具体例を見てみましょう。
楽曲が変わっても考え方は応用できます。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、164-166小節)
165-166小節の矢印で示したところを見てください。
これらのところでは
メロディのフレーズを別にするために
わずかな音響の切れ目をつくりたいところ。
次の音への跳躍が
どちら場合も5度音程なので
指でつなげようと思えばつなげることができてしまいますが、
それではダラけた印象になり
フレーズも不明瞭になってしまいます。
ここで問題となるのは
左手で演奏する和音の処理をどうするか。
メロディにわずかな音響の切れ目をつくるので、
左手で演奏する和音を4分音符の音価いっぱい伸ばしてしまうと
バスと伴奏部分だけ少し余分に残ったような
妙な表現になってしまいます。
(再掲)
こういうところこそ、
「各声部の切れ方の整合性をとるべきケース」の代表例。
つまり、
点線で示したように
メロディの音響を切るところで
左手の音響も同時に切るようにします。
余韻も含めて4分音符ぶんになるので
問題ありません。
164小節目の頭は
メロディを指でつなげることが難しく
かつ、右手の横移動があるため
サポートとしてダンパーペダルを使うことになります。
この場合も、つくりたい表現としては同様で
2拍目とのあいだにわずかな音響の切れ目ができるように
ペダルを上げましょう。
ちなみに、
ここまで読んできて
連弾演奏を思い出した方もいるのではないでしょうか。
「連弾」では1台のピアノを2人の奏者が共有するため
どちらか一方の奏者がペダルを踏むことになります。
したがって、
曲尾などの伸ばしのときには
ペダルを踏んでいないほうの奏者が
やや早めに手を上げておかないと
ペダルを切ったときに
踏んでいないほうの奏者の音が残っている、
という事態が起きてしまいます。
ある意味、これと似たような問題が
本記事で取り上げた
各声部の切れ方の整合性がとれていない場合なんです。
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