【ピアノ】リスト作品の演奏ポイント解説集:譜例付き実践ガイド
► はじめに
本記事では、リストのピアノ作品における実践的な演奏アドバイスをまとめています。各曲の重要なポイントを、譜例とともに具体的に解説していきます。
この記事は随時更新され、新しい作品や演奏のヒントが追加されていく予定です。
► 小品
‣ コンソレーション(慰め)第3番 変ニ長調
譜例(PD作品、Finaleで作成、4-5小節)
4小節目と5小節目はバス音が「タイ」になっているにも関わらず、和声は変化しているので、ダンパーペダルを踏み変えないといけません。
ただし、踏み変えると「バス音」は途切れてしまいます。
グランドピアノの真ん中の「ソステヌートペダル」を使用すれば解決できますが、ハーフペダリングであれば、アップライトピアノで練習している方にも使えるテクニックとなります。
うまくペダリング調整すれば「バス音は残ったままハーモニーは濁らない音響状態」を作り出せます。
‣ 愛の夢 第3番
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、20-24小節のメロディのみ取り出しもの)
20小節目の頭のAis音でデクレッシェンドが終わっていますが、これがフレーズを見分ける目印。その次のDes音から別のフレーズになっています。
・21-22小節目のエネルギーは ①<② なので、22小節目のFes音にヤマを作る
・23小節目の頭もFes音だけれども、これは「エコー」のようなイメージで少し控えめに
細かなことですが、シンプルなメロディだからこそ、メロディが要求しているニュアンスを適切に読み取って音にする必要があります。
► 中規模以上の作品
‣ バラード 第2番 S.171 ロ短調
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、302-304小節)
両手ともに1小節単位のフレーズになっています。こういったところでは、「それぞれのフレーズをいかに自然に受け渡すか」という視点をもって練習しましょう。矢印で示した部分です。
この譜例の場合は ritenuto の中ですし、小節の変わり目で変な「間(ま)」が空いてしまうと台無し。
意識を持ったうえでよく自分の音を聴きながら練習するしかありません。必ず、録音チェックをしてください。
「シンプルなところこそ難しい」というのは、こういった「ちょっとしたつなぎ」のことを言っている側面もあります。
► 編曲作品
‣ シューマン=リスト「献呈」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、1小節目の下段)
ペダリングに注意が必要です。
「”実線”カギマーク」で示した箇所はハーモニーが変わっていて、「主音上のⅤ」といわれる和声になっています。したがって、ダンパーペダルを踏み変える必要はありますが、この時にバスのAs音を小指で残しておかないと、バス音の音響が断裂してしまいます。
そこで、「”点線”カギマーク」で示した音を「右手」でとるといいでしょう。そうすることで左手の小指の音を残しておけます。
2小節目からは右手が出てきますが、そこでは2分音符でバス音を弾き直すので問題ありません。
► 終わりに
リストの作品には、独特の音楽語法と表現技法が詰まっています。
本記事では、実践的な演奏アプローチを紹介していますが、これらはあくまでも一つの解釈として捉えていただければと思います。
今後も新しい作品や演奏のヒントを追加していく予定ですので、定期的にご確認いただければ幸いです。
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