【ピアノ】満足の沸点を引き上げ、目の前の楽曲をもっとほじくる方法

スポンサーリンク

【ピアノ】満足の沸点を引き上げ、目の前の楽曲をもっとほじくる方法

► はじめに

 

特に指導者不在で独学している大人の方々にとって、「概ね仕上がった」と感じた時こそ、新たな発見のチャンスが広がっています。

本記事では、ピアノ演奏でも作曲・編曲でも応用できる「満足の沸点を引き上げる方法」を取り上げます。

 

►「概ね仕上がった」は、大抵足りていない

‣ 「沸点の低い満足感」に注意

 

ピアノ演奏でも作曲や編曲でも、自分で「まあまあ仕上がった」と感じた状態は、多くの場合、まだまだ掘り下げられる余地があります。指導者がいない独学の環境では特に、この「沸点の低い満足感」が進歩の妨げになりがちです。

なぜでしょうか。それは人間の思考の枠組みにあります。一度「こう弾こう」「こう作ろう」と決めると、その枠組みから抜け出すことが難しくなりますが、大抵の人は、こういったものが決められ過ぎています。なぜまずいのかというと、自分では出来ていると思い込んでしまうからです。

この「規格化」が繰り返されると、いつも同じ範囲でしか動けなくなってしまうでしょう。

 

‣「やり過ぎ」から始める表現の拡大

 

多くの独学者が陥る問題は「適度な表現」に留まることです。しかも、自分で「適度」だと思っているその表現は「控えめ」であることの方が多いのです。

実際のところ、「控えめな表現から始めて強くする」よりも 「出し過ぎた表現を後から調整する」方がはるかに効果的です。一度、「これは少しやり過ぎかも」と感じるくらいまで表現を押し広げてみましょう。特に平坦さには注意が必要で、「音楽が sempre mf になってしまっていないか」という視点は常にもっている必要があります。

意識的に自分のコンフォート・ゾーン(快適圏)を超えることが必要です。「やり過ぎ」を恐れるよりも、「やり足りない」ままでいることを恐れましょう。

 

‣ 毎日たった一つでも新しい発見をする

 

「概ねできた」と感じた作品こそ、さらに深く向き合う価値があります。毎日たった一つでも、今まで気づかなかった新しい発見を作品から見つけ出す習慣をつけましょう。例えば:

・楽譜上の見落としていた細かな指示
・フレーズの捉え方の新しい視点
・声部間のバランスの新たな可能性
・指使いの工夫による音色の変化

こうした小さな発見を通して、目の前の作品をもっとほじくり、表現の幅を広げていきます。

考えても何も出てこなければ、他のピアニストの演奏を聴いて新しい視点を探しましょう。それを繰り返してください。そうしないと、いつも出来る範囲で動いているだけになります。

 

‣「次へ行く」視点と「掘り下げる」視点のバランス

 

本当に仕上がってきたら「次へ行く」という視点を持つことも大切です。それは「この曲はもう完璧」という意味ではなく、「今やりたいと思っていることを、次の作品で挑戦する」という決断だと捉えましょう。

しかし、「概ね仕上がった」と自分で満足し始めた段階では、まだまだその楽曲と向き合う余地があるのです。それが本記事で最も伝えたいメッセージです。

 

► 実践のポイントのまとめ

 

・「概ね仕上がった」と感じたら、「まだ6割程度」と思うようにする
・表現は「少し大げさかも」と感じるレベルから始め、そこから調整する
・毎日必ず一つ、自分の演奏や作品の改善点や新たな気づきを見つける
・録音して客観的に聴き、「もっとこうしたい」という点を明確にする
・何も出てこない場合は、他の音楽家の演奏や作品から学んででも引き出しを増やす

 

► 終わりに

 

「概ね仕上がった」という思い込みの沸点の低さに気づく姿勢が重要です。甘い自己評価は進歩を止め、厳しすぎる自己批判はモチベーションを失わせます。建設的な厳しさと共に、小さな進歩も認める気持ちをもちましょう。

そして何より、この「もっとほじくる」プロセスこそが、音楽を深く味わう喜びに繋がることを忘れないでください。

 


 

► 関連コンテンツ

著者の電子書籍シリーズ
・徹底分析シリーズ(楽曲構造・音楽理論)
Amazon著者ページはこちら

・お問い合わせ
お問い合わせはこちら

 

この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

タカノユウヤをフォローする
- 練習の継続方法
スポンサーリンク
タカノユウヤをフォローする
大人のための独学用Webピアノ教室(ブログ版)

コメント

タイトルとURLをコピーしました