【ピアノ】シューマンのピアノソナタにまつわる年代と番号の情報整理
► はじめに
ロベルト・シューマン(1810-1856)のピアノソナタは、ロマン派ピアノ音楽の重要な作品群です。シューマンは生涯で3曲の主要なピアノソナタを残しました(未完のものや、「子どものためのピアノソナタ Op.118」は除く):
・ピアノソナタ第1番 嬰ヘ短調 Op.11
・ピアノソナタ第2番 ト短調 Op.22
・ピアノソナタ第3番 ヘ短調 Op.14
これらのソナタには興味深い点があります。第3番の作品番号が第2番よりも若い数字になっていることです。また、シューマンのピアノソナタには改訂が行われた作品もあります。そこで、これらのソナタの年代や作品番号についての知識を一度整理しておきましょう。
► 年代と番号の情報整理
‣ 作曲年代の整理
ソナタ | 着手年 | 初版完成年 |
---|---|---|
第1番 Op.11 | 1832年頃 | 1835年 |
第2番 Op.22 | 1833年頃 | 1835年(実質、1838年 後述) |
第3番 Op.14 | 1835年 | 1835年 |
シューマンにとってのこの時期の位置を把握するためには、以下の3つの年代を踏まえておきましょう:
・シューマンが指を痛めてピアニストになるのを断念したのが1832年
・クララと恋仲になったのが1836年
・ピアノ曲を特に盛んに作曲したのが1840年までの約10年間
‣ 改訂について
シューマンは自身の作品を見直し、改訂することがありました。ピアノソナタについても例外ではありません:
第2番 Op.22:
・1838年に改訂され、第4楽章が追加された
・1835年の完成段階では出版されなかったので、実質の完成は1838年
・このため、作曲年が1833-1838年とされている資料も見られる
第3番 Op.14:
・元々は「管弦楽のない協奏曲(Konzert ohne Orchester)」として3楽章構成で出版
・1853年に現在の形に改訂された
‣ なぜ、第3番よりも第2番のほうが若い作品番号なのか
シューマンの作品番号(Op.番号)は作曲順ではなく出版順に付けられています。
ソナタ | 出版年 |
---|---|
第1番 Op.11 | 1836年 |
第3番 Op.14 | 1836年(「管弦楽のない協奏曲」として) |
第2番 Op.22 | 1839年(改訂済みのものの出版年、1835年の第一の完成段階では出版されなかった) |
第3番 改訂版 | 1853年 |
「管弦楽のない協奏曲」としての第3番 Op.14は早く出版されましたが、後に改訂されました。したがって、作曲順では第2番(Op.22)より後でも作品番号は当初のまま若い番号(Op.14)となっています。
► 終わりに
シューマンのピアノソナタは、彼の創作における重要な時期に集中して書かれました。作曲年代と出版年代、そして改訂の歴史を知ることで、作品への理解が深まります。
これらのソナタを練習する際は、シューマンの伝記的背景や当時の精神状態も考慮しておくといいでしょう。以下の記事も参考にしてください。
【ピアノ】シューマン「音楽と音楽家」レビュー|ロマン派の天才が残した音楽評論
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