【ピアノ】椅子の背もたれは何のため?演奏に使わない理由と5つの役割
► はじめに
ピアノを習っている方や、ピアノ椅子を購入しようとしている方の中には、「背もたれは必要?」「演奏中に寄りかかっても大丈夫?」と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
実は、ピアノ椅子の背もたれには、一般的な椅子とは少し違った役割があります。本記事では、調律師さんに伺った内容をもとに、ピアノ椅子の背もたれの目的と、背もたれの有無による椅子の違いについて解説します。
► ピアノ椅子は大きく2種類:背もたれの有無による違い
ピアノ椅子は大きく分けて、背もたれの有無により2つのタイプに分類されます。
‣ トムソン椅子(背もたれ付き)
イメージ図(著作権フリーの素材を使用)

特徴:
・背もたれがあり、後ろのつまみで高さ調節が簡単
・重心が後ろにあり安定感が高い
・比較的コンパクト
最適なシーン(理由は後述):
・ピアノ教室
・学校や音楽室
・家族で共用する場合
・小さな子供がいる家庭
‣ ベンチ椅子(背もたれなし)
イメージ図(著作権フリーの素材を使用)

特徴:
・背もたれがなく、側面のハンドルなどで高さ調節(微調整が可能)
・横幅が広く連弾にも適している
・座面が柔らかいものも多い
最適なシーン:
・コンサートや発表会(格式を重んじる場合)
・長時間の個人練習
・連弾をする場合
・燕尾服やドレスを着る演奏会
補足 丸椅子は安定性に欠けるのでおすすめできない
背もたれのないピアノ椅子の仲間で、主にアップライトピアノで使われている「丸椅子」があります。場所を取らないメリットはありますが、安定性に欠けるためおすすめできません。できる限り、様々な本番会場でも使われる可能性の高い椅子を自宅でも使用するのがいいでしょう。
► 背もたれ付きピアノ椅子の必要性と目的
‣ そもそも、ピアノ椅子に背もたれは必要?
重要:演奏中に寄りかかるためのものではない
まず覚えておきたいのは、「ピアノ椅子の背もたれは演奏中に寄りかかるためのものではない」という点です。
コンサートホールなどで見かけるピアノ椅子の多くは、背もたれのないベンチタイプ。
ピアノ演奏では、上体をやや前傾させて腕や体を自由に動かす必要があります。背もたれに寄りかかってしまうと、腕の自由や重心の移動が妨げられ、タッチの繊細さや音色のコントロールを妨げます。また、背もたれがあることで、幅のある衣装の邪魔になってしまう可能性もあります。
一方、背もたれ付きのピアノ椅子も存在しており、以下のような特定の目的のために使われています。
‣ 背もたれ付きピアノ椅子の5つの目的
1. 椅子の安定性と重心の調整
背もたれ付きのピアノ椅子は比較的軽量なものが多いのですが、背もたれをつけることで、椅子自体の重心が後ろになり、椅子全体が安定します。演奏中に身体が前傾したり、打鍵で体重をかけたときにも、動いたりしにくくなります。
2. 長時間の練習による「休憩中の」疲労軽減
ピアノ講師や伴奏者など、長時間ピアノの前で過ごす方にとっては、休憩中や練習の合間に軽く背を預けてリラックスできる点が大きなメリットです。
あくまで「演奏の合間」に使うものであり、演奏中ではないという点を理解しておきましょう。
3. 子供の安全性の確保
小さな子供がピアノを習う場合、背もたれがあることで後ろに倒れる心配が少なく、安心感があります。また、正しい座り位置を意識しやすくするための「位置の目印」としても機能します。
4. 高さ調節の利便性
背もたれのある椅子は「トムソン椅子」と呼ばれ、背もたれの後ろにあるつまみを使って簡単に素早く高さ調節ができます。ピアノ教室や学校、家族で共用する場合など、様々な人が使う場面で非常に便利です。
5. デザイン・インテリア性
見た目の美しさや部屋との調和を重視して、背もたれを付ける場合もあります。
► 終わりに:ピアノ椅子の背もたれは「サポート役」
ピアノ椅子の背もたれは、演奏中に寄りかかるためではなく、椅子の安定性や機能性を補助するためにあるものです。主な役割は:
・椅子自体の安定性向上
・休憩時の疲労軽減
・子供の安全性確保
・高さ調節の利便性
・デザイン性
正しいピアノ演奏姿勢は、座面のやや浅い位置に腰かけ、背もたれには寄りかからず、体の動きを自由に保つことが基本です。
ピアノ椅子を選ぶ際は、使う人や使用シーンに合わせて、背もたれの有無を検討してみてください。子供や複数人で使う場合はトムソン椅子、本格的な演奏や連弾が多い場合はベンチ椅子がおすすめです。
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