【ピアノ】J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第6番 全運指付き楽譜と練習のコツ
► はじめに
J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第6番 BWV851 ニ短調」は、平均律クラヴィーア曲集の入門曲として広く親しまれている作品です。
本記事では、この楽曲に取り組む方のために、「全運指」を付けた楽譜を提供し、練習のヒントも解説していきます。
この作品が平均律入門学習に最適な理由:
・プレリュード・フーガ(3声)ともに美しく親しみやすい
・技術的難易度が適切で、音楽的充実度も高い
・バランスの取れた反行主題も使用された整ったフーガ
・フーガは単純な2部構成に短いエンディングがついた形で、構造理解がしやすい
►「全運指」の解説
この楽曲はパブリックドメインです。運営者が浄書ソフトウェアで作成した楽譜を使用しています。
運指について重要な注意点
以下の運指は一例です。手の大きさや個人差に合わせて調整してください。また、どのようなアーティキュレーションを付けるのかによっても適切な運指は変わります。お手持ちの楽譜の内容と照らし合わせながら、必要に応じて参考にしてください。
‣ プレリュード
‣ フーガ
► 具体的な練習のヒント
‣ 適切なテンポ設定
ヘルマン・ケラーの提案テンポ(参考値)
・プレリュードの推奨テンポ:♩= 52 曲尾は次第にテンポをゆるめて♩= 36
・フーガの推奨テンポ:♩= 72
これらのテンポは一つの目安です。楽曲への理解が深まるにつれて、自身の求める表現に合わせて調整してください。
‣ 演奏上の重要なポイント
· プレリュード
譜例(曲尾)
25小節目のメロディに出てくる2分音符で突如、細かな動きが整理されます。
重要な注意点:
・レッド音符で示される「D-Cis-D」というトップノートがメロディライン
・厚い和音の演奏に夢中になって、メロディの輪郭を埋没させないよう注意
・特に、メロディが伸びている25小節3-4拍目〜26小節1拍目
・和音はすべてメロディの響きの中に入るバランスで、強過ぎずに適切なバランスで
まずは、メロディをどれくらいのダイナミクスで演奏するかを決めましょう。そうするとはじめて、それ以外の音をどれくらいのバランスで響かせるのかが決まります。
· フーガ
譜例(曲尾)
曲尾では、譜例へ書き込んだように後踏みペダル、それも、音価の丁度半分遅れて踏んでいくやり方でペダル運用するといいでしょう。
一番最後の和音を弾いた後にどれくらい遅れて後踏みにするかは自由ですが、終わりへ向けてテンポをゆるめているので「16分音符遅れ」で問題ありません。
この方法の利点:
・前の音響を拾って濁ることを防止
・ちょうど半分の位置なので、足元でリズムを取りながら演奏が可能(ただし、音楽を横へ流す意識は持っておく)
► 推奨参考資料:さらなる学習のために
この作品についてさらなる演奏ヒントが必要な方は、以下の資料を参考にしてください:
バッハ研究の第一人者による重要な資料(一曲あたりの解説は少量):
・バッハのクラヴィーア作品 著 : ヘルマン・ケラー / 音楽之友社 → 詳しいレビューを読む
・バッハの平均律クラヴィーア曲集 著 : ヘルマン・ケラー / 音楽之友社 → 詳しいレビューを読む
詳細な楽曲分析と演奏法
・バッハ 平均律クラヴィーア 解釈と演奏法 全2巻 著:市田 儀一郎 / 音楽之友社 → 詳しいレビューを読む
演奏解釈に特化した資料
・園田高弘 J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻(1) (CD付)

園田高弘 J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻(1) (CD付)
推奨記事:
・【ピアノ】はじめての「平均律クラヴィーア曲集」:フーガの学習法
・【ピアノ】フーガの譜読み:効率的なアプローチと実践的なコツ
► 終わりに
本作品は、バロック音楽の様式感や対位法の理解を深める絶好の教材です。「弾けるようになる」だけでなく、定期的に見直しを行い、演奏技術の向上と共により深い音楽的理解を目指しましょう。
► 関連コンテンツ
著者の電子書籍シリーズ
・徹底分析シリーズ(楽曲構造・音楽理論)
Amazon著者ページはこちら
YouTubeチャンネル
・Piano Poetry(オリジナルピアノ曲配信)
チャンネルはこちら
SNS/問い合わせ
X(Twitter)はこちら
コメント