【ピアノ】J.S.バッハ シンフォニア 第15番 BWV801 全運指付き楽譜と練習のコツ
► はじめに
本記事では、J.S.バッハ「シンフォニア 第15番 BWV801」に取り組む方のために、「全運指」を付けた楽譜を提供し、練習のヒントも解説していきます。特に、速いパッセージでの運指選択や、表現力を高めるための運指テクニックに焦点を当てて解説していきます。
►「全運指」の解説
この楽曲はパブリックドメインです。運営者が浄書ソフトウェアで作成した楽譜を使用しています。
運指について重要な注意点
この運指は一例です。手の大きさや個人差に合わせて調整してください。また、どのようなアーティキュレーションを付けるのかによっても適切な運指は変わります。お手持ちの楽譜の内容と照らし合わせながら、必要に応じて参考にしてください。
► 具体的な練習のヒント
‣ 適切なテンポ設定
推奨テンポ設定:
練習開始時:♪. = 50-60(正確性と安定性重視)
中間段階:♪. = 60-70(表現力の向上期)
目標テンポ:♪. = 72(ヘルマン・ケラー提案)
なぜ、このテンポが適切なのか:
ヘルマン・ケラーが提案する♪. = 72 は、以下の特徴があります:
・楽曲の軽やかな性格(スケルツァンド)を損なわない
・練習次第で、32分音符の細かいパッセージも無理なく演奏可能
・聴き手にとって音楽の流れが自然に感じられる
‣ 演奏上の重要な運指のポイント
· 速いパッセージでの運指付けのヒント
譜例(27-29小節)
28小節目を例に解説します。 ここでの左手では、音符の上側に書き込んだ運指で弾くことをおすすめします。一方、下側に書き込んだ△の運指で弾こうとして苦労している学習者をよく見かけます。
下側の運指の問題点:
・「124 124 124 124」の連続で覚えやすく、一見簡単に思える
・しかし、分散和音を通常の和音で示した譜例から分かるように、毎回各指の開き具合が変わってしまう
・ゆっくりなテンポでは問題なくても、テンポが上がると対応が困難になる
・練習次第では弾けるようになるが、ミスタッチの危険性が常に残る
運指を決める際は、こうした点も考慮する必要があります。ポイントは、頭の中をLentoにしないことです。できる限り「速い速度でも対応できるかどうか」という視点を持ちましょう。
· 替え指を軽視しない
譜例(曲尾)
最後から2番目の小節を例に見てみましょう。右手に細かな替え指の運指が記されており、複数の校訂版でも推奨されている運指です。このような運指を採用することで、最上声部を滑らかに繋げることができます。
特に初中級者の方は、この楽曲に限らず、一見「弾きにくそう」と思う運指をすぐに弾きやすいものに変えてしまい、重要なニュアンスを失ってしまう傾向があります。「なぜ校訂者は替え指を使ってまでその運指を示したのか」ということを考え、十分に試す前に安易に切り捨てないよう心がけましょう。
► 終わりに
特に運指について注力して解説しました。一番大切なのは、試してみることと、そういった知識を他の楽曲でも活かそうと「自分の中に残すこと」です。
この作品についてさらなる演奏ヒントが必要な方は、以下の解釈版を参考にしてください。
・園田高弘 校訂版 J.S.バッハ シンフォニア BWV787−801
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