【ピアノ】これが恋かしら(シンデレラ)/ ヤマハ出版・自編曲(中上級):楽譜・音源・演奏ポイント
► はじめに:本記事の趣旨
本記事では、筆者がヤマハ出版向けに編曲したピアノソロ楽譜「これが恋かしら(シンデレラ)」について、楽譜の紹介・参考音源の案内・演奏上のポイントをまとめています。
楽譜を手にされた方が練習をスムーズに進められるよう、各セクションごとに具体的な演奏上の注意点を解説します。
想定演奏レベル:ツェルニー30番修了程度
演奏時間:約2分30秒
►「これが恋かしら」について
「これが恋かしら(So This Is Love)」は、1950年公開のディズニー映画「シンデレラ」に登場する楽曲です。舞踏会でシンデレラと王子が出会い、二人が踊りながら互いに恋心を自覚していく場面で使われました。作曲はマック・デヴィッド、アル・ホフマン、ジェリー・リヴィングストンの3名によるものです。
甘く夢見るような旋律と、ゆったりとしたワルツのリズムが特徴的で、映画の中でも特に印象的な場面を彩る名曲として知られています。
► 楽譜と参考音源
‣ 楽譜
本編曲は以下の楽譜集に収録されています。
美しく響く ピアノソロ (上級) ディズニープリンセス名曲集 / ヤマハ
‣ 音源
上記楽譜に基づいた演奏音源です。強弱・テンポ・ペダリングなど表情付けの参考にしてください。
► この編曲の活用例
本編曲は以下のような場面での活用を想定しています。
中級者以上のレパートリーとして:
・発表会や演奏会での演奏曲として
・ツェルニー30番修了程度の技術があれば取り組むことができ、完成度を高めることで聴衆に印象を残せる編曲
編曲学習の教材として:
・原曲にはない場面転換をどのように成立させるか
・半音で動く内声の処理など、編曲上のアイデアを学ぶ参考資料としても活用可能
BGMとして
・リラックスした雰囲気の鑑賞用音楽としても適している
► 演奏ポイント
‣ 1-6小節(序奏)
・序奏では、右手の上側に記したスラーのように、4拍子のフレーズを捉えて演奏すると良い
・1-5小節は、「たっぷり → 巻いて → rit.」という、「slow → fast → slow」の速度法で
・5小節3拍目のオクターヴは、直前の和音の響きの中に入るように柔らかく
・楽譜上は曲頭から cresc. で5小節2拍目へ向かっていく
・一方、3小節3拍目にヤマを作り、そこからデクレッシェンドするように変更しても構わない
‣ 7-22小節(練習番号A)
・7小節目以降、内声は静かに弾かないとメロディが埋もれてしまうので気をつける
・特にメロディと内声の音域が接近している箇所は注意する
・7小節目のアウフタクトからはノンペダルで弾き、10小節目から再度使う
・10小節3拍目は、右手の内声が付点2分音符になっているが、「2分音符+4分休符」で弾いても構わない
・7小節目のアウフタクトから同じメロディの断片が3回繰り返される
・シンプルに同じように3回弾いてもいいが、3回目のみ変化をつけるなど工夫しても良い
・21小節目のように2音1組のアーティキュレーションが多く出てくる
・こういった箇所で、スラー終わりの音が前の音よりも強くならないように注意する
・22小節目の上段の内声「F音」は左手で弾くと演奏しやすい
・この2つのF音は再打鍵するように書いてあるが、タイで結んでも構わない
・22小節目は、3拍目のみペダルを踏む
‣ 23-36小節(練習番号B)
・26小節目の右手内声B音は、再打鍵するように書いてある
・しかしこのB音は、前小節の1拍目のB音をフィンガーペダルで残し、タイにしても構わない
・29-30小節のバスのB音は再打鍵するように書いてあるが、タイで結んでも構わない
・29小節目の頭の右手は「4 5」の指で弾くが、前からのポジション移動があるので音色に気をつける
・31-32小節は前半最大の難所なので、難しく感じる場合は少し音を省略して弾いても構わない
‣ 37-42小節(練習番号C)
・37小節目はピールオフと呼ばれる書法(参考:【ピアノ】ピールオフとは:基礎分析と演奏のポイント)
・伸びているメロディのF音をしっかりと聴き続け、剥がれてくる内声は極めて静かに弾く
・41小節2拍目のH音は、左手でとると弾きやすくなる
・42小節目の頭は8分音符なので、伸ばしすぎないように
‣ 43-50小節(練習番号D)
・43-50小節は、軽さを表現するために、やや「più mosso」にするのもアリ
・細かい動きはすべて、重く大きくならないように注意する
・43小節3拍目の右手内声C音は、長2度上のD音で弾くのもアリ
・46小節目、50小節目のグリッサンドは着地点の音をミスしやすいので、高速のスケールとして演奏する
・難しければ、5連音符で「Si Do Re Mi Fa | So」と弾いても構わない
・47-49小節のバス音は2分音符だが、メロディの長さと合わせて「4分音符」で弾いて構わない
・43-45小節、47-49小節は、各1拍目のみペダルを踏む
・47-49小節の右手は脇役の合いの手なので、目立ちすぎないように
・すべての音をしっかり弾こうとせず、小指で打鍵した動きの中で他の音も弾いてしまうワンアクションで
・50小節3拍目のG音では、雰囲気を変える
・やや長めに留まると良い(音源参照)
‣ 51-58小節(練習番号E)
・51小節目からは左手の音域が広範囲にわたるので、先に左手のみ暗譜してしまってから両手で合わせるのを推奨
・左手の分散和音は、ポジション移動が多いので、親指で弾く音が突出しないように注意する
・3拍子の感覚を忘れないように
・55-56小節の左手の運指は「1 2 4 5 1 2 | 1 5 2 1 2」で弾く
・58小節1拍目裏のG音は、スラー終わりの音なので強くならないように
・61-62小節など、同様の音型はすべて同様に
‣ 59-74小節(練習番号F)
・59小節目のアウフタクトからは「ブロックコード」という書法(参考:【ピアノ】ヴォイシングによる音色変化の分析:グリーグ「春に寄す」を例に)
・右手で弾くほうのメロディを少し強めに弾き、ただの音のカタマリにならないように気をつける
・66小節1拍目裏の右手G音は、直前で使った2の指を滑らせて2の指で弾く
・そうすることで、小指で弾くメロディ音を残したままペダルを踏み変えることができる
・67-68小節は、この編曲で最も難易度が高い箇所
・難しく感じる場合は、内声の音などを少し音を省略して弾いても構わない
・68小節目は、1拍目と2拍目でペダルを踏み変える
・70-71小節の小音符のパッセージを演奏している間も、70小節目の頭で打鍵したメロディを聴き続ける
・この ff の部分は、楽曲の一番のクライマックスだが、叩かず、鍵盤のすぐ近くから打鍵する
・小音符部分は ff にとらわれず、70小節目の頭で打鍵した響きの中で軽やかに動かす
・小音符部分は、「たっぷり → 巻いて → rit.」という、「slow → fast → slow」の速度法で
・71小節1拍目の左手はうるさくならないように、右手パートの影にする
・74小節2拍目裏のE音と3拍目表のF音は、左手でとると弾きやすくなる
‣ 75-77小節(練習番号G エンディング)
・75-77小節も、「たっぷり → 巻いて → rit.」という、「slow → fast → slow」の速度法で
・ただし、最後ゆっくりするのは少しだけにし、割とあっさり終わるのが曲の規模に適している
・75小節目のメロディF音は、打鍵し終わった後も聴き続ける
・このF音と次の小節のメロディEs音との音量的・音色的関連を意識する
► 終わりに
本記事の解説が、演奏をするうえでの参考になれば幸いです。また、ピアノ編曲を学ぶ方は、楽譜を分析学習する教材としてもぜひご活用いただけたらと思います。
関連内容として、以下の記事も参考にしてください。
【ピアノ】作曲・編曲テクニック 関係記事まとめ:入門から応用まで体系的に学ぶ
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