【30秒で分かる】シューマン「楽しき農夫」の難所対策! ~ユーゲントアルバム Op.68-10 弾き方のポイント~
► はじめに
・曲全体の難易度:★★☆☆☆(ブルグミュラー25の練習曲入門程度)
・曲全体の演奏時間:約40秒
・譜例部分の練習目安:3-5日程度(1日30分の練習を想定した場合)
シューマン「ユーゲントアルバム(子どものためのアルバム)Op.68-10 楽しき農夫」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、9-14小節)
譜例は、この作品の中で特に練習が必要な部分です。運指例を参考に、まずはゆっくりと練習してみましょう。できる限り、手の横移動が少なくて済む運指を掲載しました。この運指を参考に練習することで、ミスタッチが起きる可能性を減らすことができます。
► この作品の難所
・11小節目のアウフタクト(弱起)から始まる、重厚な部分
・①から②へ移るところの右手の跳躍
► 難所対策:弾き方のポイント
‣ 具体的な練習手順
1. 片手練習(各パート2日程度)
・右手、左手ともに、1-2小節ずつに区切って
・丸印で示したF音は、直後にメロディが出てくるので早めに離す
2. 両手合わせ(3日程度)
・まずはゆっくりしたテンポで
・①の f による入りが大き過ぎないように
Step 1:メトロノーム ♩= 60 で片手練習
Step 2:♩= 80 で両手合わせ
Step 3:♩= 100 まで徐々にテンポアップ
‣ 小節ごとの演奏ポイント
(再掲)
【9小節目】
お使いの楽譜には、ダイナミクス記号が書かれているでしょうか。妻のクララ・シューマンが編集した楽譜には、アクセント記号以外は書かれていません。しかしここは、ふと柔らかさを求めてmp か、大きくても mf 程度で弾いてみるといいでしょう。
また、カギマークと l.h. で示したB音は、左手で弾くとラクになります。
【10小節目】
1拍目表よりも裏のほうが3音で音数は多いですが、それに釣られて、裏のほうが強くなってしまわないように気をつけましょう。
【11小節目】
①の f による入りが大き過ぎないように。なぜかというと、その後に②、③と音域が高くなりながら、より歌い上げるからです。フレーズの方向性は③へ向かっていることを忘れないでください。
この小節は、①から②へ移るところの右手に跳躍があるので、右手に関しては以下のように、和音でポジションをつかむ予備練習をするといいでしょう。
譜例2(Sibeliusで作成)
(再掲)
【12小節目】
丸印で示したF音は、直後にメロディが出てくるので早めに離しましょう。B音も同じタイミングで離してOKです。
この小節は特にペダルを上げるタイミングに注意してください。一つ目のペダルを上げるのが遅くなると、メロディの高いF音がペダルで伸びている状態になり、2拍目裏のメロディが分かりにくくなってしまいます。二つ目のペダルを上げるのが遅くなると、4拍目裏の右手の休符がなくなってしまいます。
【13小節目】
右手の和音には、8分音符と4分音符が混ざっています。すべてが8分音符になってしまわないように注意してください。メロディは左手パートなので、和音連打はうるさくならないようにしましょう。
【14小節目】
3拍目裏と4拍目表の和音連打がうるさくなってしまうと、直後のメロディC音の入りが分からなくなってしまいます。鍵盤のすぐ近くから極めて軽く打鍵してください。
‣ 要注意ポイント
・4分音符と8分音符の長さをしっかりと区別する
・メロディ以外の音がメロディを邪魔しないよう気をつける
‣ よくある間違い
・メロディより伴奏が強くなる
・ペダルを使い過ぎて、メリハリがなくなる
► 終わりに
この作品は「楽しき農夫」というタイトルの通り、明るく快活な作品です。ひょっとしたらシューマンは、農夫の収穫を終えた喜びをイメージしていたのかもしれません。
テンポが速くなり過ぎて「焦っている農夫」にならないように気をつけましょう。目安としては、速くても ♩= 112 までと考えてください。
※「楽しき農夫(Frohlicher Landmann / The Happy Farmer)」は「楽しき農夫」「仕事を終えて帰る上機嫌な農夫」など、様々な日本語訳で親しまれています。
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