しかし、一度その音楽の魅力に触れると、もう離れられなくなる – そんな不思議な魅力を持つ作曲家です。
► なぜ、シューベルトは敬遠されがちなのか
シューベルトのピアノ作品、特にソナタが敬遠される主な理由として、以下の3点が挙げられます:
・地味な印象を与える作品が多い
・演奏時間が長い大作が目立つ
・表面的な派手さよりも内容の深さを重視している
しかし、これらの特徴は決して欠点ではなく、むしろシューベルト音楽の本質的な魅力といえるでしょう。
► シューベルト入門:まずは聴くところから
シューベルトのピアノ音楽と親しむための第一歩は、「演奏」ではなく「鑑賞」から始めることをおすすめします。
以下の作品群を、まずはゆっくりと聴いてみましょう。
► 必聴の小品集
・楽興の時 D 780 Op.94
・即興曲集 D 899 Op.90
・即興曲集 D 935 Op.142
これらの小品は、シューベルトの音楽語法を理解する上で重要な作品群。
比較的短い曲が多く、入門としても最適です。
► ピアノソナタへの入門
特に重要なのは第13番から第21番までのソナタですが、中でも、最晩年の3大ソナタと呼ばれる以下の作品は、必ず押さえておきたい傑作です:
・ピアノソナタ第19番
・ピアノソナタ第20番
・ピアノソナタ第21番
初めて聴く方には、以下の順序での鑑賞をお勧めします:
・第19番 → 最も親しみやすく、第4楽章のタランテラは特に魅力的
・第21番 → シューベルトの深遠な音楽世界を体現する傑作
・第20番 → より深い音楽的理解を必要とする作品
► 実践的なアプローチ
1. まずは「聴き流し」から始める
・気になる曲を日常的なBGMとして活用
・曲の全体像を把握することを目指す
2. 曲の構造を意識して聴く
・楽章構成を理解する
・主題の現れ方や展開を追う
3. お気に入りの曲を見つけたら
・楽譜を見ながら聴く
・可能であれば部分的に演奏を試みる
► おすすめの一曲:個人的な視点から
「ピアノソナタ第7番 変ホ長調 D 568 第4楽章」も、ぜひ聴いていただきたい作品。
ソナタ形式なのですが、特に再現部のes-mollになった方の第2主題を聴くと、胸に迫るものがあります。
アンドラーシュ・シフの演奏は、特におすすめです。
► まとめ
シューベルトのピアノ作品は、一見すると取っつきにくく感じるかもしれません。
しかし、まずは聴くことから始め、徐々に理解を深めていけば、その音楽の素晴らしさが必ず伝わってくるはずです。
焦らず、じっくりとシューベルトの音楽世界を探検してみてください。
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