【ピアノ】「ピアノ常識入門」レビュー:楽器の知識を深めたい愛好家必携の一冊

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【ピアノ】「ピアノ常識入門」レビュー:楽器の知識を深めたい愛好家必携の一冊

► はじめに

 

本記事では、「ピアノ常識入門」(北村恒二 著)を紹介します。大人の独学者にとって有益な一冊です。

 

・出版社:音楽之友社
・初版:1982年
・ページ数:207ページ
・サイズ:21cm(コンパクトながら情報量豊富)
・著者:北村恒二(音響学・調律理論専攻、元機械技術者)

 

・ピアノ常識入門 ムジカノーヴァ叢書 4 著:北村恒二 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

► 内容について

‣ 本書の特徴

 

「ピアノ常識入門」というタイトルからは何の常識か分かりにくいかもしれませんが、これはピアノという楽器そのものについての百科事典的な一冊です。楽器の進化の歴史、構造、保守管理まで幅広くカバーしています。

特筆すべき特徴:

・図版、写真、表が豊富で視覚的に理解しやすい
・専門的な内容でありながら、マニアック過ぎず実用的
・ピアノ愛好家の実際の悩みに応える内容構成
・トラブルシューティングが充実(自分で対処できる部分と専門家に任せるべき部分の区別が明確)

 

‣ 目次から見る内容の充実度

 

本書は6章から構成されています:

1. ピアノ小史:楽器の誕生から発展、偉大な作曲家との関わりまで
2. 主として音響学的に見たピアノのメカニズム:打弦機構や各部名称、ペダルの役割など
3. ピアノの音階とピッチについて:音律理論の基礎知識
4. ピアノの音と防音:音の大きさや効果的な防音対策
5. ピアノの取扱い方<1>:日常の保守管理と調律の基礎知識
6. ピアノの取扱い方<2>:外装のお手入れや簡単な分解・修理の方法

さらに付録として国内外のピアノブランド集も収録されています。

 

‣ 大人の独学ピアニストにとっての価値

 

本書が特に役立つのは以下のような場面です:

・2台目の楽器選びの参考に:ピアノの構造や種類の違いを理解することで、自分に合った楽器選びができる
・トラブル対応力の向上:キーが戻らない、異音がするなどの簡単なトラブルに自分で対処できるようになる
・調律・メンテナンスの知識:プロに依頼すべき時期や内容を判断できる目が養われる
・音響と防音の基礎知識:家庭でのピアノ練習環境を最適化するヒントが得られる
・楽器への理解と愛着の深まり:ピアノの歴史や仕組みを知ることで演奏への姿勢も変わる

 

‣「はじめに」から読み取れる著者の意図

 

著者は「はじめに」の中で、「ピアノの内部は専門家でなければ触ってはならない」という固定観念に疑問を投げかけています。確かに調律は専門家に任せるべきですが、基本的な構造や応急処置の知識があれば、多くのトラブルは自分で対応できるとしています。

当時(1982年)の日本は既に「世界一のピアノ生産国」となり、「6〜7戸に1台」の普及率だったそうです。それだけピアノが身近な楽器になっているのに、その取り扱いについての知識が不足している状況を改善したいという著者の熱意が伝わってきます。

 

► おすすめの使い方

 

本書は辞書的に活用するのが効果的です:

1. ざっと目次と内容に目を通し、どんなことが書かれているのかを一通り把握しておく
2. 知識を深めたい部分のみを抜粋して学習する
3. 以後は、辞書的に、ことあるごとに必要な部分を調べるように学習する

特に第5章・第6章の「ピアノの取扱い方」は実践的で、日常のお手入れから簡単な修理まで網羅しています。自分でできることとプロに任せるべきことの線引きも明確で安心です。

 

► おすすめの読者層

 

・2台目の中古ピアノの購入を検討している方
・自宅でのピアノ練習環境を整えたい方
・楽器のメカニズムに興味がある方
・子どものピアノ教育に関わる保護者の方
・学校や施設でピアノ管理を担当している方

 

► 注意点

 

1982年刊行のため、当然ながら最新のデジタルピアノ等については触れられていません。ただし、アコースティックピアノの基本構造は今も変わっていないので、本質的な内容は現在も十分通用します。

 

► まとめ

 

「ピアノ常識入門」は、楽器としてのピアノへの理解を深め、長く大切に使うための知恵が詰まった貴重な一冊です。楽器そのものへの理解を深めたい大人の独学者にとって、価値ある参考書と言えるでしょう。

コンパクトなサイズながら情報量は豊富で、必要な時に必要な知識を得られる実用書として、ピアノ愛好家の本棚に一冊あると心強い存在です。

 

・ピアノ常識入門 ムジカノーヴァ叢書 4 著:北村恒二 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 


 

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