポイントと実践的アプローチ

 

► 終わりに

 

本記事で紹介した3曲は、いずれもブルグミュラー25の練習曲修了程度の技術レベルで演奏可能でありながら、音楽的な視野を広げるのに適した作品です。これらの作品を通じて、ピアノ学習に新たな視点を取り入れてみましょう。

 

関連内容として、以下の記事も参考にしてください。

【ピアノ】ブルグミュラー25の練習曲程度で弾ける古典派変奏曲3曲:3分以内

 


 

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