【ピアノ】「Modulation」(マックス・レーガー 著)レビュー:アレンジ初中級者に有益な転調の虎の巻
► はじめに
ピアノアレンジや作曲に挑戦している方にとって、転調は避けて通れない重要なテーマです。本記事で紹介するマックス・レーガーの「Modulation」は、そんな転調のテクニックを体系的に学べる、コンパクトながら実用性の高い一冊です。
・出版社:Dover Publications
・Dover版初版:2007年(原著は1904年出版)
・ページ数:62ページ
・対象レベル:ピアノアレンジの初級~中級者
・Modulation (Dover Books On Music: Analysis) (English Edition)
► 内容について
‣ 豊富な譜例で英語が苦手でも活用可能
本書の特徴は、膨大な譜例が掲載されていることです。英語の解説文が読めなくても、実際の楽譜を見るだけで転調のメカニズムが理解できる構造になっています。音楽は世界共通の言語であり、譜面から直接学べるのは、語学の壁を感じている方にとって大きな利点です。
‣ 網羅的な転調パターン
本書では、ある調から別の調へ「すぐに」移行するための進行が、100種類のパターンで例示されています。各転調例について、以下の要素がセットで提示されます:
・四声体による1〜2小節程度の譜例
・テキストや和声記号による解説
‣ C-majorからの転調例が充実
特にアレンジ初心者の方にとって嬉しいのが、C-major(ハ長調)からの転調例が48種類掲載されている点です。最も馴染みのある調から出発することで、転調の感覚を自然に身につけることができ、学習の入口として最適な構成になっています。
► レーガーという作曲家について
マックス・レーガー(1873-1916)は、20世紀初頭を代表する作曲家の一人です。アルノルド・シェーンベルクが高く評価したことでも知られ、その後の音楽界の発展に大きな影響を与えました。教育者としても優れた業績を残し、ライプツィヒ音楽院で教鞭をとりながら本書を執筆しました。
► レーガー自身が推奨している使用方法
レーガー自身が序文で推奨している学習方法は以下の通りです:
・転調例を分析しながら学習する
・例題を様々な調に移調して練習する
・自分自身で類似の転調パターンを考案する
・自作の転調例を本書の分析方法で検証する
このように、受動的に読むだけでなく、能動的に実践することで、実践で使える応用力が身につきます。
► 価格について
Dover Publications版の大きな魅力の一つが、その価格の手頃さです。筆者がこの書籍を購入したのは10年以上前のことですが、洋書なので、この10年で価格は約2倍に上昇しています。それでも内容を考えれば非常にリーズナブルだと言えるでしょう。
► 終わりに
マックス・レーガーの「Modulation」は、転調というテーマを明快に解説した実用書です。英語が苦手な方でも譜例から学べる点、網羅的な構成、そして手頃な価格という三拍子が揃ったこの一冊は、ピアノアレンジや作曲に取り組む学習者にとって有益な「虎の巻」となっています。
・Modulation (Dover Books On Music: Analysis) (English Edition)
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