【ピアノ】いつも1週間かかっている譜読みを3日で終わらせる方法
► はじめに
譜読みに時間がかかりすぎて困っていませんか。本記事では、譜読みを効率よく進めるための具体的な方法を紹介します。
筆者自身、これらの方法を意識して実践するようになってから、同じ難易度の曲の譜読みにかかる時間がおおむね半分程度になりました。もちろん曲の難易度や個人差はありますが、今まで1週間かかっていた譜読みが3日前後で終わるようになったという実感があります。
本記事の対象者:初中級〜中級者
► 譜読み速度を向上させる7つのポイント
‣ ① 短い単位に区切って読む
譜読みでは、短い単位に区切って何度も何度も同じところを読んでいくのが効果的です。効率よくおおむね弾けるところまで持っていくためには、今弾いたところを忘れないうちに、もう一度弾くことが重要だと理解してください。こうすることで記憶の定着に直結します。
また、このような方法で譜読みをすると短い単位に集中できるので、臨時記号の見落としなどにも気づきやすく、正確な譜読みにもつながります。
‣ ② 複数曲あるなら「皿回しによる譜読み」
同時にいくつかの楽曲の譜読みをする場合には、「皿回しによる譜読み」をおすすめします。
1曲をまるまる終わらせてから次の曲へ移るのではなく、「ある程度の単位を集中して読んだら別の曲を数小節読む、そしてそれを回していく」というやり方。①で紹介した「短い単位に区切って、何度も何度も同じところを読んでいく」という方法を一つの単位として、それらを回していきます。
この方法をとることで、飽きずに譜読みを続けられるというメリットがあります。譜読み方法自体にバリエーションを持たせましょう。
‣ ③「繰り返し」のセクションは要注意
楽曲の中には「繰り返し」がたくさん出てきますが、譜読みの段階で「繰り返し」を見つけたらやっておくべきことがあります。それは次の2つをしっかりと区別して整理しておくことです:
・全くそのまま繰り返されているところ
・似ているけれども、やや変化が加えられているところ
そうすることで、譜読みが早くなりますし、後ほど「暗譜」をする際に役に立ちます。
譜面を見て弾いている段階では、こういったことを意識しなくても弾けてしまうでしょう。しかし、暗譜ではそうはいきません。場合によっては、「音符は全くそのまま繰り返しているけれども、ダイナミクスのみ変化している」という例もあるので、注意深く読む必要があります。音を読むだけでなく、こういった細かなニュアンスも読み取っていくのが譜読みです。
‣ ④ 難しいところは片手ずつ暗譜してから合わせる
テクニック的に難しいところでは、譜読みの初期段階から両手でゆっくり合わせてしまわないことが重要です。片手だけで、理想の完璧なテンポで楽譜も見ずに弾けるくらいにしてから、両手でゆっくり合わせ始めてみてください。そうすることで、おおむね弾けるようになるまでの時間も短くなります。
ほとんどの方が、片手ですらろくに弾けていないうちから両手で合わせ始めてしまいます。難しいところがうまく弾けない原因はテクニック不足というよりも、余裕がないからであることが多いのです。たとえゆっくりのテンポであっても、慣れていない段階で両手で合わせているときは余裕がありません。
難所を弾くとき、楽譜を追いながら両手を同時にコントロールするのは頭への負荷が非常に高い状態です。まず片手だけを完全に暗譜してしまい、その手が「無意識に動ける」状態を作ることが、結果的に譜読みを加速させる鍵になります。
‣ ⑤ 運指を細かく書き込む
譜読みで楽譜にかじりついているときは、視覚的要素に大きく依存しています。そのため、書かなくても明らかにその運指を使うに決まっているところでも、書いてしまうといいでしょう。
運指に思考が持っていかれる割合が少なくなるので、おおむね弾けるようにまで持っていくまでの時間が短くなります。毎回異なる運指で弾いてしまうような非効率な反復練習を徹底的に避けることが重要だと理解しましょう。
ピアノ教育家のクルト・シューベルトも著書の中でこのように述べています。
指の正しい順序(運指法)を厳密に非常に早く暗記することは、多くの〈困難な〉場所を克服する最も良い秘訣である。
・ピアノ奏法の研究 音楽作品の芸術的理解にもとづく 著 : クルト・シューベルト 訳 : 佐藤峰雄 / 音楽之友社
繰り返しのところにも同じ運指を書き込む
繰り返しがある箇所では、大抵どの版の楽譜でも最初の1回分しか運指が書かれておらず、繰り返し部分では省略されています。譜読みのときに、繰り返しのところにも同じ運指を書き込んでしまいましょう。
そうすることで別の運指を使ってしまう可能性がなくなるので、譜読みが効率よく進みます。何度弾いても同じ運指で弾けるように、楽譜を作り込んでおくことが大切です。
ページをめくった後の最初の音にも書き込む
ページをめくった直後の最初の音にも、必ず運指を書き込んでおいてください。
例えば、前からの流れで弾けば「4の指」で弾くべきところでも、その音から部分練習を始めると、無意識に異なる指で弾き始めてしまう可能性があります。そうなると実際の運指を使って練習しているわけではなくなるので、練習が積み重なっていきません。どの指で弾くか分かりきっているような場合でも、構わず運指を書き込んでおきましょう。
‣ ⑥ 視覚的補助の活用(J.S.バッハのフーガなど)
J.S.バッハをはじめとするフーガの譜読みでは、主題や応答が各声部に現れます。これらの「入り」と「終わり」を赤や青などの目立つ色でマーキングすることで、譜読みを効率的に行えます。
J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第7番 BWV 876 変ホ長調 フーガ」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、35-39小節)

①「テノールによる応答の終わり」
②「バスによる主題の終わり」
③「アルトによる応答の始まり」
④「ソプラノによる主題の始まり」
マーキングをするメリット:
視覚的な認識のしやすさがアップ:色による強調は、楽譜の中で重要なところを即座に認識することを助ける
声部間のバランス調整が容易に:フーガでは主題や応答を他の声部よりも際立たせる必要があるが、マーキングによって各声部の重要度の変化を視覚的に理解しやすくなる
楽譜を読むことに必死の状態では、主題や応答が始まっても他の声部と同一化して埋もれたり、反対に終わっても鳴らしっぱなしになりがちです。マーキングがその入りと終わりをアナウンスしてくれるので、余裕がないうちでも最低限のダイナミクスコントロールができます。
譜読みの段階では、「視覚的要素に頼り切っている状態をどう上手く活用するか」を考えましょう。
マーキングには、次のような工夫も効果的です。
・主題と応答で異なる色を使用する
・声部ごとに色を変える
・入りと終わりで異なるマークを使用する
‣ ⑦ グルーピングを発見する(応用)
ここまでの方法を実践できるようになったら、ぜひ意識していただきたいのが「グルーピングの発見」です。
グルーピングとは、音型のまとまりを見つけることで、これができると、運指がすぐに決まったり、暗譜がしやすくなったりと、譜読みをはじめ多くの場面で役に立ちます。
【例1】
ショパン「エチュード(練習曲)ハ短調 Op.10-12 革命」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)

ショパンによって書かれたこのアクセント記号も、グルーピングの一種です。これらがあることで、同じ形が繰り返されていることが容易に分かり、グループ単位での運指を簡単に決定できます。
アクセント記号が書かれていない楽曲でも、音型の連なりからどのようにグルーピングされているかを読み取る意識を持ちましょう。
【例2】
プロコフィエフ「ピアノソナタ 第1番 ヘ短調 Op.1」
譜例(PD作品、Finaleで作成、96-97小節)

このようにグルーピングを発見できると適切な運指がすぐに見つかります。
【例3】
ショパン「ノクターン 第7番 嬰ハ短調 Op.27-1」
譜例(PD作品、Finaleで作成、45-46小節)

カギマークで示したところがオクターブで跳んでいることに気づくと、一気に覚えやすくなるでしょう。「Cis E Fisis Ais」という親指で演奏する音を覚えておくだけで楽に弾けるようになります。
1音1音をしっかりと読みつつ、カタマリで抜き出す視点も忘れずに譜読みを進めていきましょう。「効率良い譜読みは、グルーピングの発見に限る」と言っても過言ではないくらい、その見分けは重要です。
► 終わりに
今回紹介した譜読みを効率化するポイント:
・短い単位に区切って繰り返し読む
・複数曲は「皿回し」で飽きずに進める
・「繰り返し」のセクションは変化の有無を整理する
・難所は片手ずつ完成させてから両手で合わせる
・運指を細かく・繰り返しにも・ページをめくった直後にも書き込む
・フーガなどは色でマーキングして視覚的補助を活用する
・グルーピングを意識して音型のまとまりを見つける
どれも今日からすぐに実践できる方法です。これらを実行すれば1週間かかっていた譜読みを3日、つまり時間を半分以下に短縮できるでしょう。ぜひ次の譜読みから取り入れてみてください。
この記事を読んだ方へ:次はここを目指しましょう
譜読みのスピードが上がってきたら、次は「読む力そのもの」も同時に底上げするステージです。”ただ弾けるようにする”から、”楽譜を深く理解して弾く”へ——その一歩を踏み出すための記事を用意しています。
【ピアノ】譜読み力を劇的に向上させるための完全ガイド:基礎から応用まで
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