【ピアノ】義務感ゼロで楽しむ演奏:自分だけの1曲を選ぶ重要性

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【ピアノ】義務感ゼロで楽しむ演奏:自分だけの1曲を選ぶ重要性

► はじめに

 

ピアノを演奏する理由は人それぞれです。子どもの頃からの習い事を続けている方、大人になってから始めた方、音楽の仕事に関わる方…様々な動機でピアノの前に座っていることでしょう。しかし、多くの大人の学習者に共通する一つの悩みがあります。それは、レパートリーに関して「義務」や「外からの要請」が大きな比重を占めていることに気づく瞬間です。

本記事では、自身のレパートリーの中に「完全に自分の意思で選んだ1曲」を持つことで、ピアノ演奏全体がより楽しくなり、より持続可能なものになる可能性を探ります。

 

► 義務感なしで演奏を楽しむヒント

‣ 義務的な曲選びから抜け出す

 

多くの大人の学習者は、次のような理由でピアノ曲に取り組むことが多いのではないでしょうか:

・先生に課題として与えられた
・発表会やコンクールの課題曲になった
・友人や家族の結婚式などで伴奏を頼まれた
・子どもの学芸会で必要になった

こうした「外からの要請」で曲を選ぶこと自体は決して悪いことではありません。むしろ、技術向上の機会や新しいジャンルに挑戦するきっかけになることも多いでしょう。

しかし、常に外部の要因で曲を選んでいるとどうなるでしょうか?

 

‣ 義務感だけの演奏がもたらす問題点

 

1. 困難に直面したときの言い訳になりがち

技術的に難しい箇所にぶつかったり、練習が思うように進まなかったりすると、「そもそもこれは自分が選んだ曲ではないから」と他者に責任転嫁してしまうことがあります。

・「先生が無理な曲を出したから上手くいかない」
・「頼まれたから仕方なく弾いているだけ」

このような思考パターンは、ピアノ演奏における「自己表現」や「音楽との対話」を失わせてしまいます。

 

2. 本当の自分の音楽的嗜好が見えなくなる

常に他者の要請に応えることばかりに集中していると、「自分は本当はどんな音楽が好きなのか」「どんな曲を弾きたいのか」という根本的な問いを忘れてしまいがちです。

大人になってピアノを続ける、あるいは始める魅力は、「自分自身の楽しみのために弾く喜び」にもあるはずです。それを見失わないようにしましょう。

 

3. 探究心と創造性の低下

心から好きな曲に取り組む時と比べて、義務感から取り組む曲では、その作品に対する探究心が確実に低下します。

・曲の背景を調べたり
・作曲家の他の作品を聴いてみたり
・様々な演奏解釈を比較したり

こうした音楽的探究の深さは、その曲への愛着の深さに比例することが多いのです。

 

‣「自分のための1曲」の見つけ方

 

レパートリーの中に、完全に自分の意思で選んだ曲を少なくとも1曲は持ちましょう。では、どうやって自分だけのための1曲を見つければよいのでしょうか。

1. 思い切ってジャンルの枠を外す

クラシックだけでなく、あらゆるジャンルから選んでみましょう。教則本や指導者の枠組みから一時的に解放されることで、新たな音楽的発見があるかもしれません。

2. 子どもの頃に憧れた曲を思い出す

「子どもの頃、この曲が弾けたらいいなと思っていた」という憧れの曲があれば、それに再チャレンジしてみるのも良いでしょう。その曲への思いは、きっと練習の原動力になります。

3. 自分で作曲や編曲にチャレンジする(特におすすめ)

既存の曲を自分なりにアレンジしたり、思い切って作曲にチャレンジするのも良い選択肢です。自分だけの曲を創り出す喜びは、演奏技術の向上とはまた違った音楽的充実感をもたらしてくれます。

 

► 実践のためのステップ

 

「自分のための1曲」を持つための具体的なステップ:

1. 週に1回、15分だけでも「自分の曲」の時間を作る
どんなに忙しくても、この時間だけは「義務」ではなく「自分のため」の時間として確保する

2. 完璧主義を捨てる
義務的な曲とは異なり、誰かに評価されるわけではないので、思い切り試行錯誤し、自分なりの解釈を楽しむ

 

► 終わりに

 

完全に自分の意思で選んだ曲を少なくとも1曲は持つことで、音楽に触れている時間がより楽しく、より持続的なものになるでしょう。ピアノ学習に新たな喜びと発見をもたらしてくれるはずです。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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