【ピアノ】ベートーヴェン ピアノソナタ入門:独学で弾けるおすすめ2曲と楽譜選び
► はじめに
「ベートーヴェンのピアノソナタ」その名を聞いただけで身構えてしまう方も多いのではないでしょうか。
でも、実は想像以上に親しみやすい作品もあります。
本記事では、以下の疑問にお答えします:
・ベートーヴェンのピアノソナタは、どの曲が入門におすすめ?
・入門最適曲のおおよその難易度は?
・どの楽譜を選べばいい?
► ベートーヴェンのピアノソナタについて
ベートーヴェンのピアノソナタ全32作品は、ピアノ学習者にとって避けて通れない重要な傑作集です。
確かに「難曲」と言われている作品もあります。しかし、一般的に考えられているより敷居は高くありません。
中にはツェルニー30番導入程度(およそピアノ学習3-4年程度)の力があれば十分に独学でも挑戦でき、なおかつ音楽的に素晴らしい作品もあります。
► 入門におすすめの2作品
今回ご紹介するのは以下の2作品です:
・ピアノソナタ第5番 Op.10-1
・ピアノソナタ第9番 Op.14-1
選曲の基準:
・一般的に最も取り組みやすいとされる「2つのやさしいピアノソナタ Op.49」は、ソナチネアルバムにも収録されているため除外
・「月光」など、単一楽章であれば取り組みやすい作品もありますが、今回は全楽章演奏を想定して選曲
► ピアノソナタ第5番 Op.10-1
‣ 演奏難易度
2006年のNHK連続テレビ小説「純情きらり」で、主人公の桜子(宮﨑あおい)が音楽学校を受験する際の試験曲として取り上げられました(第1楽章)。その際の会話が印象的でした:
音楽教師「きちんと弾ければ大丈夫」
この会話からも分かるように、Op.10-1は取り組みやすいソナタの一つです。
ツェルニー30番導入程度(およそピアノ学習3-4年程度)の力があれば独学でも挑戦可能です。
第3楽章は「テンポが速い」点で若干練習を要しますが、基本的に各楽章の難易度に大きな差はありません。
‣ この作品をおすすめする理由
・取り組みやすい難易度
・コンパクトな楽曲構成で練習しやすい
・巨匠ヴィルヘルム・バックハウスのお気に入りソナタ
‣ 楽譜選び
【ヘンレ版】
・国際的な信頼性が高く、コンクールの標準楽譜
・原典に忠実で、一生使える確実な選択
・Op.14-1も同じ楽譜集に収録
・ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ集 第1巻/ヘンレ社/原典版
【園田高弘校訂版】
・ペダリングや運指が詳しく記載された解釈版
・日本を代表する名ピアニスト 故 園田高弘 氏の監修
・彼自身の解釈が書き込まれた解釈楽譜
・園田高弘 校訂版 ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 作品10-1(春秋社)
► ピアノソナタ第9番 Op.14-1
‣ 演奏難易度
古典派の比較的平易な作品を集めた「ソナタアルバム」にも収録されている、学習者向けの作品です。
難易度はツェルニー30番導入程度(およそピアノ学習3-4年程度)で挑戦可能。各楽章の難易度差は小さいのが特徴です。
なお、兄弟作品の「ピアノソナタ第10番 Op.14-2」は、3:2のリズムを多用するなど、Op.14-1より難易度が高く、音大入試でも選曲される作品のため、今回は除外しました。
‣ この作品をおすすめする理由
・取り組みやすい難易度(Op.10-1よりはやや難しめ)
・コンパクトな楽曲構成
・知名度が高く、知人などからのアドバイスを得やすい
・Op.10-1が短調なのに対し、この作品は長調。好みで選曲可能
‣ 楽譜選び
基本的にはOp.10-1と同じ選択肢があります:
【ヘンレ版】(Op.10-1と同じ楽譜集に収録)
・ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ集 第1巻/ヘンレ社/原典版
【園田高弘校訂版】
・園田高弘 校訂版 ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ第9番 ホ長調 作品14-1(春秋社)
► 学習のための参考音源
ピアノ学習において、優れた演奏を聴くことは非常に重要です。
特に初めてベートーヴェンのソナタに取り組む際は、伝統的な解釈を知ることで、自身の演奏の方向性が見えてきます。
筆者が特におすすめするのが「ヴィルヘルム・バックハウス(1884-1969)」の録音です。
バックハウスの演奏の特徴:
・ドイツ的な硬質な音質がベートーヴェンの作品に見事にマッチ
・特に初期ソナタでの解釈が秀逸
・ロマン派的な解釈を抑えた古典的アプローチ
【録音情報】
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集
特徴:
・充実した解説書(全32曲の譜例付き解説)
・作品によっては反復記号による繰り返しを省略した、聴きやすい演奏時間
・ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ全集
別のタイプの全集も出ています。
・ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ全集
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