【ピアノ】フンメル「クラシックからロマン派へ フンメルのピアノ奏法」レビュー
► 基本情報
ヨハン・ネポムク・フンメルによる1828年発行の教則本第3巻の邦訳版、「クラシックからロマン派へ フンメルのピアノ奏法」は、歴史的価値と実践的知識を兼ね備えた貴重な一冊です。
・訳 : 朝枝倫子
・解説 : ジェフリー・ゴヴィエ
・出版社:シンフォニア
・邦訳初版:1998年
・ページ数:92ページ
・対象レベル:中級〜上級者
・クラシックからロマン派へ フンメルのピアノ奏法 著:フンメル 訳:朝枝倫子 / シンフォニア
► 内容について
‣ 本書の特徴
1. 歴史的な価値
・19世紀前半の音楽界を代表する音楽家によって執筆された、当時最先端のピアノ奏法解説書
・クラシック音楽からロマン派音楽への橋渡し的な重要な文献
・楽器の進化と音楽表現の変遷を理解できる貴重な資料
2. コンパクトながら内容の豊富さ
第1部:技術的側面:装飾記号と装飾音の詳細な解説
・トリルの新しい奏法(主要音から始めるトリル)
・前打音、間打音など、多様な奏法の解説
第2部:演奏実践
・美しい演奏のための具体的な注意点
・ペダルの使用法
・メトロノームの活用
・即興演奏のヒント
3. 独学者にとっての魅力
・コンパクトながら情報量豊富(92ページ)
・豊富な譜例による分かりやすい解説
・中級〜上級者向けの専門的な内容
・作曲家自身による作品演奏のアドバイス
フンメルが自身のいくつかの作品を使って演奏ワンポイントアドバイスをしているのも興味深いところです。「作曲家自身による作品演奏ヒント」としても重要な資料ですが、例えば「一方の手が他方を模倣する時には、同じ表情を付ける」など、これらのアドバイスが他の作曲家の多くの作品を演奏する時にも使える有益なものとなっています。
‣ フンメルからの励まし
本書の最後に記された、フンメル自身の言葉は独学者への最高の励ましです:
時間をかけ、忍耐強く、懸命に練習する。それが目的達成への道である!
(抜粋終わり)
► 注意点と学び
歴史的文脈の理解:
・1828年当時の楽器と現代のピアノの違いを意識
・特にペダリングなどは、当時の楽器を前提とした記述であることに注意
本書ではイギリス式とウィーン式の楽器の違いなどについても簡潔に解説されているので、ピアノという楽器の変遷そのものに興味を持って学ぶことができます。
► おすすめの読者層
・独学でクラシック音楽を学ぶ中級〜上級レベルの学習者
・歴史的内容と実践的知識を同時に学びたい方
・音楽史に関心のある方
► まとめ
「クラシックからロマン派へ フンメルのピアノ奏法」は、著名な音楽家・フンメルによる定評のある名著です。短時間で学べるコンパクトな構成ながら、深い音楽的洞察に満ちた本書。中級以上の学習段階に入った学習者は、一度手にとってみることをおすすめします。
・クラシックからロマン派へ フンメルのピアノ奏法 著:フンメル 訳:朝枝倫子 / シンフォニア
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