【ピアノ】肘の回転で演奏が劇的に楽になる音型とその練習法
► はじめに
高速で同じ音型を反復するパッセージでは、指だけを動かすのではなく、肘の回転を適切に使うことで格段に弾きやすくなります。本記事では、具体的な楽曲例を用いて、このテクニックを解説します。
► 具体例
‣ ① 片手での基本例:ショパン「革命のエチュード」
ショパン「エチュード(練習曲)ハ短調 Op.10-12 革命」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、37-38小節)

演奏ポイント:
・38小節3-4拍目の左手:1拍ごとに肘を時計回りに回転
・回転の幅は小さく
練習方法:
1. ゆっくりのテンポで肘の動きと指の動きを確認
2. 徐々にテンポを上げる
3. 時計の6時から時計回りに小さな円を描くイメージで
このような音型は多くの楽曲に登場するため、マスターすれば応用範囲は広くあります。
‣ ② 片手での応用例:プロコフィエフ「ピアノソナタ 第1番 ヘ短調 Op.1」
プロコフィエフ「ピアノソナタ 第1番 ヘ短調 Op.1」
譜例(PD作品、Sibeliusで作成、27-28小節)

演奏ポイント:
・左手パート:3音1組につき、肘を時計回りに1回転
・1小節に3音1組が4組あるため、4回転
・指の動きと同時に肘をわずかに回すことで、指だけで弾くよりも高速演奏が可能
‣ ③ 両手交互の例:モーツァルト「ピアノソナタ ニ長調 K.576 第1楽章」
モーツァルト「ピアノソナタ ニ長調 K.576 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、81-85小節)

展開部で使われた音型を繰り返しながら再現部へ入る部分です。すべてを固定して指先だけで弾こうとすると、滑らかな演奏ができません。適度な肘の動きが必要です。
演奏ポイント:
・左手:3音につき肘を時計回りに1回転
・右手:3音につき肘を反時計回りに1回転
・回転は控えめに(やり過ぎると手の動きを妨げる)
‣ ④ 両手同時の例:ショパン「エオリアンハープ」
ショパン「エチュード(練習曲)変イ長調 Op.25-1 エオリアンハープ」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

演奏ポイント:
・左手:1拍ごとに肘を時計回り
・右手:1拍ごとに肘を反時計回り
・両手とも小指(5の指)を軸にするイメージ
‣ ⑤ 特殊なグルーピング例:ショパン「バラード 第2番 ヘ長調 Op.38」
ショパン「バラード 第2番 ヘ長調 Op.38」
譜例(PD作品、Sibeliusで作成、46-47小節)

演奏ポイント:
・47小節目の左手:親指で演奏する音(譜例のレッド音符)が軸
・3音ごとのグルーピングを意識
・3音ごとに肘を時計回り
► 重要な考え方
身体が自然に求める動きを許容する
本記事では、あえて「回転を加えてみるように」と書きました。一方、もし自然に上記のような肘の動きをつけて弾いているのであれば、それは正しい方向で弾いているのであり、加減にだけ気をつければいいのです。
思い出してみてほしいのですが:
・高音域や低音域へ両手で一緒に向かっていくときは、勝手に足や頭の位置を移動させている
・そのほうが弾きやすいことを知っていて無意識に移動させている
「無駄な動きをなるべく少なくすべき」といっても、このような身体の窮屈さを解消するための動作は誇張さえしなければ入れても構いません。その一つが、本記事で取り上げた肘の回転というわけです。
► 終わりに
肘の回転を活用することで、高速反復音型の演奏が劇的に楽になります。
実践のステップ:
1. ゆっくりなテンポで肘の動きを確認
2. 指の動きと肘の回転を連動させる
3. 徐々にテンポを上げる
4. 自然な動きの範囲を見極める
この技術は様々な楽曲で応用できるため、ぜひマスターしておきましょう。
推奨記事:【ピアノ】速いパッセージを極める:演奏テクニックと効果的な練習方法
► 関連コンテンツ
著者の電子書籍シリーズ
・徹底分析シリーズ(楽曲構造・音楽理論)
Amazon著者ページはこちら
YouTubeチャンネル
・Piano Poetry(オリジナルピアノ曲配信)
チャンネルはこちら
SNS/問い合わせ
X(Twitter)はこちら

コメント