【ピアノ】鏡像形を探る:ピアノ曲における対称性
► はじめに
音楽には様々な形式や構造が存在しますが、その中でも「鏡像形」は特に興味深い特徴の一つです。鏡像形とは、楽曲の中で対称的に配置された音楽的要素のことを指します。
本記事では、ピアノ曲における鏡像形の実例を見ていきましょう。
► 実例分析
‣ シューマン「Op.68-11 シチリアーナ」における鏡像形
シューマン「ユーゲントアルバム(子どものためのアルバム)Op.68-11 シチリアーナ」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、25-36小節)
この作品には、見事な鏡像形が見られます。注目すべきは、楽譜中でカギマークで示された二つの小節。これらの小節は、まるで鏡に映したかのように対応関係にあります。
具体的には以下の要素に注目すると、その対称性が明確になります:
・アクセントの配置
・左手パートの動き
完全な一致ではないものの、この明確な対応関係は意図的な鏡像形と解釈していいでしょう。
続く27-36小節も、2小節ごとの鏡像形になっています。
‣ J.S.バッハ「ミュゼット BWV Anh.126」に見る巧みな対称性
J.S.バッハ「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳 第2巻 ミュゼット BWV Anh.126」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、楽曲全体)
この作品でも、興味深い鏡像形を観察することができます。
・10小節目と11小節目:メロディラインの明確な対応関係
・9小節目と12小節目:16分音符の使用パターンによる対応関係
ここでも完全な一致ではありませんが、バッハの計算された作曲技法を垣間見ることができます。
► なぜ、鏡像形は重要か
鏡像形の存在は、以下のような音楽的価値をもたらします:
・構造的な統一感:楽曲に論理的なまとまりを与える
・記憶のしやすさ:対称的な構造により、演奏者にとって把握しやすい
・音楽的な深み:単なる反復ではない、洗練された音楽表現となる
► まとめ
鏡像形の分析は、楽曲理解に重要な視点を提供します。演奏の際にもこれらの構造を意識するようにしましょう。
鏡像形はあらゆる作品に出てきます。謎解きをするかのように楽しみながら分析し、理解を深めていってください。
【おすすめ参考文献】
本記事で扱った、シューマン「Op.68-11 シチリアーナ」について学びを深めたい方へ
・大人のための独学用Kindleピアノ教室 【シューマン シチリアーナ】徹底分析
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