【ピアノ】選曲に迷ったら読む本:千蔵八郎氏の選曲書籍3冊の特徴と組み合わせ学習

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【ピアノ】選曲に迷ったら読む本:千蔵八郎氏の選曲書籍3冊の特徴と組み合わせ学習

► はじめに

 

音楽学者として著名な千蔵八郎氏(1923-2010)は、ピアノ音楽の分野でも多くの優れた書籍を残しました。その中でも特に選曲やレパートリー形成に役立つ3冊の書籍を取り上げ、それぞれの特徴と効果的な活用法を紹介します。

これらの書籍は、ピアノ学習者が直面する「何を弾けばいいか分からない」「どのようにプログラムを作ればいいか分からない」という悩みを解決する強力なツールとなるでしょう。

 

► 3冊の書籍紹介

‣ ピアノ音楽史事典(春秋社、1996年)

 

・ページ数:674ページ
・対象レベル:初級〜上級者
・特徴:包括的なピアノ音楽史と楽曲紹介の事典

 

内容の特徴

この書籍は、総ページ数674ページという大ボリュームで、ピアノ音楽の歴史を体系的に学べる大部の事典です。ただの作品リストではなく、時代背景と個別作品の両方を丁寧に解説している点が魅力です。

・時代順の構成:序章から第9章まで、バロックから現代まで時代順に整理
・豊富な収録作品:有名曲はもちろん、あまり知られていない作品も多数紹介
・実用的な情報:連弾や2台ピアノ作品、ピアノ協奏曲についても解説

 

活用用途:

・新しいレパートリーを探したいとき
・弾いている作品の歴史的背景を知りたいとき
・ピアノ音楽の流れを体系的に理解したいとき

 

・ピアノ音楽史事典 著:千蔵八郎 / 春秋社

 

 

 

 

 

 

‣ ピアノ学習ハンドブック(春秋社、1989年)

 

・ページ数:249ページ
・対象レベル:初級〜上級者
・特徴:教材選択のための総合ガイド

 

内容の特徴

ピアノ学習に必要な教材を網羅的に紹介した実用書です。特に独学者にとって貴重な情報源となります。

・教則本30種
・エチュード58種
・曲集67種
・バッハ「インヴェンションとシンフォニア」の版23種

レベル別指針
各教材の適用レベルが示されている

版の比較研究
インヴェンションの版による違いを詳細分析

 

活用用途:

・次に取り組む教材を選びたいとき
・自分のレベルに適した曲集を探したいとき
・楽譜の版による違いを知りたいとき

 

・ピアノ学習ハンドブック 著:千蔵八郎 / 春秋社

 



 

 

 

‣ コンサート・プログラムのつくりかた(春秋社、2007年)

 

・ページ数:149ページ
・対象レベル:中級〜上級者
・特徴:プログラム構成の実践的指南書

 

内容の特徴

発表会やコンサートでのプログラム作りに特化した専門書です。理論だけでなく、実際の名演奏家のプログラムを分析している点が特徴的です。

3つのタイプ分類:プログラム構成を明確に分類し、それぞれの効果を解説

タイプA:前半複数曲+後半大曲1曲
タイプB:前後半とも複数曲構成
タイプC:音楽史順の構成

巨匠の実例分析
(ルドルフ・)ゼルキン、アルゲリッチ、ホロヴィッツ等の実際のプログラムを詳細分析

実践的アドバイス
曲集からの抜粋方法、ステージでの心構えまで

 

活用用途:

・演奏発表会のプログラムを組むとき
・効果的な曲順を考えたいとき
・理想のプログラムから遡って新しく取り組む曲を決めたいとき

 

コンサート・プログラムのつくりかた 著:千蔵八郎 / 春秋社

 

 

 

 

 

 

► 効果的な活用法:レベル別アプローチ

‣ 初級者向け

 

メイン書籍:「ピアノ学習ハンドブック」
サブ書籍:「ピアノ音楽史事典」

 

活用方法

・「ピアノ学習ハンドブック」で現在のレベルに適した教材や楽曲を探す
・気になった楽曲について「ピアノ音楽史事典」で背景を調べる
・歴史的文脈を理解することで、より深い演奏を目指す

 

‣ 中級者向け

 

全3冊を併用

メイン書籍:「ピアノ学習ハンドブック」「ピアノ音楽史事典」
サブ書籍:
「コンサート・プログラムのつくりかた」

 

活用方法:

・「ピアノ音楽史事典」で各時代の特徴を把握
・「ピアノ学習ハンドブック」で技術的に適した曲を選択
・「コンサート・プログラムのつくりかた」で効果的な組み合わせを考える
 – 例:バロック、古典、ロマン派から1曲ずつ選んで「タイプC」のプログラムを作成する

 

‣ 上級者向け

 

全3冊を併用

メイン書籍:「コンサート・プログラムのつくりかた」
サブ書籍:「ピアノ学習ハンドブック」「ピアノ音楽史事典」

 

活用方法

・プログラム作成の原則を「コンサート・プログラムのつくりかた」で学習
・選曲した作品の詳細情報を他の2冊で補完
・きちんと並びに意味のあるプログラム作成を目指す

 

► 3冊の相補性

 

これらの書籍の優れた点は、すべて同じ著者かつ同じ出版社なので内容には一貫性がありつつも、それぞれが異なる角度から選曲にアプローチしていることです:

 

歴史的視点(ピアノ音楽史事典)
包括的な楽曲紹介とピアノ音楽史の色が強く出ている

教育的視点(ピアノ学習ハンドブック)
楽曲についても取り上げられているが、他の2冊には不足しがちな段階別教本情報などが充実

実践的視点(コンサート・プログラムのつくりかた)
プログラム分析を交えたより発展的な選曲テクニック

 

この3つの視点を組み合わせることで、選曲についての知見がより広がるでしょう。

 

► 情報の古さについて

 

どれも数十年前の出版であるため、それ以降の情報については当然ながら触れられていません。しかし、クラシック音楽の根幹的な情報は普遍的であり、現在でも十分に価値のある内容です。

 

► 終わりに

 

千蔵八郎氏の3冊の書籍は、ピアノ学習者にとって貴重な資料となります。選曲に迷ったとき、プログラム作成に悩んだとき、そして自分の音楽的視野を広げたいときに、これらの書籍を手に取ってみてください。

関連内容として、以下の記事も参考にしてください。

【ピアノ】選曲・レパートリー形成・プログラム作成 大全

 


 

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