【ピアノ】和音連打伴奏の弾き方:音楽的な表現のための実践テクニック

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【ピアノ】和音連打伴奏の弾き方:音楽的な表現のための実践テクニック

► はじめに

 

和音連打による伴奏パターンは頻繁に登場しますが、この一見シンプルに見える伴奏型を音楽的に表現するには、音楽の理解と適切なアプローチが必要です。

本記事では、モーツァルトのソナタを例に、和音連打伴奏の効果的な演奏方法について解説していきます。

 

► 和音連打伴奏の基本を理解する

‣ 音楽的な「持続」としての和音連打

 

和音連打伴奏は、ただのリズムパターンではありません。以下の点を重要視する必要があります:

・和音の響きの持続性
・和声進行の明確な表現
・音楽的な流れの維持

 

‣ モーツァルト ピアノソナタ K.310 第1楽章の事例

 

モーツァルト「ピアノソナタ K.310 第1楽章」

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

前提知識:
モーツァルトの時代では、第1楽章の曲頭にダイナミクス指示がない場合は、「基本的に f で弾き始める」というのが慣例となっていました。

 

この作品の冒頭部分は、和音連打伴奏の典型的な例を示しています。ここでの演奏上の重要なポイントは:

・a-mollのⅠの和音(1小節目)と、主音上のⅤ7の和音(2小節目)の響きの持続
 – リズムが欲しいだけでなく、a-mollの響きも欲しい

・フォルテ( f )での演奏指示の音楽的な解釈
 – 作曲家は何かの表現として f を欲している訳なので、力と音量でやったらうるさいに決まっている

・伴奏部分と旋律線とのバランス
 – 両手で合わせて f の世界に聴こえればいいので、伴奏をガンガンガンにしない

 

► 実践的な演奏アプローチ

‣ 音の持続感を意識した練習方法

 

和音を全音符で弾いてみる

・連打されているだけで、あくまで「持続」だということを再認識
・目指すべき響きのイメージを形成
・和声進行の流れを体感

弾き始める前から意識しておきたい、連打を導入する際の注意点

・各和音の横のつながりを意識
・縦に刻み過ぎて、一つ一つ一つにならない
・和音の響きの持続を保つ

 

‣ 演奏上のヒント

 

打鍵時のポジション:

・鍵盤に指をつけて置いたまま押し込むように打鍵する
・一和音一和音、いちいち上から叩かない
・手首の上下の動きをつけてしまうと、音が揃わない

響きをサポートするペダリング:

・薄めのダンパーペダルで響きをサポート(¼P.で十分、踏み込んでも½P.まで)
・メロディの濁りを考慮した繊細なペダル・チェンジ
・響きの持続とクリアさのバランスを良く聴く

音量バランスの調整:

・両手合わせてフォルテ領域になるよう設計
・伴奏部分は控えめに
・旋律線の明確な表現

両手セットでのフレージングの意識:

・2小節単位での音楽的なまとまり
・1小節1小節、1拍1拍1拍1拍にならない
・和声進行に沿った方向性

 

► まとめ

 

和音連打伴奏を音楽的に表現するためには、以下の点を常に意識することが重要です:

・単なるリズムの刻みではなく、音の持続表現として捉える
・和声の響きを意識し、その持続感を大切にする
・適切なタッチとペダリングと意識を全て持って、響きをコントロールする
・全体的な音楽の流れの中での役割を理解する

これらの要素を意識的に練習に取り入れることで、より音楽的で説得力のある演奏が可能になります。

 

関連内容として、以下の記事も参考にしてください。

【ピアノ】同音連打の基礎と応用

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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