【ピアノ】連弾作品を2台ピアノで演奏するのはアリかナシか
► はじめに
本記事では、「連弾作品を2台ピアノで弾くことについて」考えてみたいと思います。時々、「連弾曲を2台のピアノで分けて演奏したい」という声を耳にすることもありますが、実はこれは単純な問題ではありません。
► 連弾作品を2台ピアノで弾くことについて
‣ 技術的メリットと音楽的変化
確かに2台のピアノで連弾曲を演奏すれば、以下のような演奏技術上の問題は解決します:
・手の衝突を避けられる
・窮屈な姿勢で横へズレて演奏する必要がなくなる
・窮屈な姿勢でペダル操作をする必要がなくなり、ペダリングにおいて各奏者で自由になる
しかし、作曲家が連弾のために書いた作品を2台ピアノで演奏すると、以下のように作品の本質的な部分が変わってしまう可能性があります。
音響的変化
連弾作品では、同じ楽器上で奏でられるサウンドが前提となっています。これが2台のピアノになると:
・ペダルの効果が各ピアノで独立してしまう
・2台のピアノの音色や調律の微妙な違いが生じる
・空間における音の広がり方が変わる
視覚的・芸術的変化
音楽は聴覚的芸術ですが、演奏の視覚的要素や芸術的要素も重要です:
・演奏者間の呼吸や身体的コミュニケーションの取り方が変わる
・2人の奏者が1台の楽器を共有する姿は、「協調」や「一体感」を表現
・仮に作品が「1」という数字をコンセプトに作曲されていたとしたら、2台使うことで台無しになってしまう
‣ 連弾作品の存在意義
ほとんどの会場や家庭には1台のピアノしかありませんし、2台のピアノの作品よりも連弾作品の方が需要があるのは確かです。しかし、多くの連弾作品は、単に「2台ピアノが用意できないから」という理由だけで作られているわけではありません。連弾には連弾ならではの魅力と意図があります:
・1台のピアノという制約の中で生まれる独特の音楽的表現
・奏者同士の身体的な近さから生まれる音楽的対話やパフォーマンス
・ペダルの共有による統一された響き
► 実践的アドバイス
仮に連弾作品を2台ピアノで演奏する場合には:
・連弾作品としての音楽を尊重するのか
・2台ピアノの独自の表現で割り切って演奏するのか
を考えるようにし、もし連弾作品としての音楽を尊重すると決めた場合には、以下のような工夫をしてみましょう:
原曲の理解を深める:
まず連弾として演奏してみて、作品の本質を把握する
ペダル使用の調整:
2台で弾く場合は、両奏者でペダルの使い方を事前に綿密に打ち合わせる
音量バランスの再構築:
2台になることでバランスが変わる点を意識して調整
► 終わりに
連弾作品を2台ピアノで演奏することは、作曲家の意図からは離れる可能性が高いでしょう。作曲をする立場からすると、このやり方に対してあまり明るい顔をすることはできません。
・可能であれば、連弾作品は連弾として演奏するのが理想的
・2台ピアノを活用できる環境があれば、2台ピアノのために書かれた素晴らしい作品を演奏するのがおすすめ
状況によっては、2台ピアノでの演奏を検討するのもアリかもしれませんが、自分たちの演奏環境や目的に合わせた選択として明確な理由がある場合のみにしておくといいでしょう。
► 関連コンテンツ
コメント