シューマンの組曲に
注目すべき和声表現がでてきます。
シューマン「謝肉祭 16.ドイツ風ワルツ – 間奏曲(パガニーニ)」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、59-62小節)
ここでは
sf による4回の強打の直後、
小音符の音を静かに ppp で押さえます。
押さえた後にダンパーペダルを離すと
鍵盤を下ろしている小音符に対応する弦のみが共鳴します。
理由は簡単。
ダンパーペダルを踏むと
すべてのダンパーが弦から離れます。
一方、鍵盤を下ろしているあいだは
それらの鍵盤に対応するダンパー(弦の響きを止めている部品)のみが
弦から離れる仕組みになっているので、
ダンパーペダルの使用をやめても
打鍵している鍵盤に対応するダンパーのみは
弦から離れっぱなしになったまま。
だから、それらの部分が共鳴するんです。
このように残される音は
かすかに響くレゾナンス(共鳴)なのですが、
その特徴的な余韻を聴かせることだけが
シューマンの狙いなのではありません。
かすかに響く共鳴音が
62小節目から戻ってくるAs-durの主和音に対する
属七の和音になっているのです。
戻ってくるワルツを導くために
確信犯的に作られた和音であり
それが、シューマンのもうひとつの狙い。
まったく曲調の異なるふたつのセクションを
関連性をもたせたままつなげる効果があり、
音色面ともあわせて
注目すべき和声表現と言えるでしょう。
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