【ピアノ】クララ編曲のシューマン歌曲ピアノソロ版を2倍楽しむ方法

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【ピアノ】クララ編曲のシューマン歌曲ピアノソロ版を2倍楽しむ方法

► はじめに

 

クララ・シューマンが編曲した「ロベルト・シューマンの30のリートと歌」は、夫ロベルトの歌曲をピアノ独奏用に書き改めた作品集です。原曲の音遣いを大切にした、深い愛情と敬意のにじむ編曲集といえます。

本記事では、この曲集をさらに深く楽しむための切り口を紹介します。

 

・難易度別に選びたい方
・どの曲から弾くべきか迷う方
・おすすめ音源をすぐ知りたい方

最短で自身に合う曲・おすすめ音源を知りたい方は、以下の完全ガイドをご覧ください。

【ピアノ】クララ編曲「ロベルト・シューマンの30のリートと歌」全曲:選曲・難易度 完全ガイド

 

► 収録曲一覧

 

1. ミルテの花 Op.25 より 第1曲 献呈
2. ミルテの花 Op.25 より 第2曲 自由な心
3. リーダークライス Op.39 より 第6曲 美しい異郷
4. 5つのリートと歌 Op.127 より 第2曲 君の顔
5. リートと歌 第2集 Op.51 より 第3曲 私は旅立ったりはしない
6. 5つのリート Op.40 より 第1曲 においすみれ
7. リーダークライス Op.24 より 第7曲 山や城は見下ろしている
8. リーダークライス Op.39 より 第5曲 月の夜
9. 子供のための歌のアルバム Op.79 より 第23曲 もう春だ
10. ある画家の歌の本からの6つの詩 Op.36 より 第4曲 日の光に寄す
11. リーダークライス Op.24 より 第9曲 ミルテとバラを持って
12. リーダークライス Op.39 より 第4曲 静けさ
13. スペインの歌 Op.74 より 第7曲 告白
14. ミルテの花 Op.25 より 第3曲 くるみの木
15. 愛の春 Op.37 より 第9曲 バラと、海と、太陽が
16.「ヴィルヘルム・マイスター」に基づくリートと歌 Op.98a より 第7曲 フィリーネの歌
17. リートと歌 第2集 Op.51 より 第2曲 民謡
18. ある画家の歌の本からの6つの詩 Op.36 より 第3曲 この上なくすばらしいこと
19. ミルテの花 Op.25 より 第24曲 君は花のよう
20. 女の愛と生涯 Op.42 より 第2曲 彼は誰よりもすばらしい人
21. リーダークライス Op.39 より 第2曲 間奏曲
22. リートと歌 第1集 Op.27 より 第2曲 君は赤いバラに似て
23. 3つの詩 Op.30 より 第1曲 不思議な角笛を持つ少年
24. ミルテの花 Op.25 より 第7曲 蓮の花
25. リートと歌 第2集 Op.51 より 第1曲 あこがれ
26. ある画家の歌の本からの6つの詩 Op.36 より 第1曲 ラインのほとりの日曜日
27. リーダークライス Op.39 より 第1曲 異郷にて
28. リーダークライス Op.39 より 第12曲 春の夜
29. 女の愛と生涯 Op.42 より 第5曲 私を手伝って、妹たち
30. ある画家の歌の本からの6つの詩 Op.36 より 第2曲 セレナーデ

 

気になる曲の楽譜をすぐに確認したい方は、以下からチェックしてみてください。

・クララによるシューマン歌曲のピアノソロ編曲集 30 Lieder und Gesange fur Klavier

 


本曲集を実際に弾いてみたい方は、この楽譜があればすぐに取り組めます。音楽学習者から演奏家まで幅広く使われている、定番の一冊です。

 

► 2倍楽しむための4つのアプローチ

‣ 1. 原曲の歌曲版と聴き比べてみる

 

シューマン「ミルテの花 Op.25 より 第1曲 献呈」原曲の歌曲とクララ編の比較

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

クララ・シューマン編曲「献呈」1-3小節の楽譜、比較用の原曲譜例付き

原曲歌曲との聴き比べは、非常に興味深い体験となるでしょう。

クララの編曲でまず目を引くのは、原曲への徹底した敬意です。彼女はロベルトの作品を自分好みに作り替えることはせず、原曲歌曲が本来持つ美しさをピアノという楽器でほぼ再現することに専念しました。

具体的には、以下のような方針が一貫しています:

・シューマンの歌曲ピアノ伴奏部分をそのまま土台として使う
・声のメロディラインをピアノに取り込む際の改変を最小限にとどめる
・原曲のリズムをできる限り変えない
・楽譜に原曲の歌詞を書き添える(デュラン版など、楽譜によっては省略されている場合もあり)

ピアノソロを聴きながら、そのまま歌が乗ってきそうな感覚を覚えるのではないでしょうか。この編曲方針は30曲すべてに共通しています。

 

聴き比べに特に向いている音源として、「Clara & Robert Schumann: la traccia della parola」(ソプラノ:Giulia Beatini、ピアノ:Valentina Messa)があります。この録音は、本曲集から選ばれた16曲を原曲の歌曲版と交互に収録するという構成が特徴的で、誰にでも分かる形で両者の違いと共通点を耳で確かめることができます。

演奏の違いを比較したい方は、詳しいレビュー をご覧ください。

 

‣ 2. 歌詞の内容を知ってから聴く・弾く

 

歌詞の背景を頭に入れておくと、同じ曲でもぐっと違って聴こえてきます。難解な文学論の知識は不要で、「この詩はどんな情景を描いているのか」「作曲者は何を感じていたのか」をざっくりと把握するだけで十分です。

例として、No.1「献呈」を見てみましょう。

 

(再掲)

クララ・シューマン編曲「献呈」1-3小節の楽譜、比較用の原曲譜例付き

冒頭の2音に込められた意味

最初の2音に注目してください。C音はClara(クララ)、Es音はSchumann(シューマン)の頭文字Sを音名で表しています。シューマンはクララを深く支えているのです…。シューマンが低音部でクララを静かに支える構造は、歌詞の内容と重なるように、音楽的にも象徴的にも「共に歩む人」としての姿勢を示しているように読めてきませんか。

 

演奏指示「Innig, lebhaft.」の意味

「心から、活き活きと」という指示は、ただの速度の目安ではありません。歌詞の内容と重なるように、感情の方向性を示す言葉として受け取れます。

 

「献呈」はあくまで一例です。30曲それぞれで、歌詞と楽譜を照らし合わせながら自分なりの読み取り方を探してみてください。

 

‣ 3. 自分だけの「小さなプログラム」を組んでみる

 

数曲をテーマでまとめて弾いたり聴いたりすると、各曲の個性がより鮮明になります。以下、プログラム例を提案したので、参考としてみてください。自身で選んでみることも楽しさの一つと言えるでしょう。

 

プログラム例1:「愛の物語」(約20分)中級者向け

No.1 献呈
No.19 君は花のよう
No.20 彼は誰よりもすばらしい人
No.29 私を手伝って、妹たち
No.15 バラと、海と、太陽が

プログラム例2:「夜と月の詩」(約15分)初中級〜中級者向け

No.27 異郷にて
No.8 月の夜
No.12 静けさ
No.24 蓮の花
No.30 セレナーデ

プログラム例3:「自然と自由」(約15分)中級〜中上級者向け

No.2 自由な心
No.9 もう春だ
No.23 不思議な角笛を持つ少年
No.3 美しい異郷
No.28 春の夜

プログラム例4:「本曲集の入門向け・1曲選んで弾いてみる」

No.6 においすみれ
No.12 静けさ
No.17 民謡
No.24 蓮の花
No.27 異郷にて

 

テーマ別の大まかな分類は以下の通りです。プログラムを自身で組む際の参考にしてください。

テーマ 収録番号・曲名
愛の賛歌・献身 No.1 献呈、No.13 告白、No.15 バラと海と太陽が、No.17 民謡、No.19 君は花のよう、No.20 彼は誰よりもすばらしい人、No.22 君は赤いバラに似て、No.24 蓮の花
自然と憧れ No.2 自由な心、No.3 美しい異郷、No.8 月の夜、No.9 もう春だ、No.23 不思議な角笛を持つ少年、No.25 あこがれ、No.28 春の夜
孤独と悲哀 No.4 君の顔、No.7 山や城は見下ろしている、No.11 ミルテとバラを持って、No.27 異郷にて
幸福と喜び No.6 においすみれ、No.12 静けさ、No.14 くるみの木、No.16 フィリーネの歌、No.18 この上なくすばらしいこと、No.29 私を手伝って、妹たち
郷愁と情景 No.5 私は旅立ったりはしない、No.10 日の光に寄す、No.21 間奏曲、No.26 ラインのほとりの日曜日、No.30 セレナーデ

 

‣ 4. クララが登場する映画からアプローチする

 

シューマン夫妻の生涯を描いた映画を観ておくと、「ロベルト・シューマンの30のリートと歌」という曲集の背景がよりリアルに感じられます。脚色された部分は当然ありますが、二人の関係性や時代の空気を把握したうえで音楽に向かうと、また違った聴こえ方がしてくるのを体感してみてください。

代表的な作品として、「愛の調べ」(1947年)、「哀愁のトロイメライ」(1983年)、「クララ・シューマン 愛の協奏曲」(2008年)の3本が挙げられます。それぞれ制作年代や演出の方向性が異なり、比較しながら観るのも面白いでしょう。

3作品の違いを整理したい方は、【ピアノ】クララ・シューマン映画3作品完全比較ガイド:愛の調べ・哀愁のトロイメライ・愛の協奏曲 をご覧ください。

 

► 終わりに

 

「なぜ、クララはこの30曲を選んだのか」という問いも、曲集を深く知るための一つの入り口です。単に弾きやすい曲を集めたわけではないはずで、選曲の意図を考えながら向き合うと、また別の発見があるかもしれません。

まずは1曲でも、興味を持てる曲から触れてみてください。

 

目的別におすすめ記事をまとめました:

曲選び・難易度を知りたい

【ピアノ】クララ編曲「ロベルト・シューマンの30のリートと歌」全曲:選曲・難易度 完全ガイド

音源を比較したい

【ピアノ】録音音源「Clara & Robert Schumann: la traccia della parola」レビュー(本記事で取り上げた音源)
【ピアノ】録音音源「Schumann: Lieder, Transcriptions for Piano by Clara Schumann」レビュー
【ピアノ】録音音源「Clara Schumann and her Family」レビュー:クララとその音楽一族の知られざる世界

映画から理解を深めたい

【ピアノ】クララ・シューマン映画3作品完全比較ガイド:愛の調べ・哀愁のトロイメライ・愛の協奏曲

すべてまとめて見たい方は、以下の総合ガイドをご覧ください。

【ピアノ】クララ・シューマン関連記事まとめ:編曲・演奏・映画・音源

 


 

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