モーツァルト「ピアノソナタ第11番 K.331(トルコ行進曲付き) 第3楽章」
譜例(PD作品、Finaleで作成、101小節目)
譜例1が原曲。
この101小節目では
右手に前打音の連続が出てきますね。
作曲者であるアマデウス・モーツァルトは
幼少期に父親のレオポルド・モーツァルトから教育を受けたので、
レオポルドの書いた
「ヴァイオリン奏法」という書籍は
アマデウス作品の演奏にとっても
良い指標となります。
この書籍から
当時の慣習についても想像でき、
◉ 装飾音は前へ出さない
などといった、装飾音関連の内容も見えてきます。
したがって、
トルコ行進曲の演奏でも
原則としては、前打音は前へ出さない方針でいくべきです。
(再掲)
しかしそうすると、
譜例に出てくる前打音の連続が
初中級者にとっては
結構やっかいなんです。
前打音のD音を
左手の打鍵タイミングと合わせるわけですが、
なかなか弾きにくいと感じる方もいるはず。
拍の前へ出してしまえば、訳ないのですが…。
とうぜん、譜例3のようになってもいけません。
良い練習方法があります。
いったん、Cis音を無視してください。
そして、譜例2のような練習を繰り返しましょう。
前打音とCis音以外の2つの音を同時に弾いていることに
注目してください。
この弾き方はすでに慣例化しており
「レシェティツキー・ピアノ奏法の原理」 著 : マルウィーヌ・ブレー 訳 : 北野健次 / 音楽之友社
という書籍の中で以下のように解説されています。
前打音については、
重音または和音の場合、前打音をその下の音符といっしょにひき、
それから旋律的主要音符をすぐに続けてひくべきだということだけ注意しよう。
低音部の伴奏音または伴奏和音は、前打音と同時にひかれるべきである。
(抜粋終わり)
この練習をテンポで繰り返して
前打音を拍の前へ出さないで両手で弾く感覚を
身体へ入れてから
Cis音を仲間に戻してあげてください。
もちろん、
前打音とCis音以外の2つの音を同時に弾くことには変わりません。
Cis音のみが遅れて鳴るということ。
Cis音を戻すときにも注意があります。
予備練習でやっていたように
拍頭のほうに重みを入れるつもりで
Cis音はついでに当ててあげる程度にしてください。
D音が非和声音で
Cis音が和声音なのですが、
Cisのほうに重みを入れようとすると
前打音を前へ出さない限り
Allegrettoのテンポではうまくいかないので。
この作品に限らず
入れにくい前打音を入れたいときには、
それを拍の前に出すべきなのかそうでないのかを
スタイルから判断したうえで、
譜例2のような
幹をとらえる譜例をつくって
練習してみましょう。
◉ レシェティツキー・ピアノ奏法の原理 著 : マルウィーヌ・ブレー 訳 : 北野健次 / 音楽之友社
◉ レオポルト・モーツァルト ヴァイオリン奏法 [新訳版]
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