【ピアノ】デーヴィッド・バーネット「ピアノによる音楽の演奏」レビュー

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【ピアノ】デーヴィッド・バーネット「ピアノによる音楽の演奏」レビュー

► 基本情報

 

著者のデーヴィッド・バーネットは、ピアニスト、作曲家、学者、教育家として幅広く活躍してきた専門家。本書は、長年の研究成果を集大成した深い視点に基づく著作となっています。

 

注意:本書は上級者向けの専門的な内容となっています。

推奨される読者層:

・最低でもツェルニー50番中盤以上の学習段階にある学習者
・音楽理論に深い関心がある学習者
・演奏技術の本質的な理解を求める学習者

 

・訳 : 大場哉子
・出版社:音楽之友社
・邦訳初版:1980年
・ページ数:254ページ
・対象レベル:上級者

 

・ピアノによる音楽の演奏 著:デーヴィッド・バーネット 訳:大場哉子 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 

► 内容について

‣ 書籍の特徴と構成

 

本書は、音楽演奏における深い洞察と哲学的アプローチを提供する専門的な書籍です。主な章立ては以下の通りです:

・演奏におけるさまざまな問題について
・演奏メソッドの3つのカテゴリー
・物理的要因と演奏の関係
・演奏美学
・実演値の獲得方法
・音楽の才能とは何か

 

章立てからは分かりにくいですが、演奏の視点はもちろん、「作曲家の視点からどう演奏を考えるか」という点でのアプローチが多いのも、本書の特徴の一つと言えるでしょう。

 

‣ 本書の重要な概念:「きわだち(Salience)」

 

書籍の中心的な概念として「きわだち」という用語が重要な役割を果たしています。これはただの音の強弱ではなく、音と音の相対的な関係性、音楽的な表現における音のきわだちを意味します。

 

(以下、用語解説より抜粋)
きわだち Salience
音にたいする演奏者の関心は、音の強さを判断することである、というのは正確ではない。もっと正確には、相対的なきわだちを判断することと、いうべきである。ある音が他の音よりどのくらいきわだつか、また他の音とどのくらい溶け合うか、ということに演奏者は関心をもっている。

(抜粋終わり)

 

‣ 本書が伝える重要なメッセージ

 

演奏について:

・「演奏する」とは、楽譜に隠された中心的な目的を聴き手に伝えること
・楽譜は完全な作品ではなく、一つの解釈に過ぎない

創造性と解釈:

・演奏者は作曲者の創造力を理解し、自身の創造力と比較する
・過去の作品の中に新しい意味を発見することが重要で、だからこそ、過去の作品は遺産となる

音楽的語法の習得:

・演奏者は異なる作曲家の音楽的言語(語法)に精通する必要がある
・柔軟に異なる音楽様式を行き来できる能力が求められる

 

► 総合的な評価

 

本レビューでは主に、重要かつ理解が比較的容易な部分を中心に紹介しました。ただし、実際には専門性が高く、理論的に深い内容の書籍です。ある程度難解ですが、音楽の本質を追求する意欲的な学習者にとって、非常にヒントに富む一冊と言えるでしょう。

理論的深さ:非常に高い
実践的応用:やや難解
音楽的洞察:卓越している

 

► まとめ

 

「ピアノによる音楽の演奏」は、著者が作曲家や学者でもあるというバックボーンを活かした、音楽の哲学と本質を探求する知的な書籍です。音楽を深く理解したい上級者におすすめします。

 

・ピアノによる音楽の演奏 著:デーヴィッド・バーネット 訳:大場哉子 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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