- 【ピアノ】先生に聞けない素朴な疑問10選:真面目に答えるQ&A集 vol.13
- ► はじめに
- ► 質問集
- ‣ Q1. 練習中にスマホでタイマーを使うのはアリ?
- ‣ Q2. グランドピアノとアップライトピアノは絶対にグランドのほうが優れている?
- ‣ Q3. 電子ピアノにキータッチの重さを変える機能があるが、なぜそんなことができる?
- ‣ Q4. 好きな曲が多過ぎて、レッスンで弾きたい曲が決められないときの対処法は?
- ‣ Q5. 演奏発表会における「良い選曲」とは?
- ‣ Q6. 寒い日の本番で指が動かないとき、どう対処すべき?
- ‣ Q7. ピアノが「義務」になってしまったとき、どうリセットする?
- ‣ Q8. 練習効果を高める「練習時間帯」にベストはある?
- ‣ Q9. 音楽に正解がないなら、何を基準に成長を感じればいい?
- ‣ Q10. ピアノを弾くとき、部屋の明るさや空間づくりは大事?
- ► 終わりに
【ピアノ】先生に聞けない素朴な疑問10選:真面目に答えるQ&A集 vol.13
► はじめに
・「こんなこと、先生に聞いていいのかな…」
・「ググっても明確な答えが出てこない…」
こういった、聞きにくいけど実は気になるピアノ関連の疑問に、真面目に答えます。レッスンに通っている方はもちろん、スポット(単発)レッスンを受ける独学の方にも参考になる内容です。
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► 質問集
‣ Q1. 練習中にスマホでタイマーを使うのはアリ?
結論:ぶっ続け練習を避ける方法としておすすめ
何時間ものぶっ続け練習ほど非効率かつ身体に負担となる練習方法はありません。人間の集中力は40〜50分程度という説もあり、本当に密度の濃い練習や学習をしたければ、区切ることでぶっ続けを避けるのが得策です。
タイマーの効果的な使い方
ぶっ続け練習を避けるコツは、「タイマーに怒られること」です。時間を決めておいて、大きな音で鳴るようにセットしておきましょう。
ポイント:
・ワンセット45分練習にするなら「50分後」に鳴るように設定
・やや長めにセットしておくのがコツ
・慣れてきたら、タイマーが鳴る前に自分で切り上げる
何回も「立ちあがれ」と怒られているうちに、「そろそろ怒られそうだな」などと経過した時間の長さが分かってきます。決めた時間で立ち上がることが習慣になってしまえば、ぶっ続け練習のクセは撃退できます。タイマーの使用も必要なくなり、「タイマーが鳴るかも」などと頭を支配するものさえ無くなり、さらに練習へ集中できるようになります。
「15分だけ集中する」というやり方もおすすめ
なかなか集中できなくて、ピアノに5分触っては立ち上がったり、練習中に指だけ動かしながら別のことを考えていたりしませんか。そんな方におすすめするのは、「15分だけ集中する」というやり方です。
音大のピアノ練習室を夜遅くまで利用していた学生時代、完全退館時間の20分前にアナウンスが鳴りました。すると「最後の15分、集中しよう」と思い、実際、驚くほど集中できたのです。おそらく、「時間制限が決まっている」というのが人によっては良い刺激になるのだと思います。
他の例(経験談):
・有料の練習スタジオを借りるとその時間は集中できる
・24時間演奏可能の物件よりも音出し時間が定められている物件のほうが、練習時間は増える
どちらも時間制限があるからでしょう。「15分だけ集中する」とスマホでタイマーをセットすると緊張感が出るので、試してみましょう。
‣ Q2. グランドピアノとアップライトピアノは絶対にグランドのほうが優れている?
結論:創作の視点から見ると、どちらにも独自の良さがある
「自分はグランドピアノしか持っていないから、興味ない」などという視野の狭い考えはよくありません。どんなピアノでも触る機会は訪れるものです。
アップライトピアノの独自性
「チェレスタペダル / セレストペダル(マフラーペダル)」という真ん中のペダルを使用することによるアップライトピアノにしか出せない音色もあります。そこに作曲家が目をつけてアップライトピアノ用の作品も生まれています。
演奏の観点からみると、どうしても高速同音連打のやりやすさなどからグランドピアノの良さに目が行きますが、創作の視点から見ると、アップライトというのは「個別の独立した楽器」なのです。
‣ Q3. 電子ピアノにキータッチの重さを変える機能があるが、なぜそんなことができる?
結論:多くの機種では発音タイミングでコントロールしている
電子ピアノにキータッチの重さを3段階くらいに変える機能がついていることがあります。機種によって様々なやり方はあるようですが、多くの機種でこれを実現しているのは、発音タイミングの変化です。
仕組み:
キータッチを重くする → 発音までのタイミングがわずかに遅れる → 鍵盤が重く感じる
キータッチを軽くする → 発音までのタイミングが早くなる → 鍵盤が軽く感じる
※機種によって実装方法は異なります。詳しくは各メーカーの技術仕様をご確認ください。
‣ Q4. 好きな曲が多過ぎて、レッスンで弾きたい曲が決められないときの対処法は?
結論:自分の意見と先生の意見の両方を取り入れる
まずは自分が弾きたい曲を3〜4曲程度にリストアップしてみましょう。それらの候補曲を先生に提示して、技術レベルや練習期間を考慮したアドバイスをもらうと良いでしょう。
レッスン曲選びで「自分の意思」を反映させるべき理由
このような選曲プロセスでは、先生に完全に任せきりにせず、自分の意志で選んだ要素を必ず残すことが大切です。自分で決めた部分があるだけで、練習へのモチベーションが大きく変わります。
すべてを他人任せにしてしまうと、信頼関係が十分にある場合を除き、理想的な学習状態とは言えません。最初は順調でも、練習でつまずいたり上達が停滞したりすると、「結局これは人が決めた曲だから」という気持ちがモチベーション低下につながってしまいます。
先生や周囲に意見を求めることは全く問題ありませんが、曲選びの過程で「自分が選んだ部分もある」という実感を必ず持てるようにしましょう。
‣ Q5. 演奏発表会における「良い選曲」とは?
結論:その本番の趣旨を壊さない選曲、自分の色を出すことができる選曲 など
演奏発表会における「良い選曲」というと、一般的には「発表会映えする特徴を持った華やかな作品」を思い浮かべるかもしれませんが、以下の観点も重要です。
重要な観点:
・その本番の趣旨を壊さない選曲
・自分の色を出すことができる選曲
経験談①:モーツァルトの選択
学生時代にピアノコンクールに出場した際、予選課題曲は「モーツァルトまたはベートーヴェンのピアノソナタから急速楽章を1曲」という指定でした。そこで、モーツァルト K.311の第3楽章を選びました。
周囲の出場者がほぼ全員ベートーヴェンを選ぶ中、モーツァルトを演奏したのは筆者だけでした。プログラムに変化が生まれ、さらにカデンツァを含む充実した楽章だったこともあり、結果的に印象に残る選曲になったと感じています。
経験談②:ピアソラの編曲
学生時代のある演奏会で、自分でピアノソロに編曲したピアソラの「デカリシモ」を演奏しました。その日のゲスト演奏者の方が、打ち上げの場で、演奏や編曲だけでなく、選曲についても褒めてくださいました。全員へ向けてのコメントの中でのことだったので、嬉しく感じたのを覚えています。
クラシック中心のプログラムが続く中、違和感なく程よいアクセントとなったようです。作曲・編曲を専門とする自分の特色も打ち出せたため、これも「効果的な選曲」の一例だったと考えています。
‣ Q6. 寒い日の本番で指が動かないとき、どう対処すべき?
結論:多方面からの徹底的な対策が必要
防寒をおろそかにしてしまい、「本番で指が動かなかった…」なんてことになってしまったら大変です。
緊張すると身体が冷えることは、専門家も指摘しています。そこに加えて、季節的な寒さによる冷えも重なるわけなので、それなりの対策が必要です。
【ピアノ】本番を成功させるための48のポイント:本番前から本番後まで という記事では、「手と上半身の防寒」「下半身の防寒」別に対処法をまとめているので、あわせて参考にしてください(「‣ 18. 本番当日の防寒対策」を参照)。
具体的なポイント:
・会場のエアコンについての注意点
・手袋着用に関する注意点
・カイロの選び方と使い方
・タイツの扱い方
‣ Q7. ピアノが「義務」になってしまったとき、どうリセットする?
結論:やらされ感がある内容を減らし、自分の意思を取り戻す
ピアノが「義務」になってしまったと感じた場合は、まずは「やらされ感」がある部分を徹底的に洗い出してみて、その中から解消できるものはないかをチェックしてみましょう。
「やらされ感」の例:
・自分の意思が全く入っていない、一方的に決められた教材
・やってもらって当然のように半ば強制的に決められた伴奏
・自分で決めた内容でも、終わらせることが目的化してしまっているすべての指練習
すぐに解消できない場合の対処法
中にはすぐにはどうしようもないものもあると思いますが、解消できないものは以下の考え方で乗り越えられます。
「そのうち終わる」という事実を理解すること:
・教室で与えられた楽曲であれば、マルをもらえたらいったん終わりにすることができる
・イベントの伴奏であれば、そのイベントが終われば解放される
期限がなく弾き続けなければいけない楽曲なんて、そうそうありません。
‣ Q8. 練習効果を高める「練習時間帯」にベストはある?
結論:時間自体にベストはないが、できれば時間帯を決めるのがおすすめ
家庭環境などによって練習できる時間は様々だと思います。一般的には、疲れていない午前中がいいと言われることもありますが、実際にはどの時間に練習しても、上達している人はいます。
色々試した経験上、時間自体にベストはありませんが、できれば時間帯を決めるようにするといいでしょう。
時間帯を決めるメリット:
・それが日課になり、練習までの腰を上げるハードルも下がる
・時間が決まっているほうが、家族の協力も得られやすくなる
‣ Q9. 音楽に正解がないなら、何を基準に成長を感じればいい?
結論:技術的進歩に加えて、自分との約束を守れるようになったかを重視すべき
もちろん、メカニック面での技術的な進歩など分かりやすい要素を一つの基準にするのは構いません。加えて、自分との約束を守れるようになったかは重視すべきです。
過去に自分との約束を破ってしまった経験はありませんか
例えば、以下のようなケース:
・練習しようと決めていたのに、他の用事を優先してしまった
・この曲は最後まで仕上げると決めていたのに、途中で別の曲に浮気してしまった
・出演を約束した演奏会を、直前になってキャンセルして関係者に不義理をしてしまった
・1対1の付き合いの個人レッスンにも関わらず、欠席連絡を入れずに筋を通さなかった
こうした小さな約束を一つ一つ守り続けることで、たとえ演奏技術が劇的に変わらなくても、自信や達成感を得られるようになります。これは音楽を通じた人間的成長として、十分に評価すべき進歩です。
‣ Q10. ピアノを弾くとき、部屋の明るさや空間づくりは大事?
結論:必須条件ではないが、練習環境を整えることで集中力は向上する
ピアノ練習を始めても、気づけば数分後には別のことを考えていた──そんな経験はありませんか。集中力を保つ秘訣は、練習前に集中を妨げる要因を徹底的に排除しておくことです。
ピアノ練習の集中力を高める環境づくりチェックリスト
練習環境の改善例:
・ピアノ椅子が音を立てる → 修理できなければ買い替えを検討
・ペットが足元をうろつく → 練習中は別室で過ごしてもらう
・室温が快適でない → 電気代をケチらずにエアコンを入れる
・余計な視覚情報が目に入る → 容器製品のラベルをすべて剥がす
・スマホの通知音が気になる → タイマー以外はサイレントモードに
このような具体的対策に加え、あらゆる角度から「集中を妨げる要素」を洗い出し、事前に取り除いておくことが練習効率アップの鍵です。
筆者自身、練習中や作業中に不要なものが視界に入るのを非常に気にするタイプなので、ピアノ周辺やデスク周りには一切何も置かない環境にしています。
練習環境改善は2つの視点で取り組む
「自分の集中を妨げる要因は何か」を明確にしたうえで、練習環境を最適化しましょう。その際、当日すぐできる工夫と、日常的に維持できる工夫の両方から対策することをおすすめします。
本番を想定した照明の明るさ調整も効果的
多くの演奏会やコンクールは、ステージ上の明るい照明の下で行われます。普段の練習部屋が暗めの場合は、電球を明るいものに交換するなど、本番環境に近づける工夫も有効です。
► 終わりに
先生に聞けないこと、ググってもあまり出てこないこと、たくさんあります。そんな小さな疑問を一つずつ解決していくことでピアノ学習を楽しくしていきましょう。
関連記事:
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・【ピアノ】先生に聞けない素朴な疑問10選:真面目に答えるQ&A集 vol.8
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・【ピアノ】先生に聞けない素朴な疑問10選:真面目に答えるQ&A集 vol.10
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