【ピアノ】新しい曲はいつ人前で弾く?:初出しの目安と完璧主義の手放し方
► はじめに
新しい楽曲の練習を始めると、どのタイミングで人前に出せばよいのか迷う方は少なくありません。特に独学の場合、「まだ早い」「もう少し仕上げてから」と思いながら、いつまでも独りで弾き続けてしまうケースもよく見られます。
本記事では、初出しのタイミングを2つの場面に分けて考え、それぞれの「最低ライン」を整理します。また、多くのピアノ学習者が陥りやすい完璧主義の罠についても掘り下げていきます。
► 2つの「初出し」について
‣ 初出し①:レッスンや友人で弾く場合
新しい楽曲の練習を始めると、人前で弾く機会が訪れることがあります。ここで言う「初出し」は大きな本番ではなく、次のような前段階の場面が対象です:
・レッスンへ初めて持っていく(独学者の単発レッスンも含む)
・友人に初めて聴いてもらう
自分で学習を進める場合、初出しの最低ラインとして次の基準を意識してみてください。
「楽譜を読みながら弾ける」状態から「楽譜を見ながら弾ける」状態へ変わってから
「読みながら弾く」と「見ながら弾ける」は、似ているようで大きく異なります。前者は楽譜の読み取りに意識の大半が向かっており、音楽的な表現まで気が回りにくい状態ですが、後者になると、譜読みそのものに追われる状態から抜け出し、音楽表現にも意識を向けられるようになります。
段階を整理すると:
・第1段階:楽譜を読みながら弾ける
・第2段階:楽譜を見ながら弾ける
・第3段階:暗譜で弾ける
レッスンなどへの初出しでは、せめて第2段階を目指しましょう。この段階では演奏の安定度が上がっており、指導者からのフィードバックを受け取る余裕も生まれています。第1段階のまま持っていくより、ずっと多くのことを吸収できるでしょう。
ちなみに、暗譜で弾けるにもかかわらず本番で楽譜を置く奏者は、本番中に楽譜を「読んで」はいません。ほぼ「見ているだけ」という状態です。暗譜とは、楽譜がなくても演奏できる程度に作品が身についている状態を指します。
‣ 初出し②:大きな本番に出る場合
「もう少し力をつけてから本番に出たい」「もう少し勉強してから……」と、人前に成果を出すことを怖がる方がいます。しかし、第3段階である「暗譜で弾ける」レベルに達したなら、もう本番の舞台に立って構いません。
「完璧な状態」というものは、一生やってきません。これは多くの音楽家が口を揃えて言うことで、どれほど練習を積んでも「100点、完璧」と心から思える瞬間は訪れないのです。一つの壁を乗り越えると、また次の課題が見えてきます。
もし「完璧」を基準に据えてしまうと、来年の今頃になっても「まだ手が弱い」「もっと上手な人がいる」と言い続け、また先送りすることになります。その間にも、積極的に舞台を踏んでいる人たちとの差は広がる一方です。
ピアノの楽しさは、去年の自分、1か月前の自分よりも進歩した演奏を、今この瞬間に味わうところにもあります。「今年の今の時期」は一生に一度しかありません。練習してきた作品を、他人からどう見られるかだけを基準にして終わらせてしまうのは、あまりにも惜しいことです。
あくまで感覚的な目安ですが、自分の中で8割程度の仕上がりになっていれば、世間的にも最低限のクオリティはクリアしていると考えていいでしょう。
完璧主義に縛られると、「100%できないから」という理由で「できません」という結論に結びついてしまいます。それではずっと「準備段階」のまま、実際の挑戦の機会を逃し続けることになります。
関連記事:【ピアノ】100%完璧に出来ないと「出来ません」になってしまうのは無駄な完璧主義
► 終わりに
初出しのタイミングを整理すると、レッスンなどの前段階では「楽譜を見ながら弾ける」第2段階を、本番の舞台であれば「暗譜で弾ける」第3段階を一つの目安にするといいでしょう。
大切なのは、「すべてが完璧になってから」という考え方を手放すことです。完璧な状態を待っていると、永遠に動き出せません。今の自分の演奏を、今の自分として人前に届けることに価値があります。
8割の仕上がりで舞台に立った経験が、次の練習の質を引き上げてくれることも少なくありません。まずは「その一歩」を踏み出すことが、成長への最も確かな道の一つです。
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