【ピアノ】分野特化集中学習におけるガチり方:効率的な独学のための戦略
► はじめに
音楽の専門的な学習、特にピアノ音楽史などの分野において、効果的な学習方法を確立することは非常に重要です。本記事では、確実な知識の定着と体系的な理解を実現するための具体的な学習戦略を紹介します。
► 基本原則:ホームポジション方式
ホームポジション方式とは:
独学において最も重要なのが「ホームポジション方式」です。これは、1冊の主要な参考書を学習の中心に据え、そこに調べた全ての情報を集約していく学習方法です。
音楽のものも含めほとんどの専門書というのは、数冊を参考にしてはじめて理解できるようになっているので、つまづいた時に、他の書籍(2〜3冊を限度)で調べ物をするというやり方をとることになります。しかし、少なくとも基礎学習のうちはホームポジション自体を揺らしてはいけません。
なぜホームポジション方式が効果的か:
1. 情報の一元管理が可能
・必要な情報が1冊に集約され、常に整理された状態を保てる
・知識の関連付けが容易になり、体系的な理解が深まる
2. 学習の一貫性の確保
・異なる情報源による矛盾や混乱を防ぐ
・体系的な知識の積み上げが可能
3. 効率的な復習と参照が可能
・必要な情報をすぐに見つけることができる
・書き込みによる補足情報も一箇所に集約される
► ピアノ音楽史学習のための具体的アプローチ
‣ 初級~中級者向けプラン(ピアノ音楽史の知識が浅い方向け)
1. 演奏解釈重視型アプローチ
・ホームポジション:「最新ピアノ講座(7)(8) ピアノ名曲の演奏解釈Ⅰ・Ⅱ」
・補助資料:「ピアノ音楽史」(ウィリ・アーペル 著)
・特徴:演奏実践と歴史的知識の統合的な学習が可能
最新ピアノ講座を選ぶ理由:
・演奏解釈と歴史的背景が同時に学べる
・実践的な演奏に直結する知識が得られる
・初学者にも理解しやすい説明
2. 音楽史網羅型アプローチ
・ホームポジション:「ピアノ音楽史」(ウィリ・アーペル 著)
・補助資料:「鍵盤音楽の歴史」(F.E.カービー 著)
・特徴:体系的な音楽史の理解を重視
ウィリ・アーペルの書籍を選ぶ理由:
・体系的な構成で全体像を把握しやすい
・豊富な譜例で理解が深まる
・後の専門的な学習の基礎となる
‣ 上級者向けプラン(ピアノ音楽史の知識が豊富な方向け)
・ホームポジション:「鍵盤音楽の歴史」(F.E.カービー 著)
・補助資料:研究論文等の学術資料(探し方は、記事末にリンクを示しています)
・特徴:より専門的で深い知識の習得が可能
► 効果的な学習のためのテクニック
書き込みの重要性:
ホームポジション書籍への書き込みルール:
・補助資料からの必要情報は必ずホームポジション書籍に転記
・関連する情報同士を線で結ぶなど、視覚的な関連付けを行う
・重要なポイントは最低限の色分けをするなど、システマチックに整理
効果的な書き込みの例:
・キーパーソンなどには赤線を引く
・関連する作曲家や作品同士を矢印で繋ぐ
・余白に気づきやポイントなどをメモする
・他の参考文献からの補足情報は、どの資料から取ったのか分かるように一言書き添える
– 例:ウィリ・アーペルの書籍情報であれば、「アーペル」と情報の横に書く
避けるべき学習方法:
・検索エンジンの上位表示サイトだけに依存する学習
・複数の情報源を体系化せずに併用する方法
・書き込みや整理をせずに読むだけの学習
検索エンジンの上位表示サイトに依存することの問題点:
・情報の信頼性が不確か
・体系的な理解が得られにくい
・異なるサイトでの矛盾した情報に混乱する可能性
・深い専門知識を得られにくい
「時間ばかりかかるから、綺麗にノートを作らなくてもいい」という言葉を学生時代に聞いた方も多いのではないでしょうか。しかし、ホームポジション書籍の場合は状況が異なります。なぜなら:
・学生時代のノートは大抵使わなくなるが、ホームポジション書籍は音楽生活でずっと活用する重要な資料となる
・演奏解釈や音楽史の理解を深める度に、書き込んだ内容が新たな意味を持ってくる
► まとめ
ピアノ音楽史の学習において、ホームポジション方式を採用することで、以下のメリットが得られます:
・体系的な知識の習得
・情報の整理と定着
・効率的な学習の実現
・深い理解の促進
この学習方法は、単なる知識の蓄積ではなく、実践的な演奏解釈にも活かせる確かな理解を育むことができます。自身のレベルと目的に合わせて、適切なアプローチを選択することで、効果的な学習が可能となります。
► 参考資料
本記事で紹介した書籍:
・最新ピアノ講座(7) ピアノ名曲の演奏解釈Ⅰ(音楽之友社)
・最新ピアノ講座(8) ピアノ名曲の演奏解釈Ⅱ(音楽之友社)
・ピアノ音楽史 著 : ウィリ・アーペル訳 : 服部幸三 / 音楽之友社
・鍵盤音楽の歴史 著 : F.E.カービー訳 : 千蔵八郎 / 全音楽譜出版社
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