【ピアノ】クララ編「ロベルト・シューマンの30のリートと歌」取り組みやすい11曲 完全ガイド

スポンサーリンク
スポンサーリンク

【ピアノ】クララ編「ロベルト・シューマンの30のリートと歌」取り組みやすい11曲 完全ガイド

► はじめに

 

クララ・シューマンが編曲した「ロベルト・シューマンの30のリートと歌」の中から、ツェルニー30番入門程度で挑戦できる11曲を紹介します。

これらの曲は技術的には易しめでありながら、シューマンの歌曲が持つ深い詩情と美しさを十分に味わえる作品ばかり。初心者の方が「音楽的に弾く」ことを学ぶのに最適な教材です。

 

► 全11曲 一覧表

 

No. 曲名 原曲Op. 演奏時間 詩人
2 自由な心 Op.25-2 約1分20秒 ゲーテ
6 においすみれ Op.40-1 約1分10秒 シャミッソー
7 山や城は見下ろしている Op.24-7 約4分30秒 ハイネ
10 日の光に寄す Op.36-4 約1分20秒 ライニック
12 静けさ Op.39-4 約1分20秒 アイヒェンドルフ
14 くるみの木 Op.25-3 約4分 モーゼン
17 民謡 Op.51-2 約1分20秒 リュッケルト
19 君は花のよう Op.25-24 約2分 ハイネ
22 君は赤いバラに似て Op.27-2 約1分20秒 バーンズ
24 蓮の花 Op.25-7 約2分 ハイネ
27 異郷にて Op.39-1 約2分 アイヒェンドルフ

 

► 曲別詳細ガイド

‣ No.2 自由な心 Op.25-2

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

クララ・シューマン編曲「自由な心」ピアノ独奏版の楽譜冒頭部分。

居場所を定めず旅を続け、星を道しるべとして世界の広がりを享受する、自由で放浪的な精神を歌った曲。ゲーテの詩。

 

演奏時間:約1分20秒

特徴:

・ゲーテの有名な詩による、軽快で自由な雰囲気の作品
・シンプルな構成で覚えやすい

こんな人におすすめ

明るく軽快な曲が好きな方

 

演奏解説記事

【ピアノ】クララ・シューマンが編曲した「自由な心」:特徴と演奏のヒント

 

‣ No.6 においすみれ Op.40-1

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

クララ・シューマン編曲「においすみれ」冒頭部分のピアノ独奏版楽譜。

凍てつく窓の霜の向こうに愛する女性の瞳を見つけ、そのまなざしに凍った心が溶かされていく、春の訪れのような愛の目覚めを歌った曲。

 

演奏時間:約1分10秒

特徴:

・本記事で紹介する全11曲中、最も短い作品
・シンプルなメロディと伴奏パターンによる可憐な作品

こんな人におすすめ

クララ編曲を初めて弾く方、短い曲から始めたい方

 

演奏解説記事

【ピアノ】クララ・シューマンが編曲した「においすみれ」:特徴と演奏のヒント

 

‣ No.7 山や城は見下ろしている Op.24-7

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

クララ・シューマンによるピアノ編曲版「山や城は見下ろしている」冒頭部分の楽譜。

遠く離れた愛する人への満たされない想いを歌った曲。ハイネの詩による切ない恋の歌。

 

演奏時間:約4分30秒

特徴:

・本記事で紹介する11曲中最長(約4分30秒)
・技術的には難しくないが、長い息による表現力が求められる

こんな人におすすめ

長い曲に挑戦したい方、ハイネの詩的な世界観を楽しみたい方

演奏解説記事

【ピアノ】クララ・シューマンが編曲した「山や城は見下ろしている」:特徴と演奏のヒント

 

‣ No.10 日の光に寄す Op.36-4

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

クララ・シューマン編曲「日の光に寄す」ピアノ独奏版の冒頭楽譜。

心に愛を灯した太陽の光に誘われながらも、それを享受できない自分の苦悩と自嘲を歌った曲。

 

演奏時間:約1分20秒

特徴:

・温かい雰囲気の作品で、コントラストの表現も学べる
・レチタティーヴォ風の自由な表現も入っている

こんな人におすすめ

原曲があまり有名ではない作品も探ってみたい方

 

演奏解説記事

【ピアノ】クララ・シューマンが編曲した「日の光に寄す」:特徴と演奏のヒント

 

‣ No.12 静けさ Op.39-4

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

シューマン「静けさ」クララ・シューマン編曲ピアノソロ版の楽譜(曲頭部分、ロングアルペッジョを含む)。

誰にも気づかれない深い幸福を胸に秘め、それをただ一人の愛する人にだけ伝えたいという願いを歌った曲。

 

演奏時間:約1分20秒

特徴:

・スタッカートが印象的な軽いタッチの作品
・「パピヨン Op.2」「謝肉祭 Op.9」などにも出てくるファンファーレ的音型とメロディが聴かれる

こんな人におすすめ

静かで内省的な曲が好きな方

 

演奏解説記事

【ピアノ】クララ・シューマンが編曲した「静けさ」:特徴と演奏のヒント

 

‣ No.14 くるみの木 Op.25-3

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

クララ・シューマン編曲「くるみの木」ピアノ独奏版冒頭の楽譜。

家の前のくるみの木に咲く花のささやきを通じて、愛と結婚を夢見る乙女の、無垢で憧れに満ちた心境を歌った曲。

 

演奏時間:約4分

特徴:

・本記事で紹介する11曲中2番目に長い作品(約4分)
・繰り返しの美しさを表現すべき循環的作品

こんな人におすすめ

長めの曲に挑戦したい方、物語性のある曲が好きな方

 

演奏解説記事

【ピアノ】クララ・シューマンが編曲した「くるみの木」:特徴と演奏のヒント

 

‣ No.17 民謡 Op.51-2

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

クララ・シューマン編曲「民謡 Op.51-2」ピアノ独奏版冒頭の楽譜。

朝早くから恋人を想い、自分の心を含め、すべてを捧げても惜しくないという、純粋で献身的な愛を歌った曲。

 

演奏時間:約1分20秒

特徴:

・民謡風のシンプルな旋律
・「ロベルト・シューマンの30のリートと歌」の中では最も技術的ハードルが低い

こんな人におすすめ

素朴な美しさのある曲が好きな方、最も取り組みやすい作品を探している方

 

演奏解説記事

【ピアノ】クララ・シューマンが編曲した「民謡(ロベルトのOp.51-2)」:特徴と演奏のヒント

 

‣ No.19 君は花のよう Op.25-24

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

愛する人の花のような清らかで美しい姿を称え、その美しさが永遠に変わらないよう神に祈る、深い愛と切なさに満ちた歌。

 

演奏時間:約2分

特徴:

・ハイネの有名な詩による名曲で、原曲も頻繁に演奏される
・短くもシューマンの気持ちが凝縮された深い作品

こんな人におすすめ

シンプルで美しいメロディが好きな方、発表会にも最適

 

演奏解説記事

【ピアノ】クララ・シューマンが編曲した「君は花のよう」:特徴と演奏のヒント

 

‣ No.22 君は赤いバラに似て Op.27-2

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

クララ・シューマン編曲「君は赤いバラに似て」ピアノ独奏版の楽譜(曲頭部分)。

愛する女性の美しさをバラとメロディに喩え、永遠の愛を誓う情熱的な愛の歌。スコットランドの詩人バーンズの詩。

 

演奏時間:約1分20秒

特徴:

・同音連打が印象的な、リズミカルなパターン
・民謡風の親しみやすい曲調

こんな人におすすめ

原曲があまり有名ではない作品も探ってみたい方

 

演奏解説記事

【ピアノ】クララ・シューマンが編曲した「君は赤いバラに似て」:特徴と演奏のヒント

 

‣ No.24 蓮の花 Op.25-7

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

シューマン「静けさ」クララ・シューマン編曲ピアノソロ版の楽譜(曲頭部分)。

太陽を避け、静かに夜の月の光を待つ蓮の花に、愛する人への切なく静かな想いを託した神秘的な愛の歌。

 

演奏時間:約2分

特徴:

・歌詞が本当に美しい、幻想的で詩的な雰囲気を持つ
・ハイネの詩による代表的な作品で、原曲も頻繁に演奏される

こんな人におすすめ

幻想的な曲が好きな方、シンプルな作品での深い音楽作りを学びたい方

 

演奏解説記事

【ピアノ】クララ・シューマンが編曲した「蓮の花」:特徴と演奏のヒント

 

‣ No.27 異郷にて Op.39-1

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

シューマン「異郷にて」クララ・シューマン編曲ピアノ独奏版の冒頭楽譜。

故郷と現在、いずれの場所にも居場所を見いだせない、孤独と死への憧れを歌った曲。リーダークライスOp.39の第1曲。

 

演奏時間:約2分

特徴:

・覚えやすく美しいメロディライン
・メンデルスゾーンの「無言歌集」を演奏するような感覚で取り組める

こんな人におすすめ

暗く深い曲が好きな方、リーダークライスに興味がある方

 

演奏解説記事

【ピアノ】クララ・シューマンが編曲した「異郷にて」:特徴と演奏のヒント

 

► 目的別学習順序の提案

 

とにかく取り組みやすさで選びたい

・No.17 民謡 – 技術的に最も取り組みやすい
・No.6 においすみれ – 最短で取り組みやすい

 

難易度よりも、原曲の有名性で選びたい

・No.27 異郷にて – 深い孤独の表現
・No.19 君は花のよう – シューマンの深い想い

 

原曲があまり有名ではない作品も探ってみたい

・No.22 君は赤いバラに似て – 明るく情熱的
・No.10 日の光に寄す – 複雑な感情表現

 

長い曲に挑戦してみたい

・No.14 くるみの木 – 約4分の物語
・No.7 山や城は見下ろしている – 約4分30秒の充実した規模

 

軽い曲想の作品を選びたい

・No.6 においすみれ – 軽快で可憐な印象
・No.2 自由な心 – 軽快で、本記事で紹介する11曲中最も明るい雰囲気

 

► 練習のコツ:歌曲ピアノ編曲ならではのポイント

 

歌詞を読んで理解する

楽譜に書かれている原曲の歌詞を、日本語訳と照らし合わせて読みましょう。内容を理解することで、表現の方向性が明確になります。

 

原曲を聴く

原曲の歌曲版(歌とピアノ)を聴いてみましょう:

・歌手がどこでブレスしているか
・どのように感情を込めているか
・ピアノ伴奏がどんな役割を果たしているか

これらを観察することで、クララの編曲の意図が理解できます。

 

伴奏部分の役割とバランスの取り方

クララの編曲では、メロディ以外の要素に原曲のピアノ伴奏パートの形が応用されています。そのため、伴奏パートがメロディを支える役割を意識し、音量や音色のバランスを適切に調整することが重要です。

原曲を聴く際には、ピアノ伴奏に着目して聴いてみるのもいいでしょう。これは編曲技法を学ぶうえでも非常に有効な学習方法となります。

 

► 楽譜情報

 

クララ・シューマンによるロベルト・シューマン歌曲の編曲集はいくつかの出版社から刊行されていますが、以下のRies & Erler出版の楽譜をおすすめします。

 

推奨楽譜

・クララによるシューマン歌曲のピアノソロ編曲集 30 Lieder und Gesange fur Klavier

 

 

特徴:

入手性:国内外で広く流通
網羅性:クララが編曲したロベルト歌曲30曲を収録
実用性:原曲の歌詞が掲載されている(デュラン版などとの大きな違い)
資料価値:歴史的価値と実用性を兼ね備える
投資価値:他の編曲作品も学べるため、長期的な投資価値が高い

音楽学習者、研究者、演奏家に広く愛用されている定番楽譜です。

 

► よくある質問(Q&A)

 

Q1:ツェルニー30番をまだ始めたばかりですが、弾けますか?

A1:特に「No.17 民謡」「No.6 においすみれ」は、挑戦しやすい作品となっています。まずはこれらの楽曲から取り組んでみましょう。

 

Q2:原曲の歌詞を理解する必要がありますか?

A2:歌詞を知ることで表現が格段に深まるので、必ず理解しておきましょう。日本語訳を読むだけでも十分効果があります。

 

Q3:同曲集のうち、次のステップはどの曲がおすすめですか?

A3: 本記事で紹介した11曲から数曲を弾いたら、ツェルニー30番中盤程度の以下の曲に挑戦してみましょう:

No. 曲名 原曲Op. 演奏時間 詩人
5 私は旅立ったりはしない Op.51-3 約1分20秒 クリステルン
8 月の夜 Op.39-5 約3分30秒 アイヒェンドルフ
9 もう春だ Op.79-23 約1分30秒 メーリケ
11 ミルテとバラを持って Op.24-9 約4分 ハイネ
18 この上なくすばらしいこと Op.36-3 約1分50秒 ライニック
21 間奏曲 Op.39-2 約1分40秒 アイヒェンドルフ
26 ラインのほとりの日曜日 Op.36-1 約2分30秒 ライニック
30 セレナーデ Op.36-2 約1分30秒 ライニック

詳細は、以下の記事で解説しています。

【ピアノ】クララ編曲「ロベルト・シューマンの30のリートと歌」全曲:選曲・難易度 完全ガイド

 

► 終わりに

 

クララ・シューマンが編曲した「ロベルト・シューマンの30のリートと歌」の中から、ツェルニー30番入門程度で弾ける11曲を紹介しました。これらの曲は、技術的には易しめでありながら、シューマンの歌曲が持つ深い詩情と美しさを十分に味わえる作品ばかりです。

もし迷ったら、まずは「No.17 民謡」から始めてみましょう。わずか1分20秒の中に、シューマンとクララの愛、そして音楽性が詰まっています。

 


 

► 関連コンテンツ

著者の電子書籍シリーズ
・徹底分析シリーズ(楽曲構造・音楽理論)
Amazon著者ページはこちら

YouTubeチャンネル
・Piano Poetry(オリジナルピアノ曲配信)
チャンネルはこちら

SNS/問い合わせ
X(Twitter)はこちら

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました