【ピアノ】他者や教材への過期待をやめて楽しく潔く学習するヒント
► はじめに
ピアノ練習や音楽学習を楽しく、そして継続的なものにするために、いくつかの重要な視点について取り上げたいと思います。特に、大人の学習者がよく陥りがちな、他者や教材への「過度な期待」について、その問題点と対処法を詳しく解説していきます。
► 過期待をやめるヒント
‣ 学習教材への適切なアプローチ
学習参考書籍選びのヒント:
音楽学習参考書などを購入する際、以下の点に特に注意を払いましょう:
1. コンセプトの理解を最優先に
・書籍の対象レベルや目的を確認する
・自分の現在のレベルに合っていそうかを冷静に判断する
・「新しい=良い教材」「古い=良い教材」などといった何かしらの思い込みを捨てる
2. 現実的な期待値の設定
・1冊の本で劇的な変化を期待し過ぎない
・新しい気づきや学びが1~2つあれば十分な価値がある
・「理解」と「実際にできるか」は別物であることを認識し、読むだけでは別人になれないことを腑に落とす
3. 教材選びのコツ
・目次か概要を確認し、内容の範囲を把握する
・可能であれば、試し読みで実際に中身を確認する
・レビューを参考にする際は、投稿者の学習レベルも考慮する
よく、商品レビューなどを見ていると:
・商品名や解説に「上級」と書いてあるのに「難し過ぎます」などとついていたり
・「入門」と書いてあるのに「簡単過ぎて何の勉強にもなりませんでした」などとついていたり
などと、目を疑いたくなるようなレビューが散見されます。本項目で書いたことを徹底すれば、意地悪でもしない限り、こういった感想が出てくることはありません。
‣ 音楽教室での学習姿勢
基本的な心構え:
1. 自主性を持った学習者として
・指導者が持っている楽譜を期待せず、楽譜は自分で購入する習慣をつける
・必要な教材は自己負担が基本という認識を持つ
・その教室にいる限りは、教室側の規則やルールを尊重する
2. 指導者との適切な関係性
・レッスン時間外の対応は特別なサービスとして認識する
・たとえ普段の人間関係が良好でも、時間外のメールの返信を当然のことと思わない
・質問は可能な限りレッスン時間内 “のみ” で行う
普段習っている先生やSNSなどで交流している音楽家などから、どうしてもレッスン時間外でメッセージアドヴァイスをしてもらいたいケースは出てくるはずです。このこと自体には大きな問題はないのですが、いきなり長い質問文章や演奏音源や楽譜などを送りつけるのはやめましょう。
頼む時というのは段階があって、いきなりガーンと素材を送りつけるのではなく、まずは、時間外にみてもらえるかどうか、そして、送ってもいいかどうかの許可をとることから始めないといけません。仮に丁寧な言葉でお願いしていたとしても、いきなり素材を送りつけること自体が失礼です。
また、許可が出た場合でも、演奏音源や楽譜を複数曲送って「どちらでもいいです!」などと打つのはNG。「どちらがいい、どちらでもいい」というのは「どちらがいいですか?」ときかれた場合に返す言葉であり、当然のように言うと自分勝手に響いてしまいます。自分から頼む時に勝手に条件を入れるのはやめましょう。筆者自身、高校生くらいの時には悪気なくも何度もやってしまっていました。そして、特別な話し合いが無い限りは原則、1回につき1曲です。
多くの場合は、頼まれる側も出来る限りの力を貸せたらと思っているはずです。頼み方では必ず段階を踏んで、自分勝手だと思われないように気をつけましょう。
‣ ストレス軽減のアプローチ
自己コントロール:
・他者への期待を適切なレベルに保つ
・自分でコントロールできる部分に焦点を当てる
・不満や苦情の前に、自分の期待が適切かを確認する
対人におけるイライラの種を無くすには、基本的には、相手側に改まってもらうのではなく、自分側から過期待をやめるしかありません。反対に、自分が過期待されて:
・レッスンが終わった直後に、メールで「あそこはこう弾いた方がいい」などと長々と送りつけられる
・忙しい社会人であることを考慮してもらえず、時間投下への要求が厳し過ぎる
・「あなただけには特別に無償追加レッスンをするから、週に3回来なさい」と言われる
などと過度なアプローチをされたらどうでしょうか?はじめの数回はありがたく感じても、じきにうんざりしてしまうはずです。
► まとめ
ピアノ学習における過度な期待は、しばしば挫折や不満の原因となります。しかし、適切な期待値を設定し、着実に学習を進めることで、楽しみながら上達することが可能です。
重要なのは、他者や教材に過度な期待を持つのではなく、自分自身の学習姿勢を見直し、適切な目標設定を行うことです。これにより、ストレスの少ない、持続可能な学習環境を作ることができます。繰り返しますが、原則、他人を変えることは出来ません。筆者も、本記事で紹介した最低限の内容以上のことを読者の方にやってもらいたいと過期待しているわけではありません。
焦らず、楽しみながら、そして何より自分のペースで学習を進めていくことが、大人のピアノ学習における成功の鍵となるでしょう。
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