【ピアノ】運指の工夫でポジション移動を減らす方法

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【ピアノ】運指の工夫でポジション移動を減らす方法

► はじめに

 

ピアノを演奏する以上、「手のポジション移動」の問題は避けて通れません。しかし、運指を工夫することで移動の負担を大きく軽減できる場面が数多くあります。

今回は具体的な楽曲を例に、5つの場面を見てみましょう。譜例は中上級〜上級作品ですが、考え方はどんな難易度にも共通して応用できます。「運指次第でポジション移動を減らせる」という視点を持って譜読みができるようになることを目標にしてみてください。

本記事の対象者:初中級〜上級者

 

► 具体例

‣ 例①:オクターヴ跳躍の直前に「1の指」を置く

 

ショパン「エチュード(練習曲)ハ短調 Op.10-12 革命」

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、28-29小節)

ショパン「エチュード(練習曲)ハ短調 Op.10-12 革命」28-29小節の譜例。オクターヴ跳躍直前に1の指を置く運指の工夫を示す。

29小節目へ入るとき、左手に1オクターヴの跳躍があります。この直前の音(オクターヴ上)をあえて「1の指」でとっておくと、手をオクターヴの幅に開いたまま下の音へ移ることができ、移動が安定します。

お使いの楽譜では直前の音を「3の指」とする運指が記されているのではないでしょうか。それでも弾けることは確かですが、小節の変わり目で手の横移動が発生するため、低音のGis音を外す危険が増してしまいます。跳躍の幅を指の形として先に「仕込む」意識が大切です。

 

‣ 例②:広い和音の直前に「手の形を作れる指」を選ぶ

 

プロコフィエフ「ピアノソナタ 第1番 ヘ短調 Op.1」

譜例(PD作品、Finaleで作成、9-10小節)

プロコフィエフ「ピアノソナタ 第1番 ヘ短調 Op.1」9-10小節の譜例。広い和音の直前に手の形を準備できる運指の例を示す。

テンポが速い中、10小節目の右手に広い音程の和音が現れますが、この和音を打鍵する瞬間にポジション移動があると失敗の確率が上がります。

対策として、直前のF音を「3の指」で弾くといいでしょう。そうすることで、1・4・5の指が自然に和音の形を準備でき、次のE音は2の指でとれるため、そのまま手のポジションを動かさず和音に入れます。

どの指で直前の音を弾くかが、次の音の「準備時間」を生み出すかどうかを左右します。

 

‣ 例③:黒鍵を含む和音の前に「1の指」を使う

 

モーツァルト「ピアノソナタ ハ短調 K.457 第2楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、28-29小節)

モーツァルト「ピアノソナタ ハ短調 K.457 第2楽章」28-29小節の譜例。黒鍵を含む和音の前に1の指を使う運指の工夫を示す。

29小節目冒頭の和音をつかむ際のポジション移動が問題になります。28小節目の最後のC音を「1の指」で弾くと、そこから指を広げて和音を「2・3・4・5」でとれるため、ポジション移動なしに黒鍵(B音)を含む和音へ入れます。

もしこのB音を1の指で弾こうとすると、手が鍵盤の奥に向かって移動することになり、スムーズさが損なわれることを感じるでしょう。

この譜例のようなケースでは、黒鍵がどの指に来るかを意識しながら運指を決めるのが重要です。

 

‣ 例④:分散した音型を「和音の形のまま」弾く

 

シューマン「謝肉祭 Op.9 より 7.コケット」

譜例(PD作品、Finaleで作成、曲頭)

シューマン「謝肉祭 Op.9 より 7.コケット」冒頭の譜例。分散した音型を和音の形のまま弾く運指の工夫を示す。

右手の音符・休符が飛び散っていて、一見複雑に見えます。しかしよく観察すると、「ある和音を分散させただけ」だと分かってきませんか。

この場合、下側の譜例で示したように和音の形をあらかじめ手に作っておき、そのまま指を下ろしていくだけで演奏できます。音を一つひとつ「拾いに行く」動きをすると手の移動が増え、ミスも増えます。

音符の羅列ではなく「どの和音の分散か」を読み取る習慣が、演奏のコントロールを高めることを覚えておきましょう。

 

‣ 例⑤:上級曲でも同じ原則が有効

 

ショパン「幻想曲 ヘ短調 Op.49」

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、21-22小節)

ショパン「幻想曲 ヘ短調 Op.49」21-22小節の譜例。和音の形を準備して指を下ろす運指の工夫を示す。

上級レベルの作品でも、「和音の形を準備して指を下ろす」だけで問題なく演奏できる箇所は多くあります。

この作品に取り組む段階まで学習が進んでいても、22小節目の16分音符を5の指で弾いてしまうケースが散見されます。その奏法はリズムの安定にも滑らかさにも支障をきたすので、注意しましょう。

 

► 終わりに

 

運指の工夫でポジション移動を減らすことができたり、手の形を準備できる音型は、非常に多くの楽曲の中に潜んでいます。

これらは譜読みの段階で見つけ出すことが大きなポイントです。音符を追う作業と並行して、「弾きにくいポジション移動をいかに減らすか」「どこで手の形を準備できるか」を考える視点を持つことで、練習の効率・演奏の安定性・出てくる音の音楽性が大きく変わるので、意識して譜読みしてみましょう。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ情報メディア「Piano Hack | 大人のための独学用Webピアノ教室」の運営/音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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