【ピアノ】ショパン初心者のための第一歩:前奏曲集 第7番 完全解説
► はじめに
「ショパンの曲を弾いてみたい…でも難しそうで手が出せない」
そんな思いを抱いているピアノ学習者の方は多いのではないでしょうか。確かにショパンの作品は技巧的な難しさを伴うものが多く、初心者には近寄りがたい印象があります。 しかし、適切な楽曲選びと練習方法があれば、ショパン入門は決して高いハードルではありません。
本記事では、ショパン作品の入門として最適な「24のプレリュード(前奏曲集)第7番 Op.28-7 イ長調」について、全運指や全ペダリングまで含めた具体的な練習方法を解説します。
この記事を読めば、ショパンの世界への第一歩を踏み出すことができるはずです。
► ショパン入門に最適の楽曲
憧れのショパンに入門したい方にとって最適の楽曲は、「24のプレリュード(前奏曲集)第7番 Op.28-7 イ長調」です。
この楽曲がショパン入門におすすめできる理由は以下の通りです:
・楽曲がたった16小節しかないため、コンパクトで練習しやすい
・速いパッセージが出てこないため、メカニック的に取り組みやすい
・太田胃酸のCMでおなじみの有名な楽曲なので、譜読み間違いにすぐ気づける
・美しいメロディを持つ楽曲なので、練習しがいがある
・シンプルながら、上級者になってからもずっとレパートリーにできる作品である
取り組みやすいショパンの楽曲は他にもありますが、マイナーな楽曲よりも知られていて情報が多いこの楽曲から始めましょう。疑問点などがあった時にヒントを見つけるのも容易ですので。
► 具体的な攻略法
‣「全運指」「全ペダリング」公開
譜例1(PD楽曲、Finaleで作成、楽曲全体)
「全運指」「全ペダリング」を書き込みました。
これが唯一の方法というわけではありませんが、多くの学習者にとってやりやすいものとなっているはずなので、学習の参考にしてください。
この譜例に記載したペダリングは、響きの濁りを懸念して踏み変えを多く行っている例です。もし自身で別のアイディアを思いついた場合は変更しても構いません。
もう一つ補足すべき部分があります。12小節目の※の箇所を見てください。
ここでのカギマークは「二つの音を親指で一度に押さえる」という意味ですが、かなり難しく感じる方もいるはずです。その場合は、次の譜例2のように演奏しても構いません。
譜例2(PD楽曲、Finaleで作成、12小節目)
つまり、右手の親指で弾くはずだったAis の音を左手でとり、尚且つ、両手ともにアルペッジョにするということ。
もしくは、譜例3の右側の譜例のように演奏しても構いません。
譜例3(PD作品、Finaleで作成、12小節目)
手の交差で解決した例です。メロディ音を交差した手で弾くことにより、格段に弾きやすくなっています。
この交差による変更はかねてから多くのピアニストが取り入れており、決して珍しいものではありません。それに、きちんとクライマックスを作りさえすれば音楽的にも問題になるような変更ではありません。
場合によっては、検討してみてもいいでしょう。
‣ 具体的な練習の仕方
役割分担を見てみましょう:
・右手 → メロディおよび内声のハーモニー
・左手 → バスおよび内声のハーモニー
このように役割分担がはっきりと分かれています。したがって、「片手づつ覚えてしまう」という練習が有効です。
片手づつ覚えてしまうくらいピカピカにしてから両手で合わせましょう。
また、運指は弾くたびに変わってしまわないように、毎回同じ運指でさらうのが上達のコツです。もちろん、演奏者によって手の大きさは異なるので、やりにくい箇所は変更しても構いません。
► 終わりに
ショパンの作品は、単なる技巧の披露に留まらない豊かな音楽性を持っています。今回取り上げた「前奏曲 第7番」は、技術的なハードルを抑えながらも、ショパン特有の美しい旋律と繊細な和声の魅力を十分に味わえる作品です。
この楽曲をマスターした後は:
・ワルツ 第3番 イ短調 Op.34-2
・前奏曲 第4番 ホ短調 op.28-4
など、同じように取り組みやすい作品へと視野を広げていってください。
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