【ピアノ】先生に聞けない素朴な疑問10選:真面目に答えるQ&A集 vol.29

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【ピアノ】先生に聞けない素朴な疑問10選:真面目に答えるQ&A集 vol.29

► はじめに

 

・「こんなこと、先生に聞いていいのかな…」
・「ググっても明確な答えが出てこない…」

こういった、聞きにくいけど実は気になるピアノ関連の疑問に、真面目に答えます。レッスンに通っている方はもちろん、スポット(単発)レッスンを受ける独学の方にも参考になる内容です。

 

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学習者の素朴な疑問 総合索引:先生に聞けない疑問を完全網羅

 

► 質問集

‣ Q1. ピアノを続ける理由が変わっていくのは自然?

 

結論:ごく自然なこと

 

ピアノを始めたころを思い出してみてください。多くの場合、「両手で弾けるようになれたらいいな」程度の動機だったのではないでしょうか。上達するにつれてそれが「人に聴いてもらいたい」に変わり、苦手だった発表会が苦ではなくなった、という経験をもつ方も多いはずです。

さらに学習が深まれば「専門的に勉強したい」へ、あるいは「ピアノを通して誰かに価値を届けたい」という他者視点へと変化することもあります。専門的に学ばない場合でも、続ける理由は学習の深さとともに変化するものです。それは後退でも迷いでもなく、成長のあかしです。

 

‣ Q2.「上手くなる」以外の目標設定って何がある?

 

結論:「行動目標」を軸に置くのがおすすめ

 

目標には大きく2種類あります。「コンクールで入賞したい」のように最終的な結果を他者が決める成果目標と、「毎日30分練習する」のように自分の行動だけで完結する行動目標です。

何をやっても中途半端になりがちだと感じている方は、行動目標を軸に置いてみるのはどうでしょうか。忙しい日も、気が乗らない日も、淡々と継続する。その積み重ねは完全に自分のコントロール下にあり、達成するかどうかは自分だけが決められます。外部の評価に左右されないぶん、心理的にも健全な目標の立て方と言えるでしょう。

 

‣ Q3. 進歩している証拠をどう見つける?

 

結論:「譜読み」の中に見つける

 

弾き込み(すでにおおむね弾ける曲をさらに磨く作業)は、繰り返しと微調整の連続です。昨日より上手く弾けない日があることも当然起きます。そのため、努力を続けていても「進歩しているのか分からない」という感覚に陥りやすいでしょう。

一方、譜読みには確実な「積み上げ」があります。1小節読めば1小節ぶん、1ページ読めば1ページぶん、確実に前へ進んでいます。たどたどしくても弾けるようになった4小節は、翌日に弾けなくなったとしても、運指やペダリングを書き込んだ事実は消えません。

毎日の練習に少しでも譜読みを組み込むことをおすすめします。新しい曲を増やすためだけでなく、「今日も前へ進んだ」という実感を毎日得るためです。

 

推奨記事:【ピアノ】譜読みはメンタルに効く究極の生存戦略

 

‣ Q4. 解説が多い楽譜とシンプルな楽譜、どちらが学習向き?

 

結論:レベルと目的に応じて使い分ける

 

楽譜には大きく分けて次の種類があります:

解釈版(interpretive edition):コルトー版のように、演奏家が自らの解釈を伝えるために校訂したもの
実用版(practical edition):教育目的で、本来楽譜にない様々な記号などを補ったもの
原典版(Urtext):第三者の手を極力加えず、作曲者の意図を忠実に再現しようとしたもの(実際には編集者の判断が一定程度入る)

 

初級〜中級前半の段階では、日本語の解説や豊富なサポート情報のある実用版・解釈版のほうが学習効率は高くなります。「なんとなく原典版がいいらしい」という周囲の声に惑わされる必要はありません。

また、本格的に取り組む予定のない曲や、指練習色の強い教則本・練習曲集にまで高価な原典版を用意する必要もありません。原典版を本格的に活用するのは、中級以上の段階に達してからで十分です。

 

推奨記事:【ピアノ】原典版(Urtext)の活用ガイド:いつ・なぜ・どう使うべきか

 

‣ Q5. 演奏解説を読み込むと弾けなくなる気がする

 

結論:気のせいではなく、一時的に実際そうなる

 

楽曲解釈を含む演奏解説を読む目的は、演奏をより高いレベルへ引き上げることです。しかし、自分の中になかった視点を取り入れると、それをどこかで処理しながら弾くことになるため、一時的にぎこちなくなるのは避けられません

だからこそ、本番直前はあまり新しい視点を入れ過ぎず、淡々と弾き込むことが大切です。

慣れ親しんだ演奏から一時的に離れることへの焦りは自然ですが、それを乗り越えて定着した先に、演奏のブラッシュアップがあります。不安定な時期は、成長のプロセスそのものだと捉えましょう。

 

‣ Q6. 初版と作曲家自身による改訂版、どちらを弾くべき?

 

結論:改訂の深さによって使い分ける

 

改訂には、弾きにくい部分のみを直した「軽度な改訂」から、構成ごと作り直した「重度な改訂(ほぼ改作)」まで幅があります。ラフマニノフ「ピアノソナタ 第2番 Op.36(1931年版)」はその中間に位置する例として知られています。

 

軽度な改訂:

・改訂版がおすすめ
・初演・再演を経て作曲家自身が手を入れており、概して弾きやすくなっている

重度な改訂

・両方を学ぶのがおすすめ
・別の顔をもつ作品として捉え、それぞれの価値を味わえる

 

とりあえず1曲だけ学習したい場合は、演奏会で頻繁に取り上げられているほうを選ぶと、参考にできる音源や情報が豊富で学習しやすくなります。

 

‣ Q7.「教えやすい生徒」とはどんな人?

 

結論:行動目標を守れる生徒

 

「教えやすい生徒」の定義は指導者によって様々。「反応が豊かで話しやすい生徒がいい」という方もいれば、「指示に黙って従ってくれる生徒がやりやすい」という制圧的な指導者もいます。

筆者の場合、基準はひとつで、「毎日30分練習する」のような行動目標を、有言実行できる生徒は教えやすいと感じます。

「コンクールで入賞したい」などの、最終的な結果を他人が決める成果目標は、どんなに頑張ってもうまくいかないときは成果が出ません。一方、行動目標は工夫次第で必ず達成できます。それでも破ってしまう生徒がやりにくいのは、指導の前提が成立しないからです。

もちろん実際には、行動目標を守るための工夫まで含めて一緒に考えることも多くなりますが、それもまた指導の一部と言えるでしょう。

 

‣ Q8. 家族やパートナーに練習音をどう理解してもらう?

 

結論:毎日固定の練習時間を提示してしまう

 

「いつ鳴り始めるかわからない」状態が、同居する家族のストレスになりやすいと思ってください。対策として効果的なのは、「○時から○時は練習する時間」と宣言し、毎日固定してしまうことです。

ポイントは、毎日都度申告するのではなく、相手の生活の中にその時間を「定位置」として組み込むこと。やむを得ず変更する日だけ一言相談する形にすれば、普段のペースを壊す機会も減り、不満が生まれにくくなります。

 

‣ Q9. 本番用の靴は普段の練習でも履き慣らすべき?

 

結論:本番直前の通し練習では履くべき

 

靴が違うと足元の感覚が変わり、ペダル操作にも影響が出ます。本番用の靴に慣れておくことは、それだけで一つのリスク管理です。

ただし、毎日履けば靴も床も消耗するのは避けられません。おすすめは本番1週間前から、通し練習のときだけ着用することです。この頻度であれば感覚を十分確認できる一方、消耗も最小限に抑えられます。

 

‣ Q10. 作業用BGMは歌詞なしのほうが集中できる?

 

結論:作業の内容による

 

文字を扱う作業、特に執筆や読書のように言語処理を多く含む場合は、歌詞なしのほうが圧倒的に集中しやすくなります。歌詞の処理が言語ワーキングメモリと競合するためです。

 

執筆・ライティング 歌詞なし必須
音楽書の読書 できるだけシンプルなもの
家事・単純作業 歌詞ありでも問題なし

 

筆者が作曲・運営するピアノチャンネル「Piano Poetry」では全曲歌詞なしのBGMを配信しており、作業用の2時間BGM動画もあります。ご活用ください。

【2時間 ピアノ60曲 作業用BGM】夜、静寂とピアノ – Piano Poetry

 

► 終わりに

 

先生に聞けないこと、ググってもあまり出てこないこと、たくさんあります。そんな小さな疑問を一つずつ解決していくことでピアノ学習を楽しくしていきましょう。

 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ情報メディア「Piano Hack | 大人のための独学用Webピアノ教室」の運営/音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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