【ピアノ】先生に聞けない素朴な疑問10選:真面目に答えるQ&A集 vol.20

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【ピアノ】先生に聞けない素朴な疑問10選:真面目に答えるQ&A集 vol.20

► はじめに

 

・「こんなこと、先生に聞いていいのかな…」
・「ググっても明確な答えが出てこない…」

こういった、聞きにくいけど実は気になるピアノ関連の疑問に、真面目に答えます。レッスンに通っている方はもちろん、スポット(単発)レッスンを受ける独学の方にも参考になる内容です。

 

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学習者の素朴な疑問 総合索引:先生に聞けない疑問を完全網羅

 

► 質問集

‣ Q1. 先生との会話で、「先生の時代は〜」と比較することを言ってしまうのはNG?

 

結論:言い訳や否定的な文脈で使うのは避ける

 

指導者側も時に「私たちの頃は○○だった」と、自身の経験と比較して話すことはあります。会話の中で時代の違いに軽く触れること自体は問題ありません。

 

避けるべき表現:

・「昔は○○でしたか?」(「昔」という言葉の直接的な使用)
・「今の時代のほうがいい先生がたくさんいるってみんな言っています」
・「先生の時代は情報が少なくて大変でしたよね」(過去を低く扱う表現)

適切な表現:

・「先生が学ばれていた頃は、どのような教材が主流だったのですか?」
・「時代によって指導法も変化してきたのでしょうか?」

重要なのは、世代を比較して優劣をつけるのではなく、敬意を持って経験や知見を伺う姿勢です。

 

‣ Q2. 先生からの問いかけに対し、すぐに答えられないのは失礼?

 

結論:すぐ答えられないこと自体は問題ないが、コミュニケーションを切らない工夫が必要

 

筆者自身、かつて生徒とのやり取りで以下のような経験をしました:

・問いかけると、いつも5秒以上の沈黙
・そのあとに「はい」とだけ返事が来る

この沈黙が、相手に不安や居心地の悪さを感じさせることを理解しなければなりません。

すぐに答えが出てこないこと自体は悪いことではありません。しかし、何の反応もせずに黙り込むと、コミュニケーションが成立しないのです。

・「そうですね、えっと…」
・「少し考えさせてください」

などとつなぎを入れて、考えている時間も相手を置き去りにしないコミュニケーションを心がけましょう。

 

‣ Q3. 先生に個人的な相談をした際、他の人には秘密にしてくれる?

 

結論:原則として守秘されるが、本当に秘密にしたい内容は相談しないほうが得策

 

指導という仕事を通じて知り得た個人情報は、原則として秘密にするのが職業倫理です。多くの指導者はこれを守っています。ただし、どんなに信頼関係が築けてきたと感じても、先生はあくまで他人であるという認識は持っておくべきです。

念押しのフレーズ例:

・「このことは、他の方には話さないでいただけますか」
・「必ず秘匿してください」

広められたくない内容であれば、最初に明確に伝えることで、お互いに認識を共有できます。ただし、本当に秘密にしたい内容は相談しないほうが得策です。

 

‣ Q4. 先生に教わったこと以外で、自分で調べた練習法を試してもいい?

 

結論:積極的に試すべき

 

自分で試行錯誤することは、むしろ推奨すべきことです。

最終的には、様々な方法を試してうまくいったり効果が上がらなかったりという経験を重ねることで、自分の性格や体格に合った練習法が見えてきます。

・先生に言われたことを素直に試す
・自分でも調べて他の方法も試してみる

実は、この試行錯誤を何かと理由をつけて避ける学習者が非常に多いのです。上達の鍵は、この主体的な探究心にあります。

試した結果を先生と共有するのもいいでしょう。「こういう練習法を試したら、こんな感じでした」と報告することで、より的確な指導につながります。

 

‣ Q5. 楽譜の版にこだわりたいが、その費用について先生に相談してもいい?

 

結論:遠慮なく相談してOK。ただし今学習中の曲の推奨版は優先的に

 

原典版を購入したり特定の解釈版を手に入れるのは、確かに費用がかかります。先生に相談することで、以下のような具体的なアドバイスがもらえるはずです:

・日頃使える予算感に応じた優先順位
・学習段階的にどの程度原典版を取り入れるべきか

 

ただし、今取り組んでいる楽曲に関して先生が推奨してくれている楽譜がある場合、余程予算オーバーでない限り、できる限りそれを購入するようにしましょう。先生の推奨を無視して「でも私はこの版がいいので、その予算相談を…」というのは避けるべきです。

相談のタイミングは、新しい曲に入る前や、年間の学習計画を立てる時期がベストです。

 

‣ Q6. 学習内容が特定の作曲家に偏るのは良くない?

 

結論:中級段階までは幅広く学習するに限る。上級で専門性を深める

 

世の中のピアニストのレパートリーを調べると、同じ作曲家の作品ばかりに取り組んでいるケースも見られます。ただし、こういった方々も、もともとは幅広い作曲家を学習してきています。そのうえで、上級のあるタイミングで力を注ぐ分野を絞っているのです。

 

学習段階別の考え方:

・初級〜中級:バロック、古典派、ロマン派、近現代と、幅広く経験することで音楽的な引き出しを増やす
・上級〜:自分の適性や志向を見極めたうえで、必要であれば取り組む分野を絞る

 

学習が浅い段階では「何となくこの作曲家が好き」という感覚はあっても、まだ判断できないことが多いのです。この段階で学習に偏りが生じると、音楽に対する視野が極端に狭くなってしまいます。様々な様式を経験することで、最終的に自分が深めたい分野も明確になってきます。

 

‣ Q7. 先生に、過去の自分の「弾いた曲の履歴」を振り返ってもらってもいい?

 

結論:自己分析と具体的な質問を準備したうえでお願いするのならOK

 

履歴を一緒に見ていただき、コメントを求めること自体は問題ありません。ただし、準備が重要です。

 

良い質問の例:

・「自分ではドイツものに偏っていると感じています。これらと相性の良い作品をアドバイスいただけますか?」
・「この中で、今学習している小品と組み合わせの相性が良い作品はどの曲でしょうか?◯◯かと分析しています」

避けるべきパターン

・何も用意せずに「何かいいことを言ってもらえるはず」という丸投げの姿勢

 

自分なりに履歴を分析し、「こういう傾向があるのでは?」「こういう方向性はどうか?」といった問いを用意していきましょう。その流れで先生から思いがけない視点からの助言がもらえることも多く、それこそが振り返りの醍醐味です。

 

‣ Q8. 発表会でのミスがトラウマになってしまい、次の発表会に出たくない場合どうすべき?

 

結論:あまり期間を空けずに、思い切って再挑戦する

 

本番での失敗後、時間を置き過ぎると、以下のような悪循環に陥りがちです:

・「次も失敗するかも」という不安が増幅する
・「本番に向いていない」と思い込む
・ステージの機会が減り、緊張感を持った演奏経験が積めなくなる

 

おすすめは、あまり期間を空けずに再挑戦することです:

・まずは家族や親しい友人や調律師の前で弾く(小規模)
・少人数のコンサートなどに参加する(中規模)
・正式なコンクールや演奏発表会に再チャレンジ

 

詳しくは、【ピアノ】本番でのミスのトラウマをリブートする方法 という記事を参考にしてください。

 

‣ Q9. 発表会での演奏順について、希望を先生に伝えてもいい?

 

結論:本当に必要な場合のみ、余裕を持って、配慮をもって伝える

 

前提として、発表会は出演者全員で作る場です。全員の細かな要望を聞いていたら、プログラム構成がまとまりません。本当に考慮してもらわないと困ること以外は言わないようにしましょう。

 

NGなお願い:

・「最後のほうが目立つから、最後にして欲しい」
・「○○さんは上手だから連続にしないで欲しい」
・「友達が来るので、見栄えのいい時間帯で」

配慮すべきお願いの例:

・「仕事の都合で、14時以降の出演が難しいのですが…」
・「体調管理の関係で、できれば前半でお願いできますか」

 

伝えるタイミングも重要です。できる限り早い段階(プログラム作成前)で伝えて、運営に迷惑がかからないようにしましょう。プログラムが出来上がってから色々言うのは最悪です。

また、お願いする際は「ご配慮いただければ幸いですが、難しければ仕方ありません」という柔軟な姿勢を示すことも大切です。

 

‣ Q10. 練習の最後の理想的な終わらせ方はある?

 

結論:タイプ別に適した終わり方がある。引きずるタイプこそ「拾って終わる」

 

練習の終わり方は、実は翌日以降の練習の質にも影響します。性格タイプによって、理想的な終わり方が異なります。

 

引きずるタイプ(完璧主義・心配性)

重要なのは、こぼれたものをきちんと拾って終わらせることです。

・良くない染み込みを防ぐため
・練習後にモヤモヤを残さないため

最後に通し練習をするのはおすすめできません。大抵、上手く弾けなかった部分が残ったまま終わることになり、後味が悪くなるからです。最後は丁寧な部分練習でこぼれた箇所を上書きして終わらせるのが理想的です。

 

切り替えが早いタイプ

このタイプの方は、通し練習で終わっても引きずりません。むしろ全体の流れを確認して満足感を得ることで、翌日への意欲につながります。

 

自分のタイプを見極めて、心地よく翌日につながる終わり方を見つけましょう。

 

► 終わりに

 

先生に聞けないこと、ググってもあまり出てこないこと、たくさんあります。そんな小さな疑問を一つずつ解決していくことでピアノ学習を楽しくしていきましょう。

 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ情報メディア「Piano Hack | 大人のための独学用Webピアノ教室」の運営をしたり、音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。ピアノ音楽の作曲や編曲もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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