【ピアノ】音楽書籍を最大限活用するコツ:レビュアー視点で読み解く学習方法

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【ピアノ】音楽書籍を最大限活用するコツ:レビュアー視点で読み解く学習方法

► はじめに

 

音楽書籍を「レビューを書くつもり」で読むという学習アプローチは、独学でピアノを学ぶ方にとって非常に効果的な方法です。

本記事では、なぜこのアプローチが有効なのか、具体的にどのように実践すればよいのか、そして実際のピアノ学習にどう活かせるかを詳しく解説します。

 

► レビュアーの目で読む

‣ なぜ、「レビューを書くつもり」で読むことが効果的なのか

 

1. 実用面と結びつけた思考力が高まる

レビュアーの視点で読むことで、書籍の内容を鵜呑みにするのではなく、「この情報は自分の音楽学習にどう参考にできるか」「レビューを読んだ方にとって有益な内容はどこに落ちているか」という視点で分析するようになります。

2. 能動的な読書姿勢が身につく

「何かを発見しよう」という意識で読むことで、受動的な読書から能動的な読書へと変わります。

3. 情報の定着率が向上する

アウトプットを前提としたインプットは、頭の中で情報の整理・統合が行われるため、記憶への定着率が格段に上がると言われています。

4. 多角的な視点が育まれる

著者のバックグラウンドや時代背景を意識することで、ピアノ演奏や音楽理論に対する多角的な理解が深まります。例えば、同じテクニックについても時代によってアプローチが異なることに気づけるようになります。

 

‣ レビュアー視点で読む際に注目すべきポイント

 

1. 著者の背景

・著者はどのような音楽家 / 専門家なのか
・どの流派・奏法に属しているのか
・彼らの専門分野や得意ジャンルは何か

 

2. 出版年代とその時代背景

音楽教育の方法論は時代とともに進化しています。例えば:

・1980年代以前の本:伝統的なメソッドが中心
・1990年代〜2000年代:科学的アプローチが増加
・2010年代以降:デジタルツールとの併用を前提とした内容が増加

 

3. 書籍の対象読者層

・初心者向けか中級者向けか上級者向けか
・子供向けか大人向けか
・特定のジャンル(クラシック、ジャズ、ポピュラー等)に特化しているか

自身のレベルや目標に合った本かどうかを見極めることで、効率的な学習が可能になります。

 

4. 全体の構成と論理展開

章立てや論理の展開方法を意識すると、著者が最も伝えたかったことが見えてきます。例えば:

・技術面から順に解説し、表現へと進む構成
・具体的な曲を通して様々な技術を解説する構成
・読み物的に幅広い話題を提供し、その中でいくつかのテクニカルなヒントも提供していく構成

 

‣ 効果的なレビュアー読書の具体的実践法

 

1. 予備知識を整理する

読む前に、その分野について自分が現在知っていることを思い返しておきましょう。例えば、「ピアノのペダリング」について書かれた本を読む前に、現在自分が理解・実践しているペダリング技術を、頭の中だけでもいいのでリストアップしておきます。

 

2. 書籍という先生に対する質問リストを準備する

本を読む前に、解決したい疑問点をリストアップしておくと、焦点が絞られます:

・「速いパッセージを弾く際の注意点は?」
・「アゴーギクが不自然にならないようにするコツは?」
・「表現力を高めるためのダイナミクスの付け方は?」

最後まで読み進めた時に、最終的にその解決策が載っていなくても構いません。読書前にリストアップしておくこと自体が重要です。

 

3. 段階的に読み進める

1. 概観を掴む:目次、はじめに、終わりに、見出しなどを最初に読む
2. 本文を読む:重要なポイントにマーキングしながら読む
3. 重要箇所を再読:特に有益だった部分を重点的に読み返す

「終わりに」の部分に読み進めるうえでの重要情報(どんな書籍の邦訳版なのか 等)が載っていることも多いので、はじめにざっと目を通しておくといいでしょう。

 

4. アクティブに記録する

・重要なポイントに書き込みをする(紙の本の場合)
・電子書籍ではハイライト機能やメモ機能を活用する
・付箋などを使って後から参照しやすくする

 

5. レビューの構成を考える

実際に書くかどうかは別として、以下のような構成でレビューをイメージすると情報が整理されます:

・本の基本情報(著者、出版年、対象レベルなど)
・主要なテーマや主張
・特に役立った具体的なアドバイスや技術
・他の書籍と比較した独自性
・自分やレビュー読者の学習にどう活かせるか

 

► 実践例:ピアノ書籍レビュー読書の具体例

 

例えば、「ピアノテクニックの基本」という架空の本を読む場合:

レビュアー視点での読み方:

1. 著者の背景チェック:著者が作曲家なのかピアニストなのか等を確認
2. 対象レベルの確認:中級者向けの内容であることを認識
3. 全体構成の把握:基礎姿勢→その他の基礎テクニック→表現技術の流れを確認
4. 独自性の発見:著者独自の「基礎練習メニュー」に注目
5. 実践計画の立案:毎日の練習にそのエクササイズを組み込む計画を立てる

 

► ピアノ学習書籍の効果的な選び方

 

レビュアーの視点を持つと、自身に合った書籍を選ぶ目も養われます:

学習段階別におすすめのピアノ練習系書籍タイプ:

・初心者:親しみやすい読み物的な進行の中で、基礎知識と簡単なテクニックについても教えてくれる本
・中級者:ペダリングなど、特定のテクニックを深堀りした専門書
・上級者:観念的な内容も含まれる、芸術的表現や解釈に焦点を当てた本

 

► まとめ

 

「レビューを書くつもり」で音楽書籍を読むことは、ただの読書テクニックではなく、ピアノ独学者としての成長マインドセットそのものです。この姿勢によって:

・受動的な情報収集から能動的な知識構築へ変わる
・批判的思考力が高まり、自分に本当に必要な技術が見極められるようになる
・アウトプットを前提としたインプットという、読んだ内容を実践と結びつける習慣が身につく
・複数の書籍から得た知識を統合して、自分だけの「学習メソッド」を作り上げていける

また、「レビュー記事を読んだ人物にとって必要な内容は何か」という、自己満足で終わらない他者視点も考えた有益な内容を拾うことができるようになるのも大きいと言えるでしょう。

このような学習アプローチを取り入れることで、効果的な学習が可能になります。次の音楽書籍を手に取る際には、「レビューを書くつもり」で読んでみてください。

 

筆者が書籍レビューを書いた記事は、以下のライブラリーにまとめてあります。

レベル別:ピアノ独学者のための学習参考書籍ライブラリー

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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