【ピアノ】効果的な楽曲分析と音楽理解のアプローチ

スポンサーリンク

【ピアノ】効果的な楽曲分析と音楽理解のアプローチ

 

► はじめに

 

本記事では、効果的な楽曲分析と音楽理解のアプローチを提案します。

単なる演奏技術の向上だけでなく、自分の音楽の総合的な成長につながる具体的な方法を紹介。

ここで紹介する方法は、実際にピアノに向かっていない時間でも実践できる内容です。

 

► 1. 作曲家への理解を深める

 

「ドビュッシーっぽい」「ショパン風」といった表現をよく耳にしますが、

これらは多くの場合、その作曲家の最有名作品のイメージに依存しています。

例えば、「ドビュッシーっぽさ」は「月の光」のイメージに基づいていることが多く、

市販の「〜風アレンジ」の多くもその作曲家の最有名ピアノ曲の音型をそのまま引用しています。

しかし、これは作曲家の全体像を理解する上で限定的な視点となりがち。

 

より効果的な理解のために:

・最有名作品が作曲された時期から離れた年代の作品を聴く
 (例:ドビュッシーの「月の光」(1890年頃)から離れた「前奏曲集 第2集」を聴くなど)

・作曲家特有の手法や特徴を把握し、普段あまり出てこない要素に注目する
 (例:「このモーツァルトのソナタは、彼の作品にしては珍しく短調」など)

 

► 2. 体系的な学習方法

 

【テーマ作曲家の設定】

「来年テーマにする作曲家を決める」という年末の取り組み

 

期間設定:

・初めての場合は2ヶ月単位で
・慣れてきたら1年単位で

 

注意点:

・ネット情報だけでなく、図書館なども活用して徹底的に調べる
・他の作曲家への視野も保ちつつ、中心となるテーマを持つ

 

このアプローチにより:

・レパートリーが確実に増える
・「広く浅く知っているだけで、特定の作曲家について深く語れない」という状況を打破できる

 

【楽曲研究の3本柱】

1. 作曲家の言葉として言い伝えられている事実を調べる
 例:特定のパッセージについての作曲家自身の説明

2. 音楽学などの研究者が予想している背景を調べる

3. 疑問が残るところは、自分の調査と想像で補う
 仮に作曲家の意図と異なっていても、音だけを拾って漫然と弾くよりも意味がある

 

► 3. 具体的な実践方法

 

文書化による整理

・A4用紙に知識を書き出す
・「この作品と同時期には、こんなことが起こっていた」などといった周辺情報も含める
・1枚埋まるまで調べ続ける
・複数作品に取り組むことで、関連知識がリンクして整理される

 

演奏への応用

例えば:

・モーツァルト「トルコ行進曲」の背景理解が、速過ぎない適切なテンポ設定につながる
・「水の精」のような物語性のある楽曲では、全体の印象を重くし過ぎない
・「鳥の鳴き声」を表現するパッセージでは、leggieroでの演奏やノンペダルの可能性を探る

 

► 4. 学習の注意点

 

・「この時期はこれがテーマ」という軸を立てる
・「1日1曲、新しい作品を知る」といった広がりのある学習と、集中テーマの両面アプローチをする
・単なる「調べ物」で終わらせず、ある部分は演奏へ活かす

 

► 終わりに

 

「指が動きを覚えて、その楽曲がおおむね弾けるようになる」というのは、

音楽の楽しさや深みの表面的な部分をなぞっているに過ぎません。

「進んだ感、練習した感」が一番強く出る部分なので、そこに力を注ぎたい気持ちは分かります。

しかし、本記事で紹介した方法は、表面的な達成以上の深い理解と音楽性の向上をもたらしてくれるでしょう。

筆者自身も長年実践している方法を紹介しました。

 

同じように長い時間をかけてピアノに取り組むのであれば、

せっかくなので、一生の力や財産になる形で学習してみてください。

 


 

【関連記事】

▶︎ 楽曲分析を体系的に学びたい方はこちら
楽曲分析学習パス

 

▼ 関連コンテンツ

著者の電子書籍シリーズ
・徹底分析シリーズ(楽曲構造・音楽理論)
Amazon著者ページはこちら

・SNS/問い合わせ
X(Twitter)はこちら

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました