【ピアノ】エルギン・ロート「ショパンとデッペに学ぶシンプルなピアノ演奏法」レビュー
► 基本情報
エルギン・ロート(1926-2012、ピアノ教育の分野で高い評価)による本書は、ショパンとデッペという二人の音楽家の教授法を深く掘り下げた、中級〜上級者必読の一冊です。150ページにわたり、彼らの音楽哲学と演奏技術が紹介されています。
・訳 : コサキ共子
・出版社:CLAP
・初版:2024年
・ページ数:150ページ
・対象レベル:中級〜上級者
・ショパンとデッペに学ぶシンプルなピアノ演奏法 著:エルギン・ロート 訳:コサキ共子 / CLAP
► 内容について
‣ 本書の特徴
1. 比較対象があるアプローチ
本書の特徴は、ショパンとデッペという「二人の」音楽家に焦点を当てている点。比較対象があることで、共通点やそれぞれの特徴が浮き彫りにされています。
ショパンやデッペ自身による言葉はもちろん、彼らの弟子たちが、受けたピアノレッスンについて書き残した文章が紹介される形で進んでいきます。
2. 作品解説ではなく、音楽思想や演奏技術に特化した構成
書籍は大きく4つのセクションに分かれており、それぞれが以下のテーマを詳細に探求しています:
・ショパンとデッペの芸術的理想
・運動感覚的な基本
・演奏技術の基本
・タッチの種類
3. 同内容の強調
ショパンやデッペの弟子たちが、受けたピアノレッスンについて書き残した文章が紹介される形で進んでいくスタイルだからこそ、師がレッスンにおいて強調した内容など、同内容が繰り返し何度も何度も記述されています。これはただの重複ではなく、本当に重要な点を読者に強く訴えかけてくる本書の特徴と言えるでしょう。
‣ 特に注目すべき点
フレーズの理解:音楽的緊張感の維持についての重要な解説を含む
多視点によるアプローチ:ショパンとデッペ、彼らの弟子、エルギン・ロートによる発言の集約
付録/要約:本書の核心を凝縮した、非常に有益なセクション
「付録 / 要約」が充実しており、ショパンとデッペの演奏法の特徴や共通性、本書で出てきたボキャブラリーなどについて見やすくまとめられているのが、本書の価値を高めています。
また、よく知られている内容ですが、ショパンが「勝手なルバートを許さなかったこと」にも触れられています。これは、ショパンの音楽を誤解している方にとって大きなヒントになるでしょう。
► おすすめの読者層
・独学でクラシック音楽を学ぶ中級〜上級レベルの学習者
・音楽教育に深い関心を持つ学習者
・ショパンの作品そのものというよりは、彼やデッペの演奏テクニックを理解したい方
► 留意点
・図解による説明ではなく、言葉による展開
・一部の奏法理解には想像力が必要
・コンパクトな書籍ではあるが、専門的で深い内容のため、集中して読む必要がある
► 終わりに
本書は、ショパンとデッペという二人の音楽観を通じて、彼らの考え方、現代の奏法、音楽教育などについて改めて考える機会を与えてくれます。
この種の専門書にしては珍しくKindle版(電子書籍)もあるので、ぜひ一度目を通してみてください。
・ショパンとデッペに学ぶシンプルなピアノ演奏法 著:エルギン・ロート 訳:コサキ共子 / CLAP
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