【ピアノ】アウフタクトの機能を持つ部分の2パターンの解釈方法
► はじめに
音楽における「アウフタクト(Auftakt)」は、作曲家の意図を反映する重要な音楽的要素です。
本記事では、ショパン「ノクターン 第2番 Op.9-2」を例に、このアウフタクトの機能を持つ部分の微妙な機能のパターンを分析します。
► アウフタクトとは
通常、アウフタクト(弱起、Auftakt)は楽曲や楽節が小節線の前、つまり「弱拍」から始まる現象を指します。しかし本分析では、楽曲冒頭に限らず、フレーズの始まりで同様の手法が使われる箇所も「広義のアウフタクト」として捉えている点に注意してください。
アウフタクトは、次に来る強拍への「準備」として機能し、音楽に自然な流れを生み出す重要な要素です。
► ショパン「ノクターン 第2番 Op.9-2」における分析
‣ アウフタクト機能を持つ部分の解釈の多様性
ショパン「ノクターン 第2番 Op.9-2」
譜例(PD作品、Sibeliusで作成、12-13小節)
本作品におけるアウフタクト部分(点線で囲まれた部分)の解釈には、二つの興味深い視点があります:
メロディとしての解釈:
・点線で囲まれた部分を直接的なメロディとして捉える可能性
・しかし、この部分は純粋なメロディ性に乏しい
メロディ導入部としての解釈:
・もう一つの解釈は、この部分を13小節目から始まる本格的なメロディへの「期待感醸成部分」と見なすこと
・アウフタクト部分は、聴取者の音楽的緊張感を高め、後続のメロディへの音楽的な「架け橋」として機能
‣ 音楽的テンション形成
このアウフタクト部分の特徴:
・テンポやリズムの不安定さの提示
・和声の頻繁な変更による緊張感の高揚
・聴取者の期待感の構築
‣ 装飾音の役割
13小節目でのメロディ開始における装飾音の意義:
・メロディの出現を強調
・音楽的な「小さな驚き」の要素を導入
・sf でありながらも固い音にならないための書法上の工夫
・自然なルバート的要素
13小節目のメロディの入りは、装飾音が付いていることによって、新たなメロディの開始であることを強調しています。これらの装飾音が仮に全て1拍目表につけられて和音演奏になっていたとしたら、印象は随分と異なるでしょう。
► 考慮すべき点
自身が演奏する実際の作品へ向かうにあたって注意すべきは、アウフタクトの機能を持つ部分において:
・そこからメロディとして解釈したほうが自然なのか
・次の小節からのメロディを導くための補助的な部分と解釈したほうが自然なのか
こういったことを、部分毎に考えてみることです。
► 終わりに
本記事で扱ったように、楽曲の文脈や流れを意識しながら、アウフタクト部分がどのように次の小節と連結しているのか、またはその部分がどのような音楽的な意味を持っているのかを考えてみてください。
音楽の細部に注目し、その解釈の幅を広げていくことが、演奏における新たな発見に繋がります。
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