【ピアノ】紅蓮華 / ヤマハ出版・自編曲(上級):楽譜・音源・演奏ポイント
► はじめに:本記事の趣旨
本記事では、筆者がヤマハ出版向けに編曲したピアノソロ版「紅蓮華(上級)」について、参考音源・楽譜情報・演奏ポイントをまとめています。
原曲の疾走感と高揚感を活かしつつ、ピアノ1台でも迫力が出るよう構成したアレンジです。楽譜を手にされた方が練習を進めやすいよう、セクションごとに演奏上のポイントも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
想定演奏レベル:ツェルニー40番中盤程度
演奏時間:約2分50秒
►「紅蓮華」について
「紅蓮華」は、LiSAが歌う楽曲で、2019年放送のテレビアニメ『鬼滅の刃』のオープニングテーマとして大きな話題を呼びました。
アニメ本編の世界観と呼応するような力強い歌詞と、サビに向かって一気に駆け上がるような劇的な展開が特徴的で、リリース直後から大きな話題を呼びました。アニメ・音楽の枠を超えて社会現象となった「鬼滅の刃」ブームを象徴する楽曲の一つとして、世代を問わず広く親しまれています。
ピアノ演奏の観点からは、付点リズムの躍動感、サビの高揚感、そして静と動の対比が魅力の楽曲です。本編曲ではこれらの要素を活かしながら、ピアノソロとして自然に成立するよう構成しました。
► 楽譜と参考音源
‣ 楽譜
本編曲は以下の楽譜集に収録されています(すべて同じ編曲が収録):
・月刊Pianoプレミアム 2020春夏号
・いろいろなアレンジを楽しむ 紅蓮華
・月刊ピアノ 2020年11月号
・月刊Pianoプレミアム 極上のピアノ アンコール特別号
・ヤマハLovePianoプレゼンツ ストリートピアノで映える人気曲2
以下のリンクより、ぷりんと楽譜でも入手できます。
‣ 参考音源
YouTube参考演奏はこちら
► この編曲の活用例
本編曲は以下のような場面での活用を想定しています。
上級者以上のレパートリーとして:
・発表会での演奏レパートリーとして
・ストリートピアノでも映える、演奏効果の高い上級アレンジ
・難易度は高めで「ツェルニー40番中盤程度」だが、仕上がれば聴き応えがある
編曲学習の教材として:
・J-POP作品をピアノソロとしてどのように成立させるか
・場面転換など、編曲上のアイデアを学ぶ参考資料としても活用可能
► 演奏ポイント
‣ 1-10小節(練習番号A-B)
・曲頭からメロディに付点リズムが出てくる
・特に1-2小節は伴奏の動きが少ないので、メロディのリズムが甘くなりがち
・体内のカウントをしっかりと取りながら演奏する
・5小節目の左手パート上声のリズムは、曲頭のメロディを引用したもの
・ただし、主役ではないので、強調しない
・6小節目の内声同士のハモリは、同等のバランスで弾く
・左手上声のほうが大きくなってしまわないように注意する
・7小節目からはリズム隊が出てくるイメージなので、テンポは揺らさない
‣ 11-26小節(練習番号C-D)
・11小節目に書かれているデクレッシェンドは、急激に音楽が変わってしまうのを避けるためのもの
・次の小節から mp の世界に到達させる
・13小節3-4拍目の右手は、エコーなので、大きくならないように
・17小節3-4拍目のアクセントが書かれた音もエコー
・このアクセントは、あくまでも重要性を示すための目印なので、軽めに存在感を示す程度に留める
・14小節目の装飾音の弾き方は、楽譜に書かれている「奏法例」を参照
・18小節目から19小節目への移行では、テンポをゆるめずにそのまま入る
・26小節目まで一気に音楽を進めたい
・20小節目と22小節目のメロディックな動きは合いの手であり、主役ではない
・メインメロディは付点2分音符で伸びている音
・伸びている音をよく聴きつつ、合いの手はさりげなく入れる
・23-24小節目は、左手の親指で弾く音が動いている
・これらの音がバランスよく響くようにし、一つだけ大きく飛び出たりしないようによく聴く
・26小節目はテンポをゆるめず、ノンストップで3拍目まで弾き切る
‣ 27-34小節(練習番号E)
・27小節目からは、メロディが両手で受け渡されたり、メロディよりも上の音域で別の音が鳴ったりする
・まずは、メロディがしっかりと聴こえるバランスを確保する
・そのうえで、他の音が強くなりすぎないようにコントロールする
・こういった部分は両手で成り立つので、片手練習をするよりも、「両手」で合わせて「ゆっくり練習」する
・31小節目の左手のアルペッジョは、柔らかい音が欲しくて書いたもの
・したがって、10度音程が届く場合も、アルペッジョにして演奏する
・33小節2拍目は鳴らしてキメたいが、35小節目のはじめよりも大きくはならないように
・33-34小節もテンポをゆるめず、一気にサビ(35小節目〜)に入る
‣ 35-49小節(練習番号F-G)
・35小節目からは高いエネルギーが欲しいが、左手の16分音符は抑え気味にし、メロディを際立たせる
・オクターブ中心で進行するメロディは音楽が縦割りになりがちなので、横の流れを意識する
・38小節1拍目は、35-42小節というカタマリの中で一番重みが入るところなので、深く鳴らす
・42小節目の左手上声(La Si Re Si Re Mi)は35小節目のメロディをもじった副旋律
・したがって、メロディを邪魔しない程度で少し抽出する
‣ 50-61小節(練習番号H)
・50-53小節は、左手で弾く親指の音が大きく飛び出ないように
・55-57小節は、響かせる音と隠すべき内声の音との差をしっかりとつける
・58小節目からは左手の裏打ちでサビ(62小節目〜)への期待を煽るように
・計画的にダイナミクスを計算して f へ到達させる
・60小節1-2拍目は両手ともに付点リズムなので、リズムが甘くならないように体内のカウントを取る
‣ 62-75小節(練習番号I-J)
・69小節目は「クレッシェンドの開始点」に注意し、69小節2拍目の頭のE音が大きくならないように
・この音はスラー終わりの音
・70小節目からは少し難しいので、まずどちらか片手のパートを先に暗譜する
・そうすることで、一気に弾きやすくなる
・併読推奨記事:【ピアノ】片手だけ先に暗譜する練習法:譜読み・難所攻略・テンポアップを加速させる
・70-73小節の各2拍目で鳴らされる sff のバス音は、決して高くから叩かずに
・最短距離で移動して鍵盤をつかんでから下ろせるように、ゆっくり練習するときから意識しておく
・1拍目から2拍目への距離を意識して練習するのがポイント
・75小節目もテンポをゆるめずに、一気に弾き切る
‣ 76-85小節(練習番号K-L)
・76小節目から80小節目の途中までは、一時的に歌のメロディが不在になる
・即興でもしているかのようなイメージを持って弾く
・例えば、「79小節目はノンペダルでパラパラ弾いてみる」など、記載のペダリングを少し変えてみても構わない
・81小節4拍目で弾いたメロディのE音を、次の小節へ入っても音価ぶん聴き続ける
・82小節目からは、また体内のカウントをしっかりと取り、リズムが甘くならないように
・84-85小節のトレモロ・グリッサンド・クラスターの弾き方は、上記音源を参照
・最終小節の「with the palm」は「手のひらで」の意味
・最後のクラスターは、「ノンペダル」もしくは、各和音ごとに短く「アクセント・ペダル」をつける
「アクセント・ペダル」とは:
・アクセントを付加するペダリング
・短く強く打鍵する音に対して打鍵と同時に短く踏むことで、印象的で余韻の残る響きにすることができる
► 終わりに
原曲のエネルギー感をピアノ1台で表現したい方や、発表会・ストリートピアノ向けの上級レパートリーを探している方は、ぜひ挑戦してみてください。
本記事の解説が、演奏をするうえでの参考になれば幸いです。また、ピアノ編曲を学ぶ方は、楽譜を分析学習する教材としてもぜひご活用いただけたらと思います。
関連内容として、以下の記事も参考にしてください。
【ピアノ】作曲・編曲テクニック 関係記事まとめ:入門から応用まで体系的に学ぶ
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