【30秒で分かる】初心者でもできる楽曲分析方法⑩ ~多声的な書法を見つける~
► はじめに
楽譜を見ると、1本のメロディラインに見えるような部分でも、実は、2本のメロディラインが合わさったものになっていることがあります。
本記事では、そのような多声的な書法を把握するための、シンプルかつ効果的な方法を紹介します。
► 多声的書法の重要性
作曲家は、記譜のシンプルさを考慮して、あえて多声的な声部を1本の線にまとめて書くことがあります。そのような部分を多声だと把握せずに演奏してしまうと、全部の音が均等に聴こえてしまうような演奏になってしまうため、見抜くことは重要な視点だと言えるでしょう。
また、作曲・編曲をするときにも、状況に応じて複数の書法を使い分けられるようになるのが理想であり、本記事の内容は理解しておくべきと考えます。
► 対象者など
こんな方におすすめ:
・ピアノ初心者の方
・楽曲の構造を理解したい方
・表現力を高めたい方
前提レベル:
・バイエルなどの楽譜が読める程度
► 習得できるスキル
本記事を読むことで、「声部分け」という、演奏解釈でも作曲・編曲でも重要な考え方が身につきます。
例えば:
・複数の声部の関係性を理解する力
・楽曲の構造を立体的に捉える視点
・演奏表現の選択肢を広げる能力
► 具体的な分析方法と実践
‣ 実例で解説
シューマン「ユーゲントアルバム(子どものためのアルバム)Op.68-1 メロディー」を例に説明します。
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、11-12小節)
まずは、左側の原曲の譜例を見てください。
声部分けされていませんが、右手パートに和音が出てきますね。あえて声部分けを細かく書くのであれば、右側の譜例のようになります。
判断のポイントは、以下のようなものです:
1. 和音の出現パターン
・一部分のみに和音が出てくる → 2声部の可能性
・和音の連続ではない点に注目
2. メロディの動き方
・ジグザグな動き → 分散和音的
・リズムの補完関係を確認
譜例のように、一部分のみに和音が出てきた時というのは、上の音と下の音とで2声になった目印であることが多い。
実際の楽曲では、記譜のシンプルさなどを考慮してあえて声部分けをせずに、団子和音で書かれることもあります。
また、12小節目のように、1本のメロディラインが分散和音的にジグザグに動いている時というのは、お互いにリズムを補完し合っている2声になっていることがあるので、これもまた、注目すべきポイントのひとつでしょう。
‣ 演奏への活かし方
(再掲)
右側の譜例のように多声になっていると分かれば、上の方の大事なラインを少し大きめに響かせようと判断がつきます。複数の声部がある時には、それらの主従関係を考えて、より重要と思われる声部を際立たせるのが、バランスの取り方の基本原則。
右側の譜例では、12小節1拍目裏のF音は4分音符で書きましたが、実際は、原曲通り8分音符で演奏すればOKです。
フィンガーペダル(楽譜上の音価では伸びていない音符を、指で残すテクニック)で4分音符で演奏するというよりは、多声のイメージを把握するために4分音符を使いました。
‣ 実践課題
同じ「ユーゲントアルバム」より「楽しき農夫」のメロディを使って、声部分解の練習をしてみましょう。
シューマン「ユーゲントアルバム(子どものためのアルバム)Op.68-10 楽しき農夫」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、13-14小節)
譜例は13小節目のアウフタクトから始まっています。
カギマークで示した左手パートのメロディ部分を2声へ分解してみましょう。
手順:
1. 声部を見つける(現状の課題)
2. 見つけた声部の関係性を分析
3. 実際の演奏でどう表現するか考える
ヒント:
14小節目はすでに2声になっているので、それに繋がるように考えてみてください。
【声部分けの解答例】
‣ 困ったときは
よくある質問と解決方法
Q1: 多声的な部分が見つからない
・メロディの全ての部分を多声分解できるわけではない
・まずは、上記の2つの「判断のポイント」に該当する部分のみに目をつければOK
► 次回予告
次回は「構成分析の基礎」について解説します。
具体的な内容:
・構成分析とは何か
・構成分析で外すべきではないポイント
・具体的な手順と実例
【おすすめ参考文献】
本記事で扱った、シューマン「メロディー」について学びを深めたい方へ
・大人のための独学用Kindleピアノ教室 【シューマン ユーゲントアルバム より メロディー】徹底分析
本記事で扱った、シューマン「楽しき農夫」について学びを深めたい方へ
・大人のための独学用Kindleピアノ教室 【シューマン 楽しき農夫】徹底分析
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