【ピアノ】音楽学習はトレイルランニングである:大人が無理なく続けるための4つの原則

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【ピアノ】音楽学習はトレイルランニングである:大人が無理なく続けるための4つの原則

► はじめに

 

ペースを上げ過ぎた瞬間に、旅は終わる。
大切なのは、明日も来週も走り続けられるスピードで進むこと。

 

ピアノ学習を始めたばかりの頃、多くの大人の学習者は「できるだけ早く上手くなりたい」という気持ちから、かなり高い負荷をかけた練習計画を立てます。毎日1時間以上、休日はもっと——そんな目標を設定して、最初の数日間は気合いで乗り越える。でも、気づけばその計画は静かに崩れていく。

これは意志が弱いからではありません。設定したペース自体が、そもそも持続不可能だったのです。

 

► PACE – JOY – PLAY – STYLE

‣ PACE:全力疾走ではなく、トレイルランニングを

 

100mダッシュと、山岳トレイルランニングは根本的に違います。ダッシュはゴールまで全力を出し切ればいい。でもトレイルランニングは違う。急な斜面、岩場、泥道——変化するコースを何時間も走り続けるためには、いかに自分のエネルギーを管理するかがすべてです。

音楽学習も同じです。「今日だけ頑張る」という練習ではなく、1ヶ月後も、半年後も続けられるペースで進むことが、最終的に遠くへ連れて行ってくれます。

今、つらいやり方は、1ヶ月後もつらい。

判断に迷ったとき、試してほしいのはこういう問いかけです。「この練習のやり方を、1ヶ月間毎日続けられるか?」と。「さすがに無理だ」と感じる場合、そのやり方は今すぐ見直しましょう。慣れに伴って徐々に量を増やせる可能性はありますが、今の時点でしんどいアプローチは、習慣になった後もしんどいまま変わらないことがほとんどです。

本Webメディアも「続けられる方法で細く長く続ける」という方針で運営しています。

 

Practice Tip

これまで自然体で取り組んでいたときの練習量を思い起こし、そこに2割程度の上乗せをしてみてください。それが「ちょうどいい負荷」です。自分を追い詰めずに、でも少しだけ背伸びしている——そのゾーンにいることが、量も継続性も両立できる最善のバランスだと把握しましょう。

無理し過ぎると、必ずリバウンドがきます。目標を達成できなかった日に自分を責め、そのうち練習自体が「罰」のように感じられてくる。そういったネガティブなサイクルを断ち切るために、最初から「やや背伸びするけれど、自分を壊さない」という設定にしておくことが重要なのです。

 

‣ JOY:「やらされる」ではなく「やりたい」へ

 

継続するための工夫には様々なものがありますが、長期的に見て最も力を持っているのは「楽しいからやる」という状態にたどり着くことです。

義務感だけで楽器を続けようとする場合、毎日が内なる綱引きの連続になります。「練習しなければ」という気持ちと、「でも面倒だ」という気持ちを折り合わせながら消耗していく——これでは、いつか限界が来るのは時間の問題と言わざるを得ません。

もともとピアノという楽器が直感的に合っている人でない限り、「楽しい」という感覚を育てるには何かしらのきっかけが必要なことが多いでしょう。それは人によって全く異なります。好きな曲に取り組むことかもしれない。気の合う仲間と一緒に練習を始めることかもしれない。あるいは、弾いている自分をちゃんと見ていてくれる誰かの存在が、練習に向かう理由になることも。

楽しいと思える何かを一つ見つけるだけでOKです。大切なのは、自分なりの「楽しさへの入り口」を試行錯誤して見つけること。それが見えてきたとき、練習はただの義務ではなく、「自分の時間」に変わります。

もしどう試みても楽しさを感じられないのであれば、それはそれで一つの答えかもしれません。無理に続けることが美徳ではないのです。

 

‣ PLAY:「無邪気さ」こそが最大の武器

 

音楽学習においての本質について、精神科医のヘレン・ボイゴン博士は以下のことを語っています。

「心で弾くピアノ―音楽による自己発見」 著 : セイモア・バーンスタイン  訳 : 佐藤 覚、大津 陽子 / 音楽之友社 より

(以下、抜粋)
著名な精神科医であるヘレン・ボイゴン博士はかつて私にこう語った。
「どんなものを学習する場合でも、その過程で最も重要なことは、年齢にかかわりなくリラックスして、無邪気な気持ちになることができるかどうかということなのです。」
無邪気な気持ちの子供たちは、いつでも今度は良いことがあると期待している。
できそうだと思い、しばしば本当にそうなるのである。
したがって、われわれが子供たちから学ぶことは、心を閉ざさず無邪気でいれば、自分の内から最大の力を引き出すことができるということである。

(抜粋終わり)

 

年齢に関係なく、学習においてもっとも重要なのはリラックスして無邪気でいられるかどうかだ——と。「上手くならなければ」「あの人と比べて遅れている」「もっと練習しないとダメだ」——こうした評価的な視点が強くなるほど、音楽そのものへの純粋な興味は薄れていきます。逆に、特定の到達目標よりも「面白いから続ける」という姿勢で取り組んでいる人は、驚くほど自然に成長していくことが多いのです。

 

Mindset Note

見栄や他者との比較から離れて、「一つ分かった」「昨日より少しだけ弾きやすくなった」という小さな喜びを積み重ねることを意識してみましょう。その積み重ねが、気づいたときには確かな力になっています。

 

・心で弾くピアノ―音楽による自己発見  著 : セイモア・バーンスタイン  訳 : 佐藤 覚、大津 陽子 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 

‣ STYLE:自分だけのペースを見つける旅

 

上達し続けている人には、一つの共通点があります。それは「自分に合った継続スタイルを見つけた」ということです

練習法の知識やテクニックはあくまで道具に過ぎず、それをどう使って続けていくかが核心です。自分に合うやり方は、他人と同じである必要はありません。体系的に積み上げることに充実感を覚える人もいれば、その日の気分でアプローチを変えるほうが長続きする人もいます。どちらが正しいわけでもなく、どちらが間違っているわけでもありません。

大切なのは、「どうすればいいか分からない」と立ち止まり続けることではなく、実際に試してみること。うまくいかなかったら何が違ったかを考えて変えてみる。その試行錯誤の積み重ねが、自分の練習スタイルを形づくっていきます。

正しいペースは、試してみないと見えてこない。

ミニマリストが多くのものを手放しては戻したりして「何が本当に自分に必要なのか」を長い時間をかけて探るように、自分の練習スタイルを見つける過程にも時間がかかります。それを急ぐ必要はありません。その探索の時間こそが、単に楽器が弾けるようになる以上の要素を育ててくれるからです。

 

► 終わりに(FINISH):トレイルに終わりはない

 

トレイルランニングには、決まったゴールがありません。同じコースを走っても、季節が変われば景色が変わる。体調が変われば感じ方が変わる。それが面白いのです。

音楽も同じです。「完成」はありません。何年弾き続けても、新しい発見がある。昔は聴き流していたフレーズに、ある日突然、深い意味を感じ取れるようになる。それを楽しめている限り、もう正しいペースで走れています。

まずは今日、一歩だけ。明日も続けられるくらいの、ちょうどいい一歩を積み重ねましょう。

 

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